1.理念・目標
土浦市の現状や課題について調査した結果から以下のの3つを本マスタープランにおける理念および目標とする。
生活水準を落とすことなく財政健全化を図る。
市民が愛着・誇りを持てるまちをめざす。

2.将来像・基本構想
①人口
土浦市は今後人口減少、少子高齢化がより進んでいくことが予想されている。
それらにより税収減少が起こることや空き家空き地の増加、コミュニティ希薄化などの様々な問題が生じる。
そこで本マスタ―プランでは人口減少、少子高齢化という諸問題の根本的課題に対して「住みやすさ向上」することで解決することとした。
これにより将来にわたり人口流出を抑え流入を増加させることで適正人口規模(住民一人当たり費用が少なる人口数)に近づける火種になり
歳出を削減できると考える。そして人口減少を抑えることで税収減少を抑えることや、空き家空き地問題、コミュニティ活性化等の諸問題の解決が図られると考えられる。
適正人口規模を導き出すために、土浦市と環境が類似していると考えられる北関東の市町村を対象には一人あたり市町村の歳出額,行政サービス水準と人口規模に関する回帰分析を行った。
その結果、図23のようになった。縦軸が市町村一人当たり歳出額、横軸が対数人口である。
図より一番歳出額が小さい人口は111436人、つまり11万人程度を目標にすることが適切な規模であると考えられる。

②財政
マスタープランでは財政難の一つの指標である財政調整基金枯渇を回避することを目標にする。 今回は10年を目標とするが今後は長期的にも枯渇を回避できるようなものしていきたいと考えている。 枯渇回避することにより土浦市が将来にわたり維持することができるようになり、比較的自由に行政サービスを提供できるようになると考えた。
③都市構造
土浦市の都市構造を、今後の人口減少社会に備えたコンパクトシティ政策を実現させるために市内各地に拠点を設定し、 それらを結ぶ公共交通網の充実を図るため、自然的環境を考慮したうえで以下のように将来都市構造を定める。
●拠点・都市活動軸
土浦市の拠点及び都市活動の構造として、拠点(都市核)及び各種軸を設定する。都心的な拠点として土浦駅周辺、生活の拠点として荒川沖駅周辺、神立駅周辺、おおつ野地区周辺、そして新治地区の中心となる藤沢地区の4か所を設定する。また、土浦駅を中心に市内の各拠点を結ぶために地域内連携軸を、市内拠点と隣接市町とを結ぶ広域連携軸を設定し、公共交通路線網の充実を図り生活の利便性を向上させる。

●観光・自然的環境
水辺環境として霞ヶ浦、桜川、花室川を、自然環境として市内北西部新治地区に存在する筑波山麓を設定し、保全及び有効活用を図る。また、観光拠点として亀城公園や小町の里の活性化を図る。さらに、緑の拠点として、既存の総合公園や運動公園の充実をめざす。

●将来都市構造図
拠点・都市活動軸と観光・自然的環境、これらを踏まえた将来都市構造図を以下のとおり設定する。

3.部門別構想
1.人口・財政・公共施設
1-1.人口
・人口流出
「流入増加」→産業誘致・新規就農者による雇用創出
「流出減少」→子育て支援による魅力向上・農業の魅力向上
・少子高齢化
「年少人口・生産年齢人口増加」→産業誘致
「高齢化社会対応した生活拠点の整備」→その地区の特徴にあった拠点設置
1-2.財政
「財政破綻の危機」→産業誘致による税収増加
1-3.公共施設
「公共施設維持管理困難」→土浦市がすでに取り組んでいるため、追加の対策は行わない。
2.交通・道路
土浦市における「グループタクシー制度」の導入

3.住宅・コミュニティ・まちづくり・防犯・福祉・景観
「市民と住環境の調和した暮らしづくり」
市民の生活は市民の属性及び様々な行動要素から成立している。 土浦市の少子高齢化や老朽化、モータリゼーション等の社会現象により、 属性や行動要素が多様化し、市民の生活に課題が生じる。 社会変化と共に変化する市民の住環境もまたそれに合わせて適応させていくことが必要である。 またこれら市民の生活における課題解決のためには、 市民各々の土浦市の現状に対する意識をマネジメントすることも必要になる。 そのために、ソフト面での対策や意識伝達の手段としてのコミュニティづくりを進めていく。
4. 産業振興・観光・歴史
4-1.商業
回復の兆しを見せつつある中心市街地の空洞化にさらなる施策を施すことでかつての賑わいを取り戻す必要があると考える。
4-2.工業
企業が新規参入しやすくなるような制度を整備することが必要であると考える。
4-3.観光
現在の土浦市には多くの観光資源があるが、それらを活かしきれていないという課題がある。 そこで、様々な観光資源の中から土浦駅前に新たにできる体験型サイクリングリゾート「PLAYatre」に注目し、自転車を活用した観光に力をいれる。
5. 環境・農業・防災
5-1.農業
私たちは新規就農者の増加を促し農地を活用し耕作放棄地を減少させることによって、 結果的に土浦市の農業を保全することにつながるような事業案を考え必要がある。
5-2.環境
土浦市の予算推移より土浦市において重視されている環境問題は水空間の保全と地球温暖化についてであり、 それ以外の公害対策や動植物保全、環境教育、歴史文化保全などに関してはあまり予算をかけていないのが実情である。 私たちは環境に対するソフト的な視点からこれらの問題を対処していきたい。
5-3.防災
土浦市が今後注力して取り組むべき課題は、洪水対策であると私たちは考える。 ハードの整備に注力されがちな洪水対策だが、ハード的な整備だけでは限界があり、 現在の洪水対策の在り方について考え直す必要性が高いと考えた。
6.市民協働
「幅広い世代が気軽に市民協働に参加できる環境」
市民協働では多様な市民のニーズに対応することが可能であり、 行政では手の届かない問題を協働によって解決できるものである。 しかし現在、土浦市の市民協働の課題として、 市民協働を活性化させる手軽な方法がない、市民協働の新規事業が少ない、 市民協働参加者の属性が偏っているのである。 そこで、携帯アプリを活用した手軽な協働活性化方法で、市民の生活により近い、 環境、防災、防犯、福祉などの分野を解決する手段として市民協働を取り入れる。