甲斐田直子 准教授

都市計画主専攻甲斐田直子 准教授

現在の研究テーマについて教えて下さい。

わたしは、環境経済・政策学と環境心理学の領域で研究をしています。環境や自然と経済を両立させるために、環境リスク削減や生態系サービスなど、これまで適正に評価されてこなかった環境の経済的価値を定量化する研究を行っています。

また最近の研究としては、環境配慮行動の心理的動機や効果の解明に特に力を入れて取り組んでいます。例えば、家庭での節電・節水を考えた場合、「お金を節約できるから」という理由だけではなく、「環境によいことができてうれしい」というポジティブな感情も大きな行動動機の一つとして考えられます。環境配慮行動を促すこうした心理的要因を、アンケート調査手法などを用いて探索しています。

先生は筑波大・国際総合学類の卒業ですが、目指されたきっかけは何ですか?

わたしが中高生の頃は、冷戦終焉やリオ地球サミット開催など世界で大きな動きがあった時代だったこともあり、国際機関で働きたい、国際協力の舞台で活躍したい、と強く思っていました。そこで、国際関係学や国際開発学を幅広く学べる場として、筑波大学国際総合学類に早くから興味を持っていました。高校3年生の夏には、オープンキャンパスに参加しました。筑波大学のキャンパス環境の素晴らしさに興奮するとともに、大学での勉強・研究や学生生活を熱く語る先輩たちのかっこよさに圧倒されたのを覚えています。そして、受験の意思を固めました。

学類在学中は、筑波大学からの交換留学生として、マレーシアのマラヤ大学に1年間留学しました。留学経験をきっかけに途上国の環境と開発の問題に関心が定まり、大学院では環境経済・政策学を学びました。大学院修了後は主に研究に身を置いていますが、海外研究者との共同研究や国際協力に関連する大学業務を通じて、中高生の頃思い描いていたことが実現できているように感じています。

仕事と家庭(プライベート)の両立で工夫されていることはありますか?

わたしの場合、仕事に没頭すると、帰宅時間が少しずつ遅くなりがちです。早めに家に帰ることで時間を区切って、気持ちを切り替えるように心がけています。わたしにとって幸いなのは、夫も研究者であることです。論文や研究会、新聞記事・ニュース、SNSをネタに、互いの研究テーマや仕事の進め方などを夫と常に話しています。最近では夫と、環境心理学分野の共同研究を始めています。公私にわたるよきパートナーですね。

理系を目指す女子学生に向けてメッセージをお願いします。

わたし自身は、いわゆる理系ではありません。ですが、環境、社会、経済・・・、事象は何であれ、ものごとのメカニズムを客観的・定量的に理解した上で説明でき、改善方策を見出す力は、理系・文系問わず、これからの社会で求められる能力だとわたしは感じています。理系を目指すみなさんにはぜひ、自分の理系的素養を伸ばすのはもちろんのこと、未来社会をデザインする上で自分の能力をどう活かしたいかという視点で進路を考えてもらえればと思います。