事前ヒアリングでは看板の種類によっては認知率に対して使用率が低いものがあることが判明した。これには看板自体に要因があるのではないかと考え、学内の看板の状況を把握することとした。まず筑波大学の施設部に看板の管理状況を問合わせたところ、案内看板の分布図が存在せず、整備や改修の際に必要に応じて看板を設置しているという現状が明らかになった。即ち、筑波大学の看板は管理者不在の状態で、誰も現状を把握していないと言える。既往研究では筑波大学中地区の看板を調査したものが1件存在した [7] が、2015年のものでありやや古い。そこで看板の設置状況を把握するためには、我々自らが調査する必要があると判断した。
調査日時:2019/4/26(金) ~ 2019/5/7(火)
まずは屋内に設置されている看板に焦点を当て、調査の対象とした。調査範囲は、筑波大学の広さを考慮して第三エリアに限定した。このうちサイバニクス研究棟以外の建物内部を調査した。
調査の方法としては、その種類、向き、寸法の3点を図面に記録した。看板の種類は図1-2に準ずる。寸法については看板の縦と横、地面からの高さを計測した。また看板を写真で記録することで、看板に記入されている内容を確認することとした。
結果として、第三エリアを拠点とする学生に多く使用される建物では各階に2枚以上の看板が設置されており、設置個所も階段やエレベータ前などの発見しやすい地点に設置されていることから、屋内の看板においては特に問題は見られないと言える。これは事前ヒアリングで平面図(カラー)や平面図(白黒)の使用率が比較的高かったことにも裏付けられている。
調査日時:2019/4/26(金) ~ 2019/6/4(火)
次に屋外に設置されている看板の実踏調査を行った。調査項目は地点と種類のみで図1-2の分類に準じて、看板の写真とともに地図上に記録した。対象は中地区、南地区、体育施設エリアとした(図4-1参照)。結果を図4-1及び表4-1に示す。合計330枚と一見多くの看板が設置され十分な数のように感じられるが、実際はこれほどの数の看板が設置されていても迷う現状が確認されている。これを踏まえ、学生が具体的にどの地点で迷っているのかを調べ、この結果と重ねて考察する必要があると考えた。
[7] 筑波大学構内の案内表示の分布 (2019年6月18日閲覧) https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&url=http://gis win.geo.tsukuba.ac.jp/sis/jikken/2015/25.pdf