2011年度都市計画実習 社会的ジレンマ班
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分析・考察A
 事前アンケート後、消費者に対してポスターやリーフレットを用いたリスクコミュニケーションを行った。

群間比較-分析ファイル
 リスクコミュニケーションの効果を計測するために、前述の群ごとに事前アンケートと事後アンケートの変化について、SPSSのt検定を行い比較した。

考察
<全体>
・人体に悪い影響を与えると思うようになった
・問題が発生したときの被害が大きいと思うようになった
・問題の発生する確率が高いと思うようになった
・個人の技術や努力で避けることができると思うようになった。
・どのような被害があるか分るようになった
・どのようにすれば回避できるか分るようになった
・放射線を浴びた農作物を摂取できると思わなくなった
・実際に買い控えをするようになった傾向がある
・他の人に影響され買い控えをするようになった
・品質が下がると買い控えるようになった傾向がある
・放射能汚染に対する恐ろしさは上昇した
・放射能汚染に対する未知性は低下した

<ポスター・リーフレット群>
・問題の発生する確率が高いと思うようになった傾向がある
・個人の技術や努力で避けることができると思うようになった。
・いったん被害を受けると回復が難しいと思わなくなった
・どのような被害があるか分るようになった
・どのようにすれば回避できるか分るようになった
・消費者の選択肢が確保されていると思わなくなった傾向がある
→もっと詳細な情報を必要としている
・茨城県産の農作物を買わなくなった
・実際に買い控えをするようになった
・子供に対しては放射線の影響を受けた農作物は与えるべきではないと考えるようになった傾向がある
・放射能汚染に対する未知性は低下した

<ポスター群>
・問題が発生したときの被害が大きいと思うようになった
・問題の発生する確率が高いと思うようになった
・安全管理体制が確立されていると思わなくなった
・放射線を浴びた農作物を摂取できると思わなくなった
・他の人に影響され買い控えをするようになった傾向がある
・放射能汚染に対する恐ろしさが上昇した傾向にある

<リーフレット群>
・人体に悪い影響を与えると思うようになった傾向がある
・問題が発生したときの被害が大きいと思うようになった
・個人の技術や努力で避けることができると思うようになった。
・新しくなじみのないリスクであると思わなくなった
・どのようにすれば回避できるか分るようになった
・消費者の選択肢が確保されていると思うようになった
・安全管理体制が確立されていると思うようになった
・品質が下がると買い控えるようになった
・放射能汚染に対する未知性は低下した

<制御群>
・人体に悪い影響を与えると思うようになった
・問題が発生したときの被害が大きいと思うようになった
・問題の発生する確率が高いと思うようになった
・人々が受動的に接するリスクだと思うようになった
・新しくなじみのないリスクであると思うようになった傾向がある
・怖い恐ろしいと思うようになった傾向がある
・将来世代にまで影響を及ぼすと思うようになった
・いったん被害を受けると回復が難しいと思うようになった
・放射線を浴びた農作物を摂取できると思わなくなった
・少しでも買おうとした農作物に危険性を感じたら買い控えるようになった傾向がある
・品質が下がると買い控えるようになった傾向がある
・放射能汚染に対する恐ろしさは上昇した

以上のことから、放射線、または放射能汚染に関する知識を与えるというリスクコミュニケーションの効果はあったということができる。
  
さらにここで、われわれは制御群の「放射能汚染に対する恐ろしさは上昇した」という結果に注目した。前述の通り今回の問題は、時間の経過とともに事態が深刻化している、そのため制御群は全体的に意識がマイナスに変化していた。しかしリスクコミュニケーションを行った群において、「恐ろしさ」は有意な増加をしていなかった。つまりリスクコミュニケーションは恐ろしさの相対的な低減にも繋がったということができる。

分類別群間比較-分析ファイル
さらにこの分析に関して2つの追加分析を行った。ひとつは学生、一般別に上と同じ調査を行ったものである。

考察
<学生ポスター・リーフレット群>
・被害の確率が大きいと考えるようになった傾向がある
・個人の能力で対処できると思うようになった
・一度被害を受けたら回復は難しいと思うようになった
・どのように回避すればよいかわかるようになった
・買い控えをするようになった
・危険を感じたら買い控えしようと思わなくなった
・子供は放射能汚染された農作物を食べるべきではないと思わなくなった
・未知性は低下した
<一般ポスター・リーフレット群>
・受動的なリスクだと思わなくなった
・個人の能力で対応できると思わなくなった傾向がある
・真新しいリスクだと思わなくなった傾向がある
・食品表示などによって消費者の選択肢が確保されていると思わなくなった
・恐ろしさが低下した傾向にある
・未知性が低下した傾向にある

