空き地を活用した公園整備
1. 背景
土浦市全域において、良好な住環境を構成する要素の一つとして考えられる都市公園が不足しているエリアが多いことが課題として挙げられます。下図から明らかなように、人が多く居住しているエリアであっても都市公園の誘致距離がカバーしていないエリアが多く、良好な住環境を形成するためには都市公園、もしくはそれと同等の環境の整備が必要だと考えられます。
特筆すべき地域として、荒川沖駅周辺には立地適正化計画において都市機能誘導区域に指定されているにもかかわらず都市公園が不足していることが明らかです。それに加え、空き地が点在しており、良好な住環境が形成されているとは言い難いです。
2. 概要
本提案では、良好な住環境を形成するため、放置すると外部不経済を発生する恐れがある空き地を活用した、街区公園相当の公園を整備することを提案します。公園整備にあたっては下図に示すスキームを用いることを想定しています。
従来は、行政が直接用地を取得することにより公園整備に取り組んできましたが、様々な要因からその手法には限界が生じてきました。そこで、より柔軟な公園整備を実現すべく、空き地地権者と、空き地を活用したい市民や、公園整備を手がける主体であるみどり法人が直接土地の賃貸契約を結べる仕組みを作ります。
具体的には、空き地地権者と民間主体のマッチングプラットフォームを整備します。空き地地権者が空き地情報を登録し、民間主体が登録された空き地情報を元に土地を探し、両者間で土地の賃貸契約を締結します。行政はマッチングプラットフォームの管理や、空き地地権者と民間主体の賃貸契約の仲介を行います。また、実際に整備する公園は、単なる市民公園としての利用を目指すというよりも、民間の自由な発想で様々な形のオープンスペースの創出を促進します。趣味のガーデニングを公開し、憩いの場としたり、近隣住民でバーベキューをするための整備をしたりと、活用法は様々なものを想定します。
3.効果
本提案におけるスキームの導入により、外部不経済をもたらす空閑地を行政以外の多様な主体が活用することで、景観の向上や地域住民の憩いの場の創出などに資する空間の形成が活発化されます。また、下図において示された通り、都市公園誘致距離外の地域が多い中で、各地に点在する空き地を活用した公園整備を行うことで、公園と同等の空間へアクセスできる人が増加することが挙げられます。ここでは、具体的な例を取り上げることで、この効果の定量化を試みます。
市内で最も公園整備が必要と考えられる荒川沖駅周辺を例として、効果測定を行いました。本事業の導入により、荒川沖駅周辺の空き地4箇所に新たに公園が整備されることを想定します。その公園の誘致距離を、街区公園における誘致距離と同じく250mと設定した上でGISによる解析を行った結果、新たな公園の誘致距離内人口が3,918人でした。つまり、この例における事業の効果として、新たに3,918人の人が公園へアクセスできるようになったと言えます。