プライシング

プライシング導入経緯

 土浦駅西口では自動車による混雑が課題にあると考えた。その混雑背景には通過交通の存在があった。
 さらに、歩行者と車の導線交差の問題もある。このため、事故のリスクが増し、歩行者にとって居心地の良い空間とはいえない。よって、プライシングを行い、以下の5点を改善したい。

  • 土浦駅周辺は、学生の通学路であるため、人と車・自転車と車といった対自動車の危険を減らす
  • 歩くことで人との交流を増やす
  • 自家用車よりも公共交通を使用することで環境に配慮
  • 自動車に乗っていては見えないものを見てほしい
  • 土浦市に少しでもお金を落としてほしい
  • プライシング導入案

    プライシングエリア

    プライシング導入案図

    右矢印方向に進むと課金。100円では混雑度に差が出なかったため料金を500円に設定した。

    第1段階

    中心市街地に入ってくる自動車を制限すると、周りの混雑度が上がる。
    これでは、プライシングをかけたことで周辺に悪影響を与えている。

    第2段階

    土浦市では「国道6号線の拡幅(2車線から4車線へ)」が検討されている。もし、これが実現(プライシングをかけて国道6号を拡幅したときの)されたときの交通量は少し緩和されるが、それと同時に道路の拡幅も行う。それらにより、周りの混雑度はある程度、改善できる。また、プライシングにより駅に行く目的の車が東口に集中するのではないかと予想できるため、東口ロータリーの改善案を同時に示し、東口へのアクセス道路である、荒川沖木田余線の改良を提案する。具体的には、東口の北側部分を2車線から4車線へ拡幅。これに関しては、すでにその周辺の建物はある程度セットバックしており、拡幅には困難がないと考えられる。

    プライシング方法

    車載器投入も検討したが、市民に車載器を購入してもらわなければならず、整備にも時間がかかる。
    また、本市の財政面を見ると車載器購入の補助金を出すことは困難。駅周辺のプライシングということから、電車と関連のあるSuica(PASMO)を導入する。現在、電子マネー利用率は、日本全体で62.1%(関東エリアでは76.9%)、普及の高い順にSuica、Edy、PASMOであった。その上、これらの電子マネーの普及は、電車のチケットレス化・公共交通の促進に繋がり好影響をもたらすことができると考えられる。

    海外のプライシング事例

    上で指摘した2つの地域に関しては、公共交通も存在しないため、自家用車で長い距離を走って病院まで行かなければならない。

    事例1 シンガポール

    目的:人口密度が高いシンガポールの市街地における交通渋滞解消。

    特徴:日本のETCのような仕組で、車に搭載する車載器と道路上に設置されたゲートが通信を行い自動で料金を徴収。未払車両のナンバープレートはゲートの監視カメラで確認され罰金請求。
    メリットは、料金徴収の簡略化。制限区域に乗り入れるたびに課金があり、徴収料金の変更が容易になったことから制限区域内の交通量が多いときには料金を高く、逆に少ないときには通行料を安くなるように設定。
    デメリットは、車載機の搭載が必須であり、搭載漏れには$70の罰金が科せられる。

    事例2 イギリス

    目的:ロンドン市内渋滞緩和。公共交通利用促進。

    特徴:課金エリア内に車で乗り入れる際は、事前or当日迄に市内の指定商店で£8支払うことが義務。但し、二輪車や電気自動車系の環境に優しい車やバス・タクシーは支払わなくてよい。支払いを行うと車の番号がデータベースに入り20?ゾーン中にあるカメラがナンバープレートの番号を認識しデータベースと照合。2003年2月に導入されてから、渋滞緩和の効果は大きい。
    ロンドン交通局自身の発表では、渋滞が30%解消され、交通量が15%減少したといわれている。デメリットは、監視カメラ設置コストとシステムの運用に課題が残る。

    イギリスの監視カメラ

    事例3  スウェーデン

    目的:市街地の渋滞削減とアクセス性向上・環境改善。

    特徴:課金対象エリアは、ストックホルム中心部(約35平方キロメートル)ストックホルムが島で構成されているので、課金ポイントは橋梁付近18箇所。課金対象車両を認識する方法は2通り。車載器を使用する方法と、カメラによりナンバープレートを読み取る方法(車載器なしの車に対して)車載器は希望者に無償貸与、装着率は65%程度。
    メリットは、ただプライシングするのではなく公共交通とのリンクを意識している点。課金対象エリア外に7000〜8000箇所のパークアンドライド駐車場が整備され、地下鉄の定期券を保持していれば駐車料金は無料。また、バス200台が新規購入され16路線増加。だが、市民投票で47%が反対を占めているという現状。

    ICカードを用いた料金徴収事例

    Suica (PASMO) を利用した事例

     タイムズなどの駐車場と東武鉄道が提携し、首都圏で初めてとなる交通IC連携のパーク&ライドの商用サービスが開始されている。これは首都圏で普及するSuica (PASMO)を使い、駅近くのタイムズの料金を支払うというもので、駅近くのタイムズに車を駐車してもらい、電車に乗って目的地まで行ってもらうということ。そして、電車に乗った人は駐車料金を割引するというメリットも打ち出されている。
     今回、我々が調べた場所は、「タイムズ辛手駅前(東部日光線辛手駅)駐車台数89台」と「タイムズ新座志木(東武東上線志木駅)駐車第数368台」どちらも大型駐車場で、駅に隣接しており車から電車に乗り換えるには利便性の高い立地になっていた。

    Suicaカード