土浦駅周辺地区には駐車場が2183台分、駐輪場が2462台分整備されているが利用状況には偏りがあり有効に活用されているとはいえない状況である。また、駅周辺には桜川市まで繋がるつくばりんりんロードと潮来市まで繋がる霞ヶ浦自転車道の始点があるが、それ以外の自転車道・歩道の多くは幅が狭いことや路面が悪いことなどにより快適に利用されていない。土浦駅東口には大規模な立体駐車場があるが、車を停めてから駅またはその他商業施設までは歩かなければならないためか利用状況は芳しくない。 そこで、この東口駐車場をより多くの人々に利用してもらうことと、そして自転車・歩行者ともに快適に利用できるような道を目指し、土浦キララロードを霞ヶ浦からモール505にかけて整備する。この土浦キララロードは、つくばりんりんロード・霞ヶ浦自転車道の両方の始点を繋ぐ役割も果たし、自転車道のネットワークを向上させることにもなる。そしてキララロードを軸として周辺ににぎわいの基となる施設を配置・整備することでにぎわいと活気のあるまちを実現させる。
まず初めにモール505の再生計画と土浦市役所の移転計画について提案する。現在モール505では駅前という立地にもかかわらず、空き店舗が多く、市民が素通りするだけの商業施設となってしまっている。この状況を打破するために、現在美容関係の店舗が多いことから女性の滞在機会を増やし、日常生活の中で気軽に立寄れる施設とすることを目指す。具体的には託児所などの保育施設や食材店・惣菜店などを市からの補助を受けて誘致し、それによって利用客が増加することでさらにより多様なニーズが発生し、モール505全体としてにぎわいを取り戻していくことになると考えた。 次に市庁舎移転であるが、現在の土浦市役所は昭和38年竣工と老朽化が進んでおり、耐震補強工事も行われていない。また、新治村との合併により人口が増加したことで手狭となり、市庁舎を移転する計画が話し合われている。私たちは新たな市庁舎を土浦駅北地区に立地させることで職員や来庁者による駅周辺のにぎわいの創出を図る。新市庁舎は総務省起債対象事業費算定基準と国土交通省新営庁舎面積算定基準より延床面積を18、000㎡と設定し、近年の他市庁舎建設費などから事業費を約64億8千万円と想定した。駅北地区は駅前ロータリーに近いことから公共交通の便は良いのだが、駐車場を整備するとなると用地不足や駅前の混雑が予想されるため、職員・来庁者ともに東口駐車場を利用することとし、キララロードを通って移動する設計とした。
新市庁舎の規模・建設費概算
モール505において全ての店舗を埋めることは難しいこと、駅方面に対して閉じてしまっていることから、モール505東側の一部を解体し南側の駐車場と一体として、新市庁舎とを結ぶ緑化公園を整備する。他市町村の事例から事業費は3億5千万円となった。この緑化公園によって市庁舎を訪れた人がモール505に立寄るきっかけとなり、人々の集う場所の少ない中心市街地におけるたまり場となることが期待される。
緑化公園事業費概算
モール505整備前 整備後・新庁舎を望む
市庁舎が移転した後の現市庁舎跡地は、本庁舎の耐震改修工事に約10億円かかるのに対し本庁舎を解体し防災公園として整備すると約2億5千万円で済むことから、平常時は公園、緊急時は防災拠点となる防災公園とする。地下部分は備蓄倉庫として残し、増築部分については耐震性に問題が無いことから防災展示・情報館とする。
防災公園整備イメージ
現図書館の老朽化、狭隘化への対応や土浦駅東口の活気の無さの改善のため、現・東口駐車場に新図書館を建設する。建設費は約25億円となるが、効果として市民生活の充実や土浦駅東口の活性化などが見込まれるほか、ここは東側と西側を結ぶ重要な役割を果たすため、キララロード全体のつながりの強化としては大きな便益を生むことになる。
整備前 整備後
現在、市が買収した京成ホテル跡地では芝生広場の整備が進められているが、土浦駅東口の本来の活気の無さなどから、利用者獲得に対する不確実性が否めない。さらに霞ヶ浦を活かしきれていないという声が上がっていることから、ここを単なる芝生広場でなく、霞ヶ浦の景観や自然を活かした施設として、バーベキュー場を整備する。これにより観光客や市内のファミリー層の利用者獲得の確実性が増すばかりでなく、市民のコミュニティも強化も見込める。
整備前 整備後