4-1.調査概要
<調査日程>
2011年05月23日(月)~05月27日(金)09:00~10:00
<調査エリア>
筑波大学1~3学エリア、大学会館周辺、体芸エリア
<調査目的>
各場所における駐輪可能台数に対する実際の駐輪台数の把握
4-2.調査結果
<総駐輪台数について>
5月23日(月):4933台
5月24日(火):4913台
5月25日(水):5107台
5月26日(木):4872台
5月27日(金):4821台
・駐輪されている自転車の最大台数:5107台
・対象区域の総収容可能総台数:6327台
・(総収容可能台数)-(最大駐輪台数)=1220(台)
よって駐輪場には1220台もの余裕があることがあることがわかり、駐輪場全体で見れば、現在利用され
ているすべての自転車を十分に収容するだけの場所を有しているといえる。しかし個々の駐輪場について
見てみると、一部では自転車で溢れ返り、駐輪区画を大幅に超えてまで駐輪されていたり、自転車と自転
車の間に適正な間隔を超えて自転車が停められている駐輪場が存在することがわかった。このことにより、
我々は駐輪場間で使用状況に差が生じているのではないかという仮説を立てた。そこで次に各々の駐輪場
に焦点を絞って分析する。
<収容可能台数に対する実際の駐輪台数>
以下に示すのは、各々の駐輪場における収容可能台数と実際に停められていた台数を比較する図である。
左の青棒が収容可能台数、右の赤棒が実際に停められていた最大の駐輪台数を示している。調査対象地区
全体、さらに各々のエリアごとに、その特徴を分析していく。
[全体的な傾向]
ペデストリアン側の駐輪場は元々の収容可能台数(青色)が大きい傾向にあるが、それに伴って実際の
駐輪台数(赤色)も多く、収容可能台数をはるかに超えているところも多い。特に、2学エリア、3学エリ
アの学群棟前でその傾向が顕著に見られる。また、特に学群棟の出入り口付近で大きな混雑が生じている
ことがわかる。
それに対し、ループ側の駐輪場では場所によって駐輪場の状況に差が見られる。総じて見れば、収容可
能台数はループ側に向かうほど小さくなっている。またループ側とは言えど、本当にループに沿っている
場所には駐輪場はほとんど存在せず、その多くが棟の入口周辺に設置されている。
そして、調査によって新たに明らかになったのは放置自転車の存在である。ずっと同じ場所に駐輪されて
いる自転車や、明らかにずっと利用されていない、あるいは利用できる状態にはない自転車が多く存在す
ることがわかった。中には放置自転車が粗大ごみのように積み上げられていたり、乱雑に倒れた状態で放
置されている場所もあった。
図4-3-2:1~3学エリアの駐輪状況
[3学エリア]
ペデストリアン側、特に学群棟出入口付近で、最大駐輪台数が収容可能台数を大幅に超えていることが
わかる。収容可能台数と実際の最大駐輪台数の差が特に顕著なところは3A棟前である。一番混雑が激し
いところでは、25台の収容可能台数に対して、その約8倍である194台もの自転車が停められていた。一方
ループ側では、総じて最大駐輪台数が収容可能台数より少ない。理科系棟裏の収容可能台数220台の駐輪場
には、最大でもその約0.3倍である70台の自転車しか停められていなかった。さらにループ側では明らかに
放置自転車と思われる自転車が多く存在していた。
図4-3-2:3学エリアの駐輪状況
[2学エリア]
3学エリアとは違い、2学エリアではペデストリアン側、ループ側ともに駐輪場が足りていないことがわ
かる。ループ沿いの駐輪場を見てみると、25台の収容可能台数に対して、その約3倍の78台もの自転車が
停められていた。ループ沿いの駐輪場の混雑の原因としては、以下の項目が挙げられる。
●大学中央バス停に近い
●駐輪場自体の収容可能台数が小さい
●駐輪場自体が少ない
また通学ルートから外れている、ペデストリアンとループのちょうど中間に位置する駐輪場ではかなり
の空きがあることがわかった。ここは446台の駐輪可能台数に対して、最大でも約0.6倍の265台の自転車
しか停められていなかった。このことから通学ルートと学群棟を結ぶ導線も、駐輪場の混雑に関係してい
るのではないかという仮説を立てることができる。
図4-3-3:2学エリアの駐輪状況
[1学エリア]
1学エリアにおいては、駐輪容量自体は足りているが、ペデストリアン上では駐輪場としてふさわしくな
い場所も駐輪場になっていることがわかった。自転車の増加に伴って、元来駐輪場でなかった場所も次々と
駐輪場として整備してきたそうである(※ヒアリング調査参照)。休み時間には、このエリアは駐輪自転車
と自転車、さらに歩行者で混雑することがわかっている。
また、新たに十分なスペースをとって整備されたスチューデントプラザ横の駐輪場は、利用率が低いこと
がわかった。150台の収容可能台数に対して、最大でもその0.5倍の74台しか利用されていなかった。
図4-3-4:1学エリアの駐輪状況
[大学会館・体芸エリア]
このエリアも駐輪場の全体の容量自体は足りているが、歩行スペース、自転車走行スペース、駐輪場が混
在していることがわかる。この三者が混在することで通路の幅は狭くなって移動の流れが悪くなり、快適と
はいえない状態になっている。要領だけの問題ではなく、快適な自転車利用のための何らかの方策が必要だ
と考えられる。
図4-3-5:大学会館・体芸エリアの駐輪状況
<まとめ・考察>
・自転車の総駐輪台数に対する駐輪場数は確保されているが、駐輪場間の混雑状況は大きく異なる。
→混雑の分散、駐輪場選択の最適化の必要性あり
・歩行者、自転車、駐輪場が混在している。
→スペース活用の工夫、改善が必要
・放置自転車が多いことで駐輪場の混雑状況が悪化している。
→放置自転車をスムーズに撤去できるシステムが必要