都市計画実習2010
社会的ジレンマの説明 藤井聡先生の本を参考に・・・
私たちが、3A棟内に掲示したものの紹介☆
1.心理的方略: 個人の信念、態度、責任感、信頼、道徳心、良心に働きかける
Ⅰ 「事実情報提供法」= 間違った情報の矯正、有用情報の提供での認知
① 思い込み仮説:習慣的非協力者は、協力行動について過度に否定的な信念を、
非協力行動について過度に肯定的な信念を形成
→ 『食事をしている人へ自分の予想飲食時間と実際の飲食時間とのギャップを認知してもらい、
長時間飲食・昼食時の長居によって食堂の席が上手く回転していない現状を伝えてはどうか…』
② 他社の協力行動についての過小評価:
他社の協力行動の事実情報の提供の効果を狙う。他社の実際の協力率を告知した方が
告知しなかった群よりも
高い道徳心を
持ち、より少ない非協力行動をすることがわかった
→ 『何らかの形で我々の食堂改善の案に協力している人がいる現状を伝える』
Ⅱ 「経験誘発法」= 行動の経験による態度と行動の変容を期待する方法
一時的構造変化 = 一時的な協力行動への加担による変化
プロセス
i) 時的構造変化による非協力者の協力行動の誘発。 但し、一時的構造変化による協力行動の誘発も
非協力行動について形成している習慣が強いほど、協力行動は誘発されにくい。
ii) その経験よる思い込み認知の矯正。
強習慣者ほど一時的構造変化による否定的思い込み認知の矯正が大きい。
iii) 一時的構造変化の終了後も、行動の環境構造が元に戻った後も、
持続的な協力行動の形成を期待できる。
Ⅲ 「コミュニケーション」
鉄則 ①明確に対象者を意識し、対象者に経緯を評したコミュニケーション。
②非協力行動を一面的に否定するのでなく、“非協力行動を実行する気持ち”は 理解できることを
表明した二面的コミュニケーションを心がける。
③協力行動を実行するに当り、必要な情報を提示し(アドバイス法)、
行動プランの計画を要請する(行動プラン法)
2.構造的方略: 法的規制による非協力行動の禁止
Pull法 ⇒ 協力者への利己的利益の増加
Push法 ⇒ 非協力者への利己的利益の現象
・ 心理的方略のみでのジレンマ解消は不可能
(ダーウィンジレンマ⇒少数の利己的な非協力者による利益の独占による協力者の駆逐)
・ 協力率関数(s字型):
各人の協力傾向が他社協力率の増加により増加する傾向。
逆に、非協力行動が非協力行動を生み、最終的に大半の人が非協力行動をする恐れあり。
理論上、協力関数の情報シフトによりすべてのジレンマは改善されうる。
『副作用』
メリット:協力行動の強制のみでなく、人々の自発的な協力を促す。
構造的方略の導入が社会的ジレンマの問題の存在という意識を活性化させ、
何が協力行動でなにが非協力行動かを指示する。
デメリット:賞罰システムの導入により「取引問題」ととらえ、自分にとって損か得かを考える恐れがある。
(ロードプライシング:ここでは車の利用自体が正しいのか正しくないのかでなく、
自分にとって課金が得かに焦点が置かれている)
また、利己的利益増加のシステムが内的動機を低下させる
⇒アメと鞭で人間の行動をコントロールするという信念で構築された社会政策は、
実際にアメと鞭でしかコントロールできない利己的で合理的な人間を作り出す可能性あり。
藤井聡(2003):社会的ジレンマの処方箋、ナカニシヤ出版より