サスティナビリティ班
仮眠室実験
 目的 筑波大学への仮眠室設置に向けて、その効果測定を行う ・仮眠の効果測定 ・睡眠に関する知識啓発による行動変化をみる 方法 下記のような順序で仮眠室実験を行った
 *仮眠には机に突っ伏して寝ることができる「快眠ドーム」を用いた *20分の仮眠の前に、仮眠後スムーズに目覚められるようにコーヒーを飲んでもらった 対象 筑波大学学群生 19名(男性12名、女性7名) 日程 2018年6月4日(月),5日(火),6(水) 3,4限のうち各被験者の都合のつく時間帯 様子
仮眠室の全体像 快眠ドームを用いた睡眠
仮眠の効果測定
知識啓発の 効果測定
 まず仮眠の効果について、仮眠の有無による授業中の眠気の変化を、眠気の程度を7段階で評価するスタンフォード眠気尺度を用いて測定した。時間帯としては、同じ4,5,6限の授業に関して仮眠室を利用した当日の授業と利用していない週の授業について眠気の程度を評価してもらった。 右の図がその結果である。仮眠室を利用していない週の授業の眠気尺度点数の平均を青、仮眠室を利用した当日の授業の眠気尺度点数の平均を赤で示している。4限では1.8点、5,6限ではおよそ1点の改善が見られ、個別のデータで見ると71.2%の授業で眠気が改善された。 次に仮眠の有無による日中の感情の変化を測定するため、ポジティブな感情を族亭するための尺度である日本度版PANASという尺度を用いて仮眠によるポジティブな感情の変化を昼間(3,4限)と放課後の2回に分けて測定した。結果が右の表である。仮眠なしの学生は昼から放課後にかけて尺度の合計点が平均2.1点下がっているのに対して、仮眠ありの学生は昼から放課後にかけて尺度の合計点が5.8点上がっている。ゆえに仮眠なしの学生に比べて仮眠ありの学生の方が1日をポジティブに過ごすことができると言える。 実験では仮眠や睡眠に関する知識を右のポスターを用いて啓発した。図8のポスターでは効果的な仮眠方法を、図9のポスターでは効果的な夜間睡眠を促進するための内容を盛り込んだ。 実験における睡眠に関する知識啓発から一週間後の授業中に眠くなる頻度の変化について計測した結果が右の図である。両者に統計的に有意な差は見られなかったが、毎コマ眠くなる学生が4人から1人に減っており、改善の傾向が見られた。 更に、知識啓発前後での睡眠の質向上のための行動に関しては、行動を行なっていると答えたのが啓発前は6人だったのに対し、啓発後は13人と大幅に増加した。具体的な行動の変化に関しては右の図のようになった。知識啓発前を赤、知識啓発後を青としている。啓発前後で日中に仮眠をとる人や、起床後に日光を浴びるなどの大学生でも手軽にできる行動について大きな変化が見られた。
表1 スタンフォード眠気尺度(再掲)
図7 仮眠前後のスタンフォード眠気尺度 表3 仮眠による日本語版PANAS尺度の変化
図8 効果的な仮眠促進ポスター 図9 効果的な夜間睡眠促進ポスター
図10 知識啓発による授業中の眠気頻度の変化
図11 知識啓発前後の生活習慣の変化