2-3-1 土浦駅再開発
近年は駅前の商店数、従業員数、販売額とも減少傾向にあり、駅前の衰退化が避けられない状態である。
駅前商業施設としての営業不振として、土浦駅西口駅前の「イトーヨーカドー土浦店」(土浦市大和町)が2013年2月をめどに閉店を検討しており、市の中心市街地活性化にとって痛手となるだろう。
また、大型ショッピングセンターが郊外に建設され、ますます中心市街地の空洞化が進むとともに、モータリゼーション化が進んでいる。
さらに、亀城公園やまちかど蔵など城下町の面影を残し、歴史の小径などの景観整備が進んでいる一方、駐車場に転用された土地が数多く存在し、自然環境の不足が目立つ。
2003年、駅前のにぎわいの創出として「土浦駅前北地区第一種市街地再開発事業」による複合施設棟及び住宅棟からなる再開発ビルが計画されたが、建設資材の高騰や、事業参加の公募が無かったことから、計画の見直しがされている。
2-3-2 モール505
モール505は、昭和60年代に祇園町商店街買収における、そこの商店会の新たな移転先として、鹿島建設株式会社が施工した商店街の長さ505mの三階建て鉄筋コンクリート建築物である。
土浦駅より徒歩約15分という、距離的に条件の良い土地に立地している。
三階建ての商店街が珍しいということもあり「うさぎドロップ」など映画等の撮影場所として用いられることがある。
バブル以前は栄えていたと言われるモール505であるが、駅前のイトーヨーカドーや郊外にある土浦イオンショッピングモールなどの大型商業施設の出没により、現在は空きテナントが多く、人通りのない廃れた状態になっている。
特に郊外に建設された土浦イオンショッピングセンターの影響力は大きく、土浦駅周辺の衰退化が近年著しい。
505m続く三階建ての建物と、モール505前に広がる広場の上を通過する高架により、圧迫感が強く、暗い印象を持つような環境となっている。
また、広場にある人口の水路は土浦市が管理しているものであるが、人通りもない空間で水を流す際の管理費等が市の経費を圧迫させるために、現在水路に水が流れていない状態となっている。
広場に緑が少なく、コンクリートの無機質感が漂い、殺風景な空間が生まれているなど、モール505の環境を活かしきれていないことが問題である。
モール505の建物管理を担っている株式会社モール505の高野様へのヒアリング調査より、現在モール505では空きテナントを活用して、学生バンド等の発表の場や絵画・作品の展示場としての提供を行い、また市内の方を巻き込んだイルミネーションイベントを開催し定着化させるなど、市民に馴染みを感じてもらえるような工夫を行っている。
モール505では商店の統一が為されておらず、顧客の立場に立った店づくりになっていないこと、また大型商業施設と同じような仕組みをモール505に取り入れるところで、構造上の違いなどから、やはり大型商業施設には敵わないであろうというご意見を頂いた。
また、モール505の将来像として、「日中ふらっと寄れるモール」を目指したいとのことであった。
土浦市へのヒアリング調査から、モール505を解体するにも資金が掛かるため、壊すことも出来ず、現状を保っている状態となっている。
2-3-3 ロータリー整備
土浦駅西口ロータリーの現状として、ウララと土浦駅ビルを結ぶペデストリアンデッキがあり、動線が危険に交差しない駅前広場となっているが、既存の横断歩道や歩道を利用せず、車道を斜めに横断する利用客が多く、通勤時間帯となるとバスの往来も激しく、これにより歩行者とこれにより歩行者と路線バスの導線が交差しており危険な状態である。
2007年9月29日にはバスと歩行者の接触による死亡事故も発生している。
また、駅ビル前の車道への進入規制違反の自家用車が多い。
さらに、車椅子用の自家用車乗降場はあるがその他機能に関してバリアフリーの観点からも整備が必要である。
図 土浦駅西口ロータリーの現状と動線
図 進入規制違反の自家用車の様子 図 バス動線と人動線が交差している様子