地区別構想

本提案では基本構想で紹介したように、大規模な「地区ヨルベ」と中小規模の「ヨルベ」に分けて計画を行いました。ここではそれぞれの「地区ヨルベ」に設ける付加機能について、地区別構想に絡めながら説明します。

地区の構成

本提案では土浦市内を5つの地区に分け、それぞれに地域の核となる「地区ヨルベ」を配置します。


土浦市の地区区分と地区ヨルベの配置


中央地区 活気あふれる災害に強い街の中心

中央地区ではURALA2の空き床を利用し、防災機能を持つ「ヨルベうらら」を設置します。


中央地区は土浦駅が位置し人口が多い街の中心である反面、地域内に桜川が流れることから広範囲が浸水想定区域として指定されています。災害対策には発災そのものを防ぐために堤防整備を行うような「ハード防災」と、発災後の被害軽減のために避難対策を行うような「ソフト防災」の大きく二つがありますが、前者はすでに市街化している中央地区には不向きであるほか、予算の面でも大きくかさむことから、本提案ではソフト防災の観点から、市民の避難行動を改善できる施設として、この「ヨルベうらら」を計画しました。


「ヨルベうらら」では年3回の災害シナリオの異なる防災訓練を実施し、発災時にとるべき具体的行動を市民が認識するきっかけを作ります。継続した避難訓練への参加は避難行動の改善のみならず、地域住民同士のコミュニケーションの発生などの副次的な効果も期待されます。また災害に関する情報発信も同時に行うことで、中央地区から市全体へ防災の意識が波及します。


「ヨルベうらら」での防災避難訓練の様子(イメージ)




南部地区 阿見町とのつながりも持つ 子育て世代にやさしい安心できる街

南部地区では荒川沖西部地区学習等供用施設を改修し、「ヨルベ荒川沖」を設置します。


南部地区は市内で新治地区に次いで高齢化率が高く、古くからの住宅や団地も多くなっています。そこで、この地区を子育て世代が住みやすい街にするため、「ヨルベ荒川沖」では親世代と祖父母世代の交流イベント「子育て寺子屋」や、「ヨルベまつり」などの親子で楽しめるレクリエーション企画を行い、子育て世代を中心とした地域コミュニティの形成を目指します。荒川沖駅は阿見町の玄関口としても機能することから、こちらも地区住民のみならず広く開放し、子育て世代が住みやすい街づくりを進めます。



「ヨルベ荒川沖」のヨルベまつりの様子(イメージ)



北部地区 かすみがうら市ともつながる 教育に強い街

北部地区では神立地区コミュニティセンターを改修し、生涯学習機能を持つ「ヨルベ神立」を設置します。


北部地区にある神立駅は県立湖北高校の生徒が通学に使っているが、駅周辺には学習に使えるような施設はありません。また地区内には図書館の新設構想があったことから、学習スペースや図書館の機能を持つ施設は地区の住民や周辺住民の役に立つのではないかと考え、「ヨルベ神立」を計画しました。神立駅はかすみがうら市とも近接することから、地区内の住民のみならず、周辺の住民とも広く交流を持てる施設になることを目指します。


「ヨルベ神立」の学習スペースの様子(イメージ)



おおつ野地区 住民間の交流と福祉が充実した 活気あふれる街

おおつ野地区には現在公民館等の施設がないため、「ヨルベおおつ野」を新設します。


近年開発が進むおおつ野地区では、従来の公民館とは異なる機能やデザインを取り入れ、新しい住宅地の顔となる地域コミュニティの中心機能をもつ「ヨルベおおつ野」を新築で設置します。移転開業した土浦協同病院の向かいを建設予定地としたことから、その患者や家族が使える福祉サービスの拠点機能を設けるほか、地区の子どもたちの居場所や、集会室や郵便局といった機能も設けることで、様々な世代が交流できる空間づくりを目指します。


「ヨルベおおつ野」パースイメージ



新治地区 農業や自然を中心に 多世代がつながる街

新治地区では新治地区公民館を改修し、農業機能を持つ「ヨルベ新治」を設置します。


地区内に農地や山林が広がる新治地区は、市内でも高齢化が著しく、また耕作放棄地の増加傾向もみられています。そこで、空いている農地を活用して比較的栽培が容易といわれるそばを栽培し、その維持管理に定年を迎えた高齢者世代を巻き込むことで、地域コミュニティの活性化を促します。新治地区の特産品のひとつでもあるそばを作ることで、地域の観光資源のひとつにもなることが期待されます。近隣には新治学園義務教育学校が立地することから、放課後の子どもたちの居場所としての活用も見込まれます。


「ヨルベ新治」とヨルベのコミュニティ農園(イメージ)