あつまれ? ひなんしゃの森

ヒアリング調査概要

 自治体のCOVID−19下での災害対策のより詳細な部分や,自治体の生の声を聞くことを目的として,ヒアリング調査を行なった.調査の概要は表1の通りである.

表 1 ヒアリング調査概要

調査対象 つくば市危機管理課
土浦市総務課危機管理室
常総市防災危機管理課
調査方法 つくば市:Skypeを用いたオンラインでのヒアリング
土浦市・常総市:メールを用いた文書でのヒアリング
調査内容 避難所開設・運営,災害に関する情報伝達,自治体の意思決定・予算,住民や学生に期待すること

ヒアリング調査結果

<注:以下の情報はヒアリングを行った2020年6月19日(金)時点のものである.>

①避難所の増設について

図 1 避難所の増設に関する各市の答え

 まず,従来の災害時避難では避難所が非常に3密な空間となることが予想されるが,分散避難や避難所の増設,避難所運営などで変更点や工夫している点はあるか伺った.図1の会話の通り,どの市も市内の公共施設を利用するなどして,避難所スペースを増やす計画があることがわかった.
 しかし,つくば市は実際に災害が起こらないと避難者数を把握することが困難なため,どのくらい避難所を増設すれば良いかが難しい点だと仰っており,土浦市と常総市は,避難所を増設することで職員が不足することを懸念していた.

②避難所内での感染対策について

図 2 避難所内での感染対策に関する各市の答え

 次に,避難所内での感染対策について伺った. 3市とも感染対策のための物資を導入しているが,つくば市と常総市からは,物資不足や予算不足により十分な数は確保できていないという回答があった.

③分散避難について

図 3 分散避難に関する各市の答え

 次に,分散避難に関してである.分散避難とは,在宅避難や車中避難,ホテルや親戚友人宅に避難することを指す.3市ともできる限り分散避難をしてほしいと言っており,既にそれらを市民に周知している.
 さらに土浦市は,分散避難をしている住民に対する支援として,物資の配布についてHPやメールなどで情報発信を予定している.

④災害時避難の情報伝達について

図 4 分散避難に関する各市の答え

 次に,災害時避難に関する情報発信についてお伺いすると,どの市も様々な情報伝達手段を使用して,情報の周知に取り組んでいることがわかった.また,インターネット環境がない方への情報伝達手段についてお伺いすると,3市とも,防災行政無線やテレビのdボタンを活用するように日頃から市民に周知していると言っていた.
 さらに,つくば市は,いざという時に情報共有ができるようなコミュニティづくりを住民にお願いしていると言っていた.

ヒアリング調査まとめ

 以上から自治体は避難所の増設や運営,情報発信に関して様々な取り組みをしていることがわかった.しかし物資不足や職員不足といった問題から,自治体での対策には限界があるようだ.そのため,市の職員の方も繰り返し述べていたように住民自らが資材を調達する,分散避難をする等の「自助」「共助」の考え方が非常に重要であると言える.

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