SAMPLE SITE

調査結果⑤

市役所の見る大曽根の現状

 市役所の「大曽根市街地カルテ」では、商業施設や医療機関において半径800mを徒歩 圏とした範囲のカバー率高いことから、大曽根地区の日常生活サービス施設充実度は高いとされている。しかし、徒歩圏半径800mに入る全ての人の充実度が本当に高いのか、徒歩圏の観点から見直してみた。

 まず徒歩圏とは、歩いて移動できる範囲を指し、国土交通省の調査によると、75歳以上の高齢者の半分が無理なく休まずに歩ける距離は800mとしており、残りの半数は800mの徒歩移動は辛いとしている。また論文内で徒歩圏は400mとされているケースが多く(金,小林,姫野,金,佐藤、2011)、つくば市の設定する800mは大きいといえる。また、谷(1977)によると「通常の幹線道路に関しても同様な軽量化(線路などによる徒歩圏の分断の計量化)が可能である」とあり、東大通りで分断される大曽根と花畑を一つの地区としてみるのは難しいだろう。これらを踏まえて、徒歩圏を半径400mに変更し直し、市役所と同じ方法で大曽根地区の日常生活施設充実度を測った。

商業施設

公園

公共施設

病院

商業施設、公園、公共施設、病院のそれぞれの施設に共通して、徒歩圏半径400mに設定すると、カバー率は著しく低くなることがわかった。このことにより、車を持たない人や免許を返納した大曽根地区の高齢者にとって、花畑にある各施設は利便性が低いと言える。大曽根地区は、車があれば生活しやすいまちではあるが、将来性を考えると厳しい現実にあることが分かった。