君たちはどう学ぶか

背景・目的

 現在、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、筑波大学をはじめとする多くの大学で実空間授業が制限されてオンライン上での講義が行われている。 文部科学省の調査によると6月1日の時点で、全国の国公立大、私立大、高等専門学校の計1069校のうち、授業中断中の3校を除いて、オンライン授業のみを実施している学校が約6割、 実空間授業とオンライン授業を併用している学校が約3割、従来通り実空間授業を行っている学校が1割弱という数字になっている。少なくともその中の89校は7月の末まではオンライン授業を継続する予定だと回答している。 また、こうしたオンライン授業への移行は欧米やアジアを中心に世界中に広まっている。とりわけ海外では日本以上に感染状況が深刻な国や地域が多く、より長期的なスパンでオンライン授業を導入する傾向が見られる。 例えばイギリスの名門大学であるケンブリッジ大学では、実空間授業を今年10月から来年の9月まで実施しないと発表しているほどだ。現時点で依然として新型コロナウイルス感染拡大の勢いは衰える傾向は見られず、 また今後の第2波や第3波の影響を考えると、すぐに実空間授業が全面再開されることは考えにくい。

 ところで、現在国内で行われているオンライン授業の形式としては、大きく分けてzoomやteamsなどのウェブ会議システムを使った「リアルタイム型」、教員が事前に作成した授業動画を学生が都合の良い時間に 視聴する「オンデマンド型」、動画は使わずに教員が配布する資料を学生が読み、レポートなどを提出する「資料配布型」の3パターンが挙げられる。こうしたオンライン授業は学生の事情に合わせながらの学習が可能になり 一部では肯定的な意見が見られるものの、他方では電子機器やネットワーク環境による教育格差、生活習慣の悪化、対人交流の減少などの様々な問題が浮上している。 今後、日本でも程度の差はあれオンライン授業が継続されていく可能性を考えると、上記のような問題にいかに対処していくかが重要な鍵になるであろう。 その上で現在新型コロナウイルスの影響により多くの大学がほぼすべての授業がオンライン上で行われていると述べたが、実際のところ新型コロナウイルスの流行以前から欧米や国内の一部の教育機関では eラーニング教育と呼ばれるICT活用の潮流が見られていた。授業のオンライン化の流れはこの度の特殊な状況下で急速に拡大・加速したと言うことができ、感染症の懸念が解消した後もこの度広まったオンライン授業の要素が 活用されていくことが期待できる。したがって私達はこのオンライン授業の活用というテーマが新型コロナウイルスによる一時的な変化ではなく、新しい教育のスタイルという長期的な展望にまで繋げることができると考えた。 こうしたことを踏まえ、私達はオンライン授業を活用することにより筑波大学における学生の学びがよりよいものになるのではないかと考えた。