Challenging特区505事業
1) 背景
土浦駅の西口は、近年市役所の移転や土浦アルカス、プレイアトレのオープン等の影響で点的な賑わいが生まれていますが、その賑わいが街なかに面的には波及していません。中心市街地で空き店舗の多さも課題とされる中、私たちは西口の賑わいの面的な広がりにはモール505が重要であると考えました。駅近くに立地する壮大な建造物は土浦市の象徴でもありますが、空きテナントが多く、廃れた雰囲気が漂っています。モール505の衰退要因を探ると、郊外ショッピングセンターの登場や、駐車場の不便さ、店舗付近まで車が入れないこと等を理由に商業にはあまり適していない環境であることがわかりました。そこで私たちは、商業としてのモール505だけでなく、「しごと」の要素で人とモール505をつなぎ、かつての賑わいを取り戻すことを目指します。
2) 概要
モール505をChallenging特区505と改名し、誰かの挑戦を応援する、スタートアップの場として提案します。モール505の店舗入居率は68.1%(2020.01.01現在)であり、約3割のテナントは空室です。次に示す図は現在のモール505の入居状況であり、赤色で塗りつぶした箇所は空きテナントです。

既存の店舗をA~C棟に固め、D~E棟(土浦駅側)を今回の提案の対象とします。店舗を現状のままではなく移転して固める理由は、現在のモール505のイメージが全体的に廃れている印象が強く、既存の空き店舗にオフィスを入れていくだけでは効果が薄いのではないかと考えたからです。スタートアップのゾーンとして新たに設定することでより新鮮さを出し、モール505からChallenging特区505へと一新するために移転は必要だと考えました。

シェアオフィス、コワーキングスペース、会議室、イベントスペースを用意し、業務に集中できる様々なタイプのオフィスを提供します。また、1階は受付業務を備えたスペースや接客系の事業に入ってもらうことで、内外の人と関われるような空間に仕立てます。活躍の場を提供するだけでなく、法律等の知識やプログラミングをはじめとする技術の支援も行い、新たに起業を志す人を応援します。
なお、利用料金は次のように設定します。
◎個室利用(賃料/1ヶ月) 1階 2,200円/㎡ 2階 1,600円/㎡ 3階 1,000円/㎡
◎シェアオフィス 15,000円/月
◎コワーキングスペース 10,000円/㎡
◎イベントスペース 5,000円/6H(貸し切り)
◎会議室,サポートセンター 無料

現在国内のスタートアップ資金調達額は急上昇しており、国も2018年の未来投資戦略の中で2023年までにユニコーン企業またはベンチャー企業を20社創出することを宣言。社会問題の解決や革新的な技術開発等が期待されることからスタートアップに着目しました。
土浦市は東京から常磐線で1本というアクセスの良さや、隣接するつくば市で非常に研究が充実していることから立地的な特性としてスタートアップに適していると考えられます。土浦市特有の資源である霞ヶ浦湖のような自然、農業分野等は研究との相性がよく、いわゆるシーズの宝庫であるため、新たなビジネスの可能性を秘めています。そしてモール505で行うことで、特徴的な建物構造により、横の繋がりが生まれやすく、その交流がアイディアの創生へと繋がると考えております。
2019年9月、つくば市ではスタートアップパークがOPENしました。2020年1月21日につくば市経済部産業推進振興課主任の永井将大様にヒアリング調査を行ったところ、土浦市がスタートアップに力を入れることに大歓迎とのお言葉を頂きました。私たちとしては、顧客の奪い合いのような状況が生じてしまうことを恐れていましたが、実際つくば市と土浦市の境目を意識するというよりは、茨城県南地域全体としてスタートアップで盛り上げていきたいという意向があるようで、むしろ歓迎とのことでした。また、法律等の専門的な知識を求め、東京都に人が流れてしまうこともあるそうで、土浦市には裁判所があることから、土浦市の法律に強い人とつくば市とで市の境目を超えて連携することも良いのではないかといったご意見も頂きました。私たちは、つくば市と土浦市の両市で起業分野で役割分担することも可能ではないかと考えました。つくば市のスタートアップパークへ調査に伺った所、筑波大学の医学の学生や工学システムの学生が起業に取り組まれていたことから、医学や工学系はつくば市で、霞ケ浦の水質関係の研究や農業との連携が考えられることから生物系は土浦市で起業といった例が考えられます。このようにしてつくば市と土浦市が連携することで、両市にとって利用者が増加し、広域的に活気も生まれることが想定されます。
3) 費用
必要となる費用は、以下のように試算されます。
建物修繕費: 1,085円/㎡×7,185㎡=779万5,725円
店舗移転費:300万円×17=5,100万円
Challenging特区505運営委託料:3,000万円
コンサルティング業務委託料:2,000万円
テナント支援:500万円
備品:100万円
その他経費:200万円
以上から、初期費用は合計1億1,679万5,725円、ランニングコストは5,300万円/年と試算されます。
4) 効果
建設補修費と情報サービス、飲食サービスの売上により、5億3,000万円の周辺市街地への経済波及効果が生まれます。スタートアップは急成長が期待されるため、波及効果は年々大きくなる可能性があります。また、土浦駅西口からモール505への賑わいの繋がりが生まれ、面的な活性化が期待されます。スタートアップの中では土浦市の既存資源(霞ヶ浦やレンコン等)との新たな開発も期待され、農業や環境分野での土浦市の課題解決に繋がる可能性もあると考えています。つくば市や東京都との繋がりも生まれ、土浦市外からも人を呼び込むことが期待されます。
