君たちはどう学ぶか

概要

 今後オンライン授業を活用していくことを考えると、まずは学生のオンライン授業の受講実態を知る必要がある。私達は中間発表までに学生に対するアンケート調査を通して、現状を把握・分析することにした。

方法

 予備調査のアンケート作成に当たって、班員の友人らに対し、オンライン授業に対する意見をインタビュー形式で質問した。下の表に回答者の属性を示す。インタビュー調査から得た意見を参考にしつつ、学生のオンライン授業の受講実態を把握するための質問項目を作成した。 

 そして予備調査のアンケートはGoogle formsで作成し、学類やサークルなどのLINEグループを利用して全学年・全学類を対象に回答を募った。社会工学類と国際総合学類を中心とする2、3年生の計156名から回答を得た。

結果

1 時間の使い方について

 「オンライン授業(リアルタイム型を除く)をいつ視聴しているか」、「受講時間帯を選べることをどの程度魅力的に思うか」という2項目で学生のオンライン授業下での時間の使い方を調べた。この結果は図1、図2のグラフの通りであるが、ここからは78%の学生が本来の時間割の時間外に受講していること、またこのように受講時間を調節できることに対して魅力を感じている学生が78%と非常に多くいることが明らかになった。現行でのオンライン授業はあくまでも実空間授業の代替という位置づけであり、正規の時限通りに受講するのが望ましいかもしれない。しかし、学生が自身の生活や体調などの事情を踏まえた上で受講時間を調節できることはオンライン授業特有の利点であるとも言える。(下図は左から図1、図2である)

2 オンライン授業特有の機能と活用

 オンライン授業の形式ごとに、どのような機能を利用し受講しているのかを質問した。結果は以下の通りだ。 

・オンデマンド型:一時停止、再生速度の変更、複数回視聴 

・資料配布型:ダウンロード、読み上げ機能の使用 

・音声付きppt:ダウンロード、資料を読んで音声は聴かない 

・リアルタイム型:画面録画やスクリーンショット 

以上のように、学生はその形式特有の機能を利用してオンライン授業に臨んでいることがわかる。この結果から、学生個々人の理解度や集中力、通信環境などに合わせて柔軟に受講できることで学生の学習効果の向上につながるのではないかと推測ができる。 

3 形式別の問題点

 オンライン授業のデメリットに焦点を当て、事前のインタビュー調査において学生から問題点として挙げられた項目を授業形式ごとに質問した。結果としては、オンデマンド型では「受動的になる」、音声付きppt、資料のみでは「解説が足りない」リアルタイム型では「通信環境で支障が生じる」といったように、形式特有の問題点を抱えていることが分かった。このことから、上記のようにオンライン授業を一括りにして実空間授業より優れている、と述べることは安直であるといえるだろう。

4 授業形式による評価(実空間との比較)

 オンラインでの各授業形式において、実空間と比べて授業に集中できているか、授業が身になっていると思うかを評価してもらった。この結果からは「オンデマンド+資料」ではややポジティブな変化が多く、「資料のみ」ではネガティブな変化が多いことが読み取れる。「リアルタイム双方向」ではポジティブな変化が多いが、実空間と同じくらいと回答した学生が多い。「オンデマンド(動画のみ)」「リアルタイム一方通行」では平均してみると実空間と変わらないことがわかる。また以上のような変化はみられるものの、あまり大きな変化ではないようにも思われる(これに関しては後日t検定を行う予定である)。このことからa)すべて「オンデマンド+資料」の形式にしてしまえばいい、b)実はオンライン授業は実空間と同程度の授業を提供できているので受講環境として好ましいほうで受講すればよい、という二つの可能性が見える。 

5 学生の声

 前章での実態調査の最後に自由記述欄を設け、オンライン授業に対する意見を記述してもらった。以下にそのうちのいくつかを抜粋して記載する。 

 「恥ずかしいことだが、オンライン授業が始まってから授業への理解度が大変高まった。実際の授業ではボーッとして一切話を聞いていなかったり、挙げ句の果てに授業中惰眠をむさぼってしまうことさえあった。オンライン授業になってから最初のうちは聞いていなかった部分を巻き戻したり、自分に適した速度で視聴することにより真面目に学ぶことができた。  しかし、集中力を保つために休息をこまめに取った結果、授業時間内に視聴が終わらないことが増えた。また、以前よりもはるかに授業に集中しているため、疲労度も上がったように思える。(大変喜ばしいことだが)。結果として現在は一日遅れて受講をしており、ある程度の理解度で妥協して授業を終わらすことも増えた。(実際の授業より理解度は高い)。また、一日中ディスプレイを見ているため眼精疲労が蓄積している。同時に、私の自宅には学習机がないため低い机にパソコンを起き、座って授業を受けている。姿勢にもやや負担がかかっているように感じる。」

 「今は閉塞的空間で人の手を借りづらいからみんなある程度頑張って授業を受けているけど、自由に外に出られるようになったら、必ずしも家で受けるとは限らないし、勉強に取れる時間も変わってくるから、必ずしも今のままの集中の仕方ではないのかなと思います。 」

 「授業は巻き戻せるし、質問はメールで聞けるし、問題は全くない。好きな時間に受けられて自分のQOLは向上している。」 

 「大学は勉強をするところ。課題が増えたから嫌だと本質的でない文句を言っている人たちがこのアンケートに答えているようなので、そのような学生に値しない愚民の意見は破棄していただきたい。」