筑波大学筑波キャンパスは、屋外運動場や学生宿舎を含めて約257haの広大な敷地面積を有している[1]。また、筑波大学キャンパスマスタープランのコンセプトである「歴史を感じさせる連続性のある景観の継承」[2]のために、建物のデザインはある程度統一が図られているため区別しにくい。以上のように敷地面積が広く建物が似た形状、色となっていることから今どこにいるかわからなくなりやすいと言え、筑波大学は迷いやすいと考えられる。 この仮定を図1-1に示す流れで調査した。
先ほど述べた仮定を検証すべく表1-1に示すように事前のヒアリング調査を実施した。
[結果]
迷った経験、時期、対処方法について述べる。迷った経験は回答者14人のうち13人があると回答し、入学直後や春秋学期のはじめ、イベントの時期に迷いやすい。対処方法としてはえりたんBOT(7人)やGoogleマップ(3人)などアプリの利用や、人に聞く(5人)が多い。その他、キャンパスマップ(1人)など紙媒体を使用する人も存在する。
既存の各ツールについての認知・使用状況、メリット・デメリットの意見について述べる。看板については認知と使用の差が大きい看板の存在から使われている種類とそうでない種類の格差が明らかとなった。キャンパスマップはかさばるというデメリットからか使用されていない。地図アプリ(えりたんBOT、Googleマップ)は共通のメリットとして持ち運びが可能である点があった一方、建物内部の情報が得られないというデメリットも存在した。また、えりたんBOTは日本語のみ対応というデメリットもある。
以上を踏まえて「誰もが迷わずに目的地へと向かえる筑波大学」を目標とし、そのための改善案を提案することを目的とした。
I)看板
分類を図1-2に示す。屋外については5分類とし、エリアのスケールで建物の名称と位置がわかるもの地図看板、建物の名称と方向を示す矢印看板、建物の近くにある自立式のものを建物名看板、壁面に取り付けてあるものを壁面看板、いずれにも該当しないその他となっている。屋内ではカラー版と白黒版の平面図、その他の3分類とした。
II)キャンパスマップ[3]
筑波大学教育推進部教育推進課が発行している大学構内地図であり、エリアマップをはじめ筑波大学構内の建物・教室の位置の平面図などが記された冊子となっている。英語の記載もあるため外国人の利用にも対応している。毎年更新されており、入学者はガイダンスで全員に配布されている。
III)Googleマップ、えりたんBOT[4]
両者ともアプリでありスマホを利用して情報を得ることができるという特徴を持つ。えりたんBOTは非公式の学生向けキャンパス地図アプリである。機能としては筑波大学循環バスのバス停や筑波大学キャンパス内の各棟の名称が詳細に地図上に表示され、筑波大学循環バスとTXの時刻表が検索できる。また、授業名称や棟名から地図上に棟の位置を表示する機能や授業名称から授業詳細を検索するなど筑波大学での学生生活に特化した機能を持つ。
[1] 統計情報リサーチ,「大学の敷地面積ランキング」
http://statresearch.jp/school/university/campusarea.html(2019/6/14閲覧)
[2]筑波大学施設部,「キャンパスマスタープラン改定について」
http://shisetsu.sec.tsukuba.ac.jp/2011CR/2011CR.html(2019/6/22閲覧)
[3] 筑波大学教育推進部教育推進課,筑波大学キャンパスマップ2019
[4] Google,「えりたんBOTーGoogle Playのアプリ」
https://play.google.com/store/apps/details?id=net.eritanbot.android&showAllReviews =true(2019/6/10閲覧)