<学生ポスター群>
・発生したときの被害が大きいと思うようになった
・被害の確率が大きいと思うようになった
・個人の努力で対応できると思うようになった傾向がある
・国で定めた基準値内であれば摂取できると思わなくなった
・買い控えようと思わなくなった傾向がある
<一般ポスター群>
・人体への影響が大きいと思うようになった
・被害の確率が大きいと思うようになった
・安全管理体制が確立していると思わなくなった
・買い控えをするようになった傾向がある

<学生リーフレット群>
・人体への影響が大きいと思うようになった傾向がある
・被害の大きさが大きいと思うようになった
・受動的なリスクだと思うようになった傾向がある
・個人の力で対応できると思うようになった
・得体の知れないリスクだと思わなくなった
・どのようにすれば回避できるかわかるようになった
・食品表示などにより消費者の選択肢が確保されていると思うようになった
・安全管理体制が確立していると思うようになった傾向がある
・品質が下がったら買い控えるようになった
・未知性は低下した
<一般リーフレット群>
・受動的なリスクだと思わなくなった傾向がある
・得体の知れないリスクだと思わなくなった
・個人の能力で対応できると思うようになった
・危険を感じたら買い控えをするようになった傾向がある

<学生制御群>
・人体への影響が大きいと思うようになった
・被害が大きいと思うようになった
・被害が発生する確率が大きいと思うようになった
・受動的なリスクだと思うようになった
・真新しいリスクだと思うようになった
・将来世代へ影響が大きいと思うようになった
・一度発生したら回復が困難だと思うようになった傾向がある
・国で定めた基準値内であれば摂取できると思わなくなった
・買い控えようと思わなくなった傾向がある
・危険を感じたら買い控えをするようになった
・恐ろしさが増加した
<一般制御群>
・受動的なリスクだと思わなくなった傾向がある
・得体の知れないリスクだと思うようになった
・安全性を判断する材料が不足していると思うようになった
・どのようにすれば回避できるかわからなくなった傾向がある
・食品表示などにより消費者の選択肢が確保されていると思わなくなった
・安全管理体制が確立していると思わなくなった
・国で定めた基準値内であれば摂取できると思わなくなった傾向がある
・他人が買い控えをしたら自分も買い控えをするようになった傾向がある
・子供は摂取すべきではないと思わなくなった
・未知性は低下した

属性別群間比較-分析ファイル
 さらに、より細かい分析として、事前のアンケートにより各個人の属性により分類して群間比較を行い、「どのような人に、どのようなリスクコミュニケーションが有効か」というものを明らかにしようと試みた。しかし今回の項目すべてに対して検証するには、あまりにも膨大な量のケースが存在するため、階層的重回帰分析で特徴的に見られた以下の
 @ 感情に左右される人間かどうか
 A 政府への信頼があるかどうか
 B 性別
について分析を行った。@、Aの分類は、アンケート内の各項目について平均値を上回っているか否かでおこなった。なおこれについても一般、学生を分類したが一般のサンプル数が圧倒的に不足したため、学生のみ考察を行った。

考察
・感情に左右されにくい人には、未知性を下げるという点でポスターとリーフレットの効果があった
・政府への信頼が低い人には、買い控え行動を増やす、未知性を下げるという点でポスターとリーフレットの効果があった
・女性には、買い控え行動を増やすという点でポスターとリーフレットの効果があった
・感情に左右されにくい人には、買い控えの意図を減らすという点でポスターの効果があった
・政府への信頼が高い人には、買い控えの意図と行動を減らすという点で、ポスターの効果があった
・女性には、買い控えの意図を減らす、未知性を下げるという点でポスターの効果があった
・感情に左右されない人には、恐ろしさを上げる、未知性の増加を抑えるという点でリーフレットの効果があった
・女性には、恐ろしさを上げるという点で、リーフレットの効果があった


※制御群の変化(何もリスクコミュニケーションを行っていないので一般人の心理と捉えた。)
感情に左右されやすい人は、買い控えの行動が増加した
感情に左右されにくい人は、未知性が増加した
政府の信頼が高い人は、買い控えの意思、行動、未知性が増加した
政府の信頼が低い人は、未知性が増加した
男性は、未知性が増加した
女性は、未知性が増加した