授業紹介

受講者の感想

進化ゲーム論

米谷 源太

進化ゲーム理論という言葉を聞いたことはありますか。私も初めはそうでしたが、「ゲーム理論なら聞いたことあるよ」という方は多くいらっしゃるかと思います。進化ゲーム理論は、意思決定問題を数理モデルで分析するゲーム理論と、あの有名なダーウィンの進化論を融合させた考え方です。“つくばの社工”における進化ゲーム論の講義では、ゲーム理論と進化論の基礎をおさえつつ、多彩でユニークな歴史を辿りながら、進化ゲーム論的な視点を身につけていきます。

進化論で重要な自然選択説から特に多様性・遺伝・自然選択の3原則に注目し、これらをゲーム理論に当てはめたものが進化ゲーム理論だと言えます。生物が自然界を生き抜く術と人間が社会で行う経済活動が同じような枠組みを成していると思うととても面白く感じました。また、ゲーム理論ではプレイヤーの超合理的な選択を想定していたのに対し、進化ゲーム理論では合理性の代わりに適応度を用いてプレイヤーの行動を説明します。社会で生き残るためには、その場の状況にあった選択を学習し、行動を進化させていく必要があります。そうして行き着く先である進化的に安定した戦略を導くことで、社会のさまざまな状況を的確に説明することができるのです。

私は高校時代から生物の授業が大の苦手で、進化論の名前を聞いても正直言ってピンと来ませんでした。「経済学と生物学にいったい何の繋がりがあるのだろう」とも思いました。しかし講義を聞いていると、興味深い歴史的背景を多く絡めて話が進んでいくので、のめり込むように聞き入っているうちに自然とその関係性を理解することができました。専門的な事前知識がなくても理解が深まるという点で、社工の学生はもちろん、ぜひ他学類の学生にも受講をおすすめしたい講義です。

担当教員より(秋山英三)

  • ●人間社会、知識、テクノロジーの進化の鍵となるものは何か?
  • ●自己犠牲を伴うような利他的行動・博愛的行動が、人間社会や生態系のあちこちで見られるのはなぜか?
  • ●人間や多くの動物が「所有」や「縄張り」といった概念を持っているのはなぜか?
  • ●生命、人間の本質は?
  • ●以上のような問題を数理的に取り扱うにはどうすれば良いのか?

この授業では、ゲーム理論、進化の理論、コンピュータを使った解析の基礎を教えつつ、以上のような問題を皆さんと考えていきたいと思っています。必要な数学の知識、ゲーム理論の初歩、進化論の考え方は、可能な限り授業中に身につくように工夫しています。  興味のある人は是非授業を覗いてみて下さい。