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お試し居住プラン

1.背景

現在、土浦市は、土浦市独自の魅力を発信し、移住につなげる取り組みを行っていません。また、管理不全空き家率が全国平均よりも27.5%高いにも関わらず、空き家バンクの登録は現在1件であり、空き家対策は順調に進められていません。
しかし、土浦市は、東京・品川まで乗り換えなしで約50分、常磐道で約1時間と、公共交通や自動車での都心へのアクセスが良く、公共施設や教育機関が整っている一方で、緑豊かな自然を感じられる場所が近くにあるなど、ほどよい田舎であるといった利点もあります。
そこで、都心に通勤する世帯に着目し、土浦市独自の魅力を発信する移住促進施策として、空き家を活用したお試し居住事業を提案します。

2.概要

事業スキーム

お試し居住事業は次の3ステップで構成されています。

初めのステップでは、空き家の修繕が行われます。民間企業が市からの委託を受け、空き家情報や補助金を利用して、新治、北部、中央、南部の各地区にある空き家1件を修繕します。
次のステップでは、修繕した空き家を利用して、お試し居住プランを実施します。お試し居住を希望する人は、各地区で整備された家の中から、自分の好みに合った特性を持った地域に一か月間お試し居住することができます。その期間中に買い物や公共サービスを利用して、利便性や快適性を確かめることができます。また、民間企業が、お試し居住者と同じように移住してきた人や地域の人との交流を促進し、移住後の人脈づくりの手助けを行います。さらに、市が土浦市で実施されている子育て支援制度や暮らしに関わる仕組みについて説明する時間を設けることで、土浦市の魅力を知ってもらう機会を作ります。
最後のステップは、移住を決めた後の支援です。お試し居住から移住に踏み切った人には、市からの支援金が配布され、移住の準備のサポートが行われます。
以上のように、空き家活用・お試し居住・移住支援の3つのステップを通して、移住を支援する事業がお試し居住事業です。

各主体の関係

こちらは、この事業に関わる主体の関係図です。まず、所有者から空き家を提供していただく代わりに、市が住民税を控除します。次に、市が空き家情報を民間企業に提供し、民間企業が空き家修繕を行います。その後、民間企業が居住先の提供やコミュニティとのマッチングを行い、お試し居住者は民間企業に利用料を支払います。最終的に利用者が移住を行うと、市からの支援金を受け取り、将来的に移住者は土浦に納税することになります。

活用例

このお試し居住の活用例として、南部地区では、都心へ通勤する子育て世帯が、ほどよい田舎で生活するという使い方が考えられます。また、新治地区では、テレワークを中心に二拠点居住を実施したい世帯が、不動峠でサイクリングや山登りを楽しむ生活を試すという使い方が考えられます。

3.費用・収益

この事業の初期費用は2,600万円で、維持管理費は年間80万円です。
また、利用者からは年間192万円の収益が見込まれています。これにより、約23年で初期費用を回収することができます。

4.効果

このお試し居住事業による効果は、移住に対する心理的な障壁を取り除き、移住者が増加することです。今までは、土浦市には観光や通勤通学で来る人はいましたが、ルーツや愛着を持って実際に移住するには高いハードルがありました。しかし、このお試し居住で、移住のイメージ(利便性やコミュニティ)を明確にすることで、心理的な障壁を減らし、移住者の増加につなげることができます。また、空き家を活用することで、住む人が入れ替わり、人がめぐる街となることが期待されます。