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2.ヒアリング調査

調査の目的
アンケート調査では、学生の関心のある生活情報が何かを知ることを求めた。次のヒアリング調査ではアンケートで得られた回答に対応する実際の学生生活に注目したヒアリングを行い、その結果からつくばならではの特色ある生活スタイルの要素を発見したいと考えた。
調査した事例
アンケート調査より読み取った「学生の知りたい情報」を基に、入手できそうな活動を行っている学生を対象としヒアリングした3つの事例を以下に挙げる。
 
(1)ランニングをする学生
(2)食材を安く調達している学生
(3)創作活動をしている学生
事例内容と考察
ここで今回ヒアリング調査を行った事例の概要と特色ある活動の内容、およびそれに関する考察を示すこととする。なお、ヒアリング調査は、6月7日から12日までの期間に、各事例に該当する筑波大生に対して個別に行ったものである。
《 事例1:ランニングをする学生 》
ヒアリング協力者 博士前期課程1年 Oさん
活動の概要 陸上部に所属しており、自己の記録の更新のためほぼ毎日ランニング練習をしている。練習場所は大学のグラウンド、二ノ宮公園、洞峰公園、筑波山等である。
住生活 練習場所に近い千現のアパートを陸上部の仲間12人で貸し切り、ルームシェアを行っている。このアパートの大家は陸上部を10年以上支援してくれている。
食生活 朝食は当番制で行っている。また野菜は大家の持つ畑から取り放題である。
活動の魅力など 練習をすることで日々の成長が感じられる。
学生へ一言 ぜひこのような活動をやってみてください。つくばマラソンに出てみると良いです。
中学から長距離をやってきたOさんは現在でも時間がある時にランニング練習を続けている。土日の午前中は洞峰公園にて練習、また平日には朝6時前から二ノ宮公園で練習を行う日もある。  このような生活が送れるのは、ランニングという活動をするにあたってつくばの環境が良いということが挙げられる。近くに大学グラウンドやループ道路、大規模な公園など走るのに適した施設が整っており、市内は緑も多いため空気も良い。また筑波大学には体育専門学群があり、そこからのサポートも受けることが可能となっている。さらにつくばではマラソン等もあり、市民ランナーが多いことも本格なランニングをするのに適した場を提供していると考えられる。
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《 事例2:食材を安く調達している学生 》
ヒアリング協力者 博士前期課程1年 Nさん
活動の概要 豊里のゆかりの森の市民農園にある先輩から受け継いだ区画を借りて農作業をしている。日常生活の気分転換として、研究室から農具を借りて、毎週友人と作業に行っている。
住生活 大学の近くに一人暮らしをしている。大学にいる時間の方が長い。
食生活 自炊もするが忙しいときは車を使って外食に行く。自分たちで作った野菜をみんなで食べたりする。
活動の魅力など 育てたものを収穫して食べられることをはじめ、リフレッシュできる。またみんなで楽しくできる。市民との交流もでき、野菜をもらったりすることもある。
学生へ一言 畑を受け継ぐという機会はあまりないかもしれませんが、楽しいので是非。
学生がこのような市民農園を借りることができるのは、都市部と農村部の距離が車ですぐ行ける程度に近いというつくばの特徴があるからだろう。だからこそ自由な時間を農作業にも当てやすく、それを趣味の一環として行うことができる。また、これらの活動はサークル等に所属してやっているのではなく、市民のひとりとして行っているものであり、忘れられがちな地域とのつながりを持つことがその地域性を生かした上で可能である。市民農園の区画は友人と行っているため、畑も3uあたり1人年間約2000円という安い値段で借りることができるのも大きな魅力の1つである。
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《 事例3、創作活動をしている学生 》
ヒアリング協力者 博士前期課程1年Mさん、学群2年Sさん、学群3年Kさん
活動の概要 漫画、イラスト、デザイン等の集団制作。趣味から将来仕事にすることを目的として、みな専攻分野は異なっているが、漫画、アニメ等のサークル仲間で始めたもの。
住生活 マンション二部屋でのルームシェア。作業場を作って家電などの共有、共用の居間もある。車なども共用でき、一人当たりの生活費が4万円程度になる。
食生活 自炊が主であり、人数分まとめて作るため自炊の食費は一人当たり月1万円を切れる。
活動の魅力など 複数人なので、もの作りがより簡単に効率よくできる。ただし金銭管理とコミュニケーションがたいへんである。
学生へ一言 学生はもっと生活を工夫すると良いと思う。ひとつの目的のもとに集まっての生活は面白いだけでなく得。
この事例では複数人で創作活動を行うことにより、個人では限界があるようなことを可能にしている。またこういったルームシェアには常時コミュニケーションができることや、時間と空間、道具などの共有によるコスト削減などお互いにサポートし合える魅力がある。ルームシェアを可能にしているのは筑波大生が一人暮らしをしている場合が多いように、学生同士の距離が近いからであるだろう。こうしたもの作りをするにいたっても、様々な分野を学んでいる学生が筑波大学に集まっていることもつくばの魅力であるだろう。また2005年のTXの開通により、東京へのアクセスが容易になり機材等の購入もしやすくなったこともつくばでのこのような生活を行いやすくなった要素だろう。
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事例より得た生活スタイルの要素
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ヒアリング調査のまとめ
筑波大生の知りたい生活情報をもとに、それに関わる3つの事例の調査から、以上のようなこの情報に関わる学生生活の要素を知ることができた。今回発見できたものは、つくばだからこそ実践できるもので、一般の学生でも十分それを実践することが可能であるものが多数含まれており、また要素の数も多い。また、雑誌「つくばスタイル」等で紹介されていない要素もいくつか発見することができた。  このような生活の要素の情報をライフスタイルとして分かりやすく提案したい。