令和元年度 都市計画マスタープラン実習 2班

下水道革新的技術実証事業

1) 背景
 土浦市の下水道を取り巻く現状について、普及率は87.8%(H27)と県平均の61.8%を大きく上回る数値となっており、下水道の整備は概ね完了していると言えます。下水道を今後、維持管理していくために必要と想定される改修・更新費は、年平均で22.8億円(40年間で911.6億円)、最近5年間平均の投資的経費12.7億円に対して1.79倍となります。これに対して、市は公共施設等総合管理計画で次のような取り組みを挙げています。
 (1)施設量適正化の推進
 (2)長寿命化の推進
 (3)適正な施設配置と民間活力の活用

 (2)の長寿命化については、妥当な策とは断言しにくいですが、人口減少が進む今後、人口規模や分布を参考に(1),(3)の施設量適正化や施設配置は有効な策と言えます。民間活力の活用も有効と考えますが、今回は施設量適正化と適正な施設配置に着目します。
 しかし立地適正化計画(H29)には、公共下水道の整備計画として整備予定地域が記載された地図が示されていますが、その計画区域のほとんどは都市機能誘導区域及び居住誘導区域に含まれていません。公共施設等総合管理計画では適正な施設配置を目指す中で、今後人口が非常に少ないと予想される地域での整備が行われることは、現在の土浦市の財政状況を考えると望ましくありません。そして、都市機能誘導区域に指定されている土浦駅や神立駅周辺には軽年数50年近くになっている管渠やポンプ場がみられます。現状新規整備は行われているものの、既存更新は行われておらず、今後既存の下水道の更新が必要にもなってきます。このことから適正量と適正配置をすることで下水道におけるコストを抑えることが有効と考えられます。



2) 概要
 私たちは、B-DASHプロジェクトを提案します。B-DASHプロジェクトとは下水道革新的技術実証事業((Breakthrough by Dynamic Approach in Sewage High Technology Project)の略です。国土交通省が推進している事業でありまして、新技術の研究開発及び実用化を加速することにより、下水道事業における低炭素・循環型社会の構築のライフサイクルコスト縮減、浸水対策、老朽化対策等の実現を目指します。
 今回私たちは、B-DASHプロジェクトの中で、「DHSシステムを用いた水量変動追従型水処理技術」を導入することを提案します。効率的なダウンサイジング(施設更新時には、人口減少等に伴う流入水量現象に合わせて容易に施設規模を縮減でき、また、施設更新後には、流入水量のさらなる現象に追従して維持管理費、消費エネルギーを削減できること)でコスト・エネルギーを大幅に削減することを狙います。

3) 費用
 国土交通省から、社会資本整備総合交付金を活用し導入支援がされます。施設は国交省が新設します。

4) 効果
 国土総合研究所の資料によると、ライフサイクルコストが37%削減、22.8*0.37=8.436億円/年削減、温室効果ガス排出量が76%削減といったデータがあり、コストの面と環境汚染の面で効果が期待されます。


作成者

令和元年度
都市計画マスタープラン実習
2班

安藤慎悟(班長)
有水瑛美
伊藤奎政
伊藤彩公子
奥村蒼
由井貴大
下津大輔(TA)