2.1 既存事例の研究2.1-1 埼玉県立浦和第一女子高等学校の例 班員のひとり、金の母校である埼玉県立浦和第一女子高等学校には1本の夏みかんの木が植えられている。図2.1はこの高等学校における夏みかんの木に関する写真(井口巌先生(浦和第一女子高等学校)撮影)である。この高等学校では図に示したとおりそれぞれの夏みかんの実に生徒が自身の名前を書き、その果実が熟すと個人が自由に持ち帰ってマーマレードなどにして食べている。植物が生徒に対しただの景観的役割以上の効果を持ちうることを示す好例である。 ![]() 図 2.1:埼玉県立浦和第一女子高等学校 夏みかんの木 2.1-2 長野県飯田市の例 長野県飯田市の市街地には図2.2に示すようなりんご並木(「おいでなんしょ南信州」より引用)が存在し、市内の小中学生が維持管理を行っている。1947年4月に発生した飯田大火による市中心部における大きな被害を教訓とし、防火の目的として植えられたものであったが、現在では防災面のみならず大火復興の、またまちのシンボルとして、また日本の道百選やかおり風景100選に選ばれるなど地域の宝として、地域活性化と住民の心のオアシスとなっている。 ![]() 図 2.2:飯田りんご並木 2.1-3 青森県五所川原市一ツ谷の例 青森県五所川原市一ツ谷にはこの市で生み出されこの市内のみでしか栽培の許可されていないりんごである「御所川原」という品種によるりんご並木が形成され市が維持管理を担っている。図2.3はその様子を示した写真(「まるごと青森」より引用)である。果実の外見のみならず果肉、花、若葉、枝まで赤いというこの品種特有の珍しい特性から注目を集め、地元住民だけではなく、観光客を含めた多くの者の憩いの場として重要な役割を果たしている。 ![]() 図 2.3:五所川原りんご並木 2.1-4 愛知県豊橋市青陵中学校の例 愛知県豊橋市の青陵中学校に近接する青陵街道には1kmにわたり80本の木による夏みかん並木が存在する。図2.4がその様子を示した写真(「青稜中学校HP」より引用)である。大火復興のために現地の中学生により造られた飯田りんご並木(前述2.1-2)にヒントを得て実現されたこの並木は中学校と地域住民が一体となって整備、管理されており、学校と地域をつなぐ大切な絆として、そして地域のシンボルとして愛されている。並木とその管理に関する作業によってまちを愛する心が育まれ地域に活力を生み出している例である。 ![]() 図 2.4:愛知県豊橋市青稜中学校夏みかん並木 TOPへもどる |