2011年度都市計画実習 社会的ジレンマ班
トップページはじめに風評被害と社会的ジレンマ予備調査アンケート分析・考察@リスクコミュニケーション分析・考察Aおわりに

はじめに

研究背景
 東北地方太平洋沖地震をきっかけとした福島第一原子力発電所の事故は放射能漏れを引き起こした。放射能漏れは福島県や茨城県をはじめとした周辺各県の農作物に放射性物質を付着させるという問題を起こした。それに伴い、政府は放射性物質の付着した農作物に対して放射線量の暫定基準値を設定し、出荷制限や摂取制限などをかけるなどした。しかし、出荷制限や摂取制限などがかかっていない農作物にも安全性を懸念して買い控えが起こるという問題がおきた。なぜそこで買い控えが起こるのか、それには社会的ジレンマと呼べる問題があるのではないかと考え研究のテーマとした。

当初の研究目的
 本実習ではまず、茨城県産農作物の「風評被害」を、その問題がはらむ社会的ジレンマ構造に着目して、心理的方略あるいは構造的方略を用いて低減する、ということを目的として設定した。

予備調査後の研究目的
 研究の流れの詳細に関しては後述するが、1.2の目的の設定後、我々は「風評被害」低減に向けた具体的な方略を実施する前に、今回の事例に関する実態把握を図るために予備調査を行った。その調査の結果、当初設定した目的に問題があるとの結論に達した。そこで、「風評被害」について独自に再定義を行い、その上で消費者に対して適切な情報提供を行うことで、主体的な判断を行うことを促進する、という新たな目的を設定しなおし、これを最終的な研究の目的とする。

研究の構成
(1)テーマ設定
 私たちの身近に起きている社会的ジレンマに関する問題を班員各自で簡単に調べ、その中で問題点を浮上させた。その結果、原発事故に伴う農作物の買い控えについて取り上げることとなった。
(2)予備調査
 原子力発電所における事故に関する内容の情報収集を行いそれぞれが調べてきた内容について議論を重ね、放射線や茨城県の農業に対する知識を深めた。
(3)事前調査
 筑波大生や一般の方を対象にアンケート調査を行い、放射線に関するリスク認知、買い控え意思・行動の実態を把握した。また、JAや農業に携わる方のほか地域農業の活性化を目指す団体の方へのインタビュー調査を行い川上側の意見をうかがった。
(4)リスクコミュニケーション
 事前に行ったアンケートをもとに、どのようにすれば放射能汚染に対する未知性や恐怖性を低減することができるのか考えそのための方策を実施した。ポスターの掲示やリーフレットの配布によって心理的方略から対策を行った。
(5)事後調査
 リスクコミュニケーションで行った方略の効果を測定すべく、放射能汚染に対する未知性や恐怖性がどう変化したのかをアンケート調査を行うことで調べた。
(6)考察
 事前・事後での実態調査の結果を比べて、心理的方略の結果、どのような変化が見られたのかを考える。また、リスクコミュニケーションと事後調査の結果をもとに放射能汚染を低減させるためにより効果の高い方法を提案する。