学類長からのメッセージ

より良い世界を創造する人材に

いま私たちが生きている時代は,「VUCAの時代」と呼ばれています。将来を正確に見通すことが困難で,変動性(Volatility),不確実性(Uncertainty),複雑性(Complexity), 曖昧性(Ambiguity)が入り混じる社会です。さらに,私たちは「人新世(Anthropocene)」と呼ばれる時代に足を踏み入れています。人間活動が地球環境に決定的な影響を与える時代です。 気候変動,生物多様性の喪失,資源・エネルギー問題,格差の拡大——こうした課題は,もはや遠い未来の話ではなく,私たちの日常と直結する現実となっています。 社会は,自然環境,経済,技術,政治,文化といった多様な要素が絡み合う巨大で複雑なシステムです。その一部が変われば,他の部分にも波及します。

このように先行きが見えない時代だからこそ,社会や世界をよりよい方向へと少しでも導いていく人材が強く求められています。 社会工学は,そのための学問です。複雑な社会現象を客観的に分析し,データや理論に基づいて課題を構造的に理解し,よりよい解決策を構想する。 そして,それを他者と共有し,合意形成を図りながら実行に移していく。そこには,論理的に考える力と,他者と誠実に対話するコミュニケーション能力の双方が不可欠です。 これらはまさに,社会工学類がデグリーポリシーに掲げている資質・能力です。 皆さんはこれから卒業までの間で,経済,経営,都市,政策,データ分析など幅広い領域を学びながら,論理的思考力と表現力,そして社会を俯瞰する視野を磨いていきます。 その一つひとつの学びが,未来に向けた確かな力となります。不確実な時代において,確かなものがあるとすれば,それは「自ら考え,学び続ける力」です。 皆さんが社会工学類での学びを通して,自らの専門性と志を育み,卒業時には世界をよりよくすることに具体的に貢献できる人材へと成長していることを,私は心から楽しみにしています。 筑波大学社会工学類で過ごす時間が,皆さんにとって挑戦と発見に満ちた実りあるものになることを願っています。ともに学び,ともに考え,ともに未来を構想していきましょう。

人間行動の場を形成する3つの領域
筑波大学 理工学郡 社会工学類長 村上 暁信