本マスタープラン計画の一環として設計を行った「ヨルベおおつ野」のご紹介です。
概要
「ヨルベおおつ野」は地域拠点「ヨルベ」の一つであり、土浦市おおつ野地域の地区ヨルベとして設計されました。
これまでにない概念である「ヨルベ」についてみなさんに具体的なイメージが正しく伝わるか、という点は私たちにとっても大きな課題でした。その中で「一つCGを作って実際の施設の様子を見せられたらどうか」という案が上がり、そのために設計されたのがヨルベおおつ野です。他の地区ヨルベは既存の施設を活用して開設するのに対し、おおつ野地区はその対象としてふさわしい拠点施設が現時点で存在しなかったため、新たに設計するのが望ましいと判断しました。
敷地
ヨルベおおつ野は以下の敷地に立地しています。

敷地周辺図
総合病院土浦協同病院に隣接している敷地であるという点が特徴で、東側の道路は路線バスの路線上でもあります。

現地見学時の写真(2023年1月)
設計コンセプト
ヨルベを体現する存在
設計にあたって最も重視したのは、建物それ自体が「ヨルベ」を象徴する存在でなければならないとということ。それはつまり、「これまでにない新しい地域拠点」「誰にでも開かれた空間」「多様な使い方ができる」といった言葉で表されるでしょう。
ヨルベおおつ野を設計することは私たちの計画の初期段階で既に決まっていたことですが、その時点ではヨルベの実像もひどく曖昧で不明瞭なものでした。
ヨルベおおつ野の設計にあたっては斬新さを意識した様々なラフが描かれました。これらは私たちがヨルベに抱く希望を具体化させようと苦悩したことが窺えます。
最終的には丸みを帯びた形状を基調とし、円形の内庭で輪になる空間を作り出すというコンセプトが採用されました。

コンセプトアートと最終的な設計案の元となったラフ(下右)
木に触れる
ヨルベおおつ野は構造を在来軸組+CLT(木質合板)構造としました。実際に柱・壁に木材が見える形とし、訪れた人々が直に木に触れて温もりを感じられるつくりになっています。CLTを利用することで耐震性を確保しつつ、4m×7mのスパンを実現しました。
おおつ野地域の景観と調和
おおつ野地区は現在も建設が続いている住宅街です。景観に配慮した街路の計画がなされ、優しく整った雰囲気に溢れています。
そうした地域性を象徴し、ヨルベおおつ野もまた地域の景観に調和する外観としました。大きな窓には木質のルーバーを配置し、木々が枝葉を伸ばすかのような印象を受け、前面道路の街路樹とも調和しています。
また、階数を3階としつつもテラスからは霞ヶ浦の雄大な風景が見られるようになっています。ここには地域の大切な自然資源である霞ヶ浦に親しみをもってもらいたいという想いが込められています。

東側の歩道より建物外観を見る(CG)
設計
集会所機能
市が開設する公民館に代わる施設として計画されたヨルベには、既存の公民館に等しい集会所としての機能を持ちます。
会議室、ホール、和室などを備え、様々な団体の活動の場として使用することができます。
交通結節点としての機能
ヨルベおおつ野の建設に伴い、敷地に隣接して新たなバス停を設置します。建物と連続的につながった空間を形成し、公共交通を待つ時間も楽しい場所にしてくれます。また、市内のデマンド交通「のりあいタクシー土浦」の乗り換えにも使えます。

ヨルベおおつ野とバス停(CG)
地域のたまり場
家でもない、職場でもない、第三の居場所のことを「サードプレイス」と呼び、近年注目されている概念です。
ヨルベおおつ野はなんとなく訪れる、サードプレイス、たまり場としての役割を担います。
ロビーには円形の内庭を見渡し、くつろげるスペースをご用意。子供から大人まで、まるで自宅のように楽しい時間を過ごすことができます。内庭には敷地の高低差を敢えて設け、子供たちの動的な遊びを促します。

2Fテラスより内庭・ロビーを見下ろす(CG)
ライブラリと個人作業ブース
3Fにはライブラリと個人作業ブースを備えています。無料で使える電源も完備、勉強・テレワークに使用することができます。
家では作業に集中できない、そんな時にヨルベを利用しませんか?
売店と商業の空間
1Fには簡単な売店をご用意。日常のちょっとした入り用がここで済みます。売店には一般の人々が製作した雑貨などを持ち込みで販売することもできます。初期費用は0円、あなたの「得意」を広く知ってもらう機会です。
市役所支所・郵便局
1F事務室は市役所支所の支所としての機能を兼ね備えており、各種書類手続きが行えます。また、郵便局をその隣に備え、日常の生活機能が集約しています。
バリアフリー
公共施設として、ヨルベおおつ野はバリアフリーに対応。誰にとっても使いやすい施設となっています。
図面
各種図面です。画像をクリックで別タブで拡大表示します。
データ
所在地
〒300-0028 土浦市おおつ野5-1
敷地面積
1760㎡
用途地域
第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)
構造
在来軸組+CLT構造
階数
3階建
建築面積
約930㎡
延床面積
約1950㎡
総工費
4億円(概算)
設計者
齊藤脩
設計ソフト
ArchiCAD 26
CG製作ソフト
Lumion
パース




