サスティナビリティ班
アンケート調査
 目的 筑波大生の睡眠実態の調査 方法 質問紙調査 対象 筑波大学学群生・大学院生 日程 2018年5月8日(火),9日(水),10(木) 主な質問項目 ・睡眠行動に関する基本情報(平均睡眠時間、就寝時刻など) ・授業中眠くなる・寝てしまう頻度 ・どのような授業が眠くなるか ・不眠症の疑いを測るための尺度を用いた項目 ・仮眠の頻度 回答者数 ・男性...185名 ・女性...127名 ・合計...313名 より有効な回答を得た。
集計結果
 筑波大生の平均睡眠時間は6時間11分、平均就寝時刻は0時25分という結果だった。ここで、アメリカ国立睡眠財団(NFS)によると18~25歳の推奨睡眠時間は7~9時間であるため、筑波大生の平均睡眠時間は短いと言える。 また、右に筑波大生が授業で眠くなる・寝てしまう頻度を集計した結果を示す。これによれば、筑波大生は授業中少なくとも1日に1回以上眠くなる人が約8割、寝てしまう人が約6割いることが分かる。 睡眠時間と眠気の関係をみていく。下の図から分かるように、平均睡眠時間が長いほど授業で眠くなる頻度は少ないという結果が得られた。 何限の授業が最も眠くなるのか明らかにするため、スタンフォード大学で作成された「スタンフォード眠気尺度」を用いて各次限ごとの眠気の程度を測定した。1~7の7段階で眠気を評価するものであり、点数が大きくなるほど眠気が強いことを示す。 スタンフォード眠気尺による各時限での眠気の度合いを右に示す。3限が最も眠いという結果となった。 仮眠をする人としない人の間で授業中の眠気の頻度に有意な差があるのか検定を行ったが、p値=0.23>0.05 となり、有意な差は見られなかった。 筑波大生の不眠症の疑いをチェックするために、WHOが創設したプロジェクトにより作成された「アテネ不眠尺度」を用いて集計を行った。 その結果、不眠症の疑いが「あり」「少しあり」という結果が出たのは全体の71%となり、全国平均の56%を大きく上回る結果となった。
図1 授業中眠くなる・寝てしまう頻度
図2 平均睡眠時間と眠くなる頻度の関係 表1 スタンフォード眠気尺度
図3 時限ごとの眠気の程度
図4 仮眠の頻度と授業中の眠気の程度
図5 アテネ不眠尺度による不眠症の疑い
まとめ・考察 ・筑波大生の睡眠時間は短く、不眠症の疑いがある人が全国的に見ても多い。 ・平均睡眠時間が短い人ほど授業中眠くなる頻度が高い。 ・3限の時間が最も眠くなりやすいため、昼の時間帯に対策をとる必要がある。 ・普段仮眠をしている人としていない人の間で眠気の頻度の差がなく、実際に仮眠を取り入れている高校や企業では実際に効果が確認さ れていることから、筑波大生は効果的に仮眠が行えていないのではないか。
分析結果
分析方法 ・睡眠時間に影響を及ぼす要因の推定→重回帰分析(目的変数:平均睡眠時間、説明変数:属性変数) ・授業中眠くなる要因の推定→数量化Ⅱ類分析(目的変数:授業中眠くなる頻度、説明変数:属性変数)
 まず、なぜ筑波大生は睡眠時間が短いのかを探るための重回帰分析の結果が右の表である。属性変数は全65変数から8変数でモデルを構成し、分析を行っている。 有意な要因として通学時間、体育系団体活動日数、就寝時刻、性別が挙げられ、睡眠時間に対して性別には正 の相関すなわち男性の方が睡眠時間は長く、その他3要因には負の相関すなわち通学時間が長い、就寝時刻が遅い人ほど睡眠時間が短くなるということが分かった。 続いて、なぜ授業中に眠くなってしまうのかを探るための数量化Ⅱ類分析の結果をみていく。目的変数の眠くなる頻度は質問項目の「1.毎コマ眠くなる」と「5.週に一回程度眠くなる」「全く眠くならない」の2群に分けて分析を行っている。 得られた結果から、日常生活に関して特に相関のあるものを抜き出したものであり、平均睡眠時間が短い、睡眠の質向上のための対策を行ってない、一週間あたりのコマ数が多い人ほど授業中に頻繁に眠気を感じているということが分かった。
表2 重回帰分析 結果
図6 数量化Ⅱ類 結果
まとめ・考察 ・筑波大生の睡眠時間が短い要因として「通学時間の長さ」「体育系団体の活動が多い」「就寝時刻が遅い」などが挙げられる ・筑波大生が授業で眠くなる要因として「平均睡眠時間が短い」「睡眠の質向上のための取り組みをしていない」「授業のコマ数が多い」 が挙げられる これらを踏まえて ・仮眠による睡眠時間の確保 ・睡眠に関する知識の啓発 ・空きコマ以外でも利用可能な仮眠室 の3つが筑波大生の眠気の改善に効果があるということが言えるのではないかと考える。