調査

文献調査

 つくばのペデストリアンに関しては、筑波大学・小島の「筑波研究学園都市における定住過程に関する研究」(1982)によると、建設された当初は車道によって分断された住宅地と住宅地をつなぐためのものとして出来たようであり、設計当初の思想では単純に道路として以外の用途はあまり想定されていなかったと思われる。


交通量調査

 ペデストリアンは本当に通行目的での利用が多いのかどうかを知るために、交通量調査を実施した。この調査における観測地点は、メディカルセンター前、中央公園前、大清水公園前、二の宮公園前とし、ペデストリアンの利用者数を年代および目的によって分類し、14:20から14:50までの30分間に観測した。また、目的については、観測地付近の施設や設備、公園を利用した人を「立ち寄る」、そのまま通り過ぎた人を「通行する」とした。その結果、年齢、場所に関係なく通行目的での利用がほとんどであった。


ヒアリング調査

 現在のペデストリアンに対する市の取り組みを調査するために、つくば市役所まちなみ整備課にヒアリング調査を実施した。つくば市では現在、公共空間の活用を促進するため、2016年6月に「ペデカフェ要項」を施行した。これは、市民から公共空間を活用する要望があれば、まちなみ整備課を通じてつくば市から機材を借りることや、利用の際の手続きを行ってもらうことができるというものである。これにより、市民が公共空間を格段に活用しやすくなる。しかし、要綱はペデストリアン全体に適用するものであるにも関わらず、センター広場以外の場所は電気や排水等の設備が十分に整っていないため、実際の活用はセンター広場に集中してしまっているのが現状である。


未利用空間調査

 センター広場以外にもペデストリアン上で活用できる空間がないかを具体的に探るために、未利用空間調査を行った。調査範囲は、センター広場を除くメディカルセンター前から赤塚公園の間で、班員が実際に現地に赴きペデ上の未利用空間の調査を行った。その結果、ペデストリアン上には未利用空間が比較的広い範囲に多数点在している他、特徴によって「ベンチ・腰掛の空間」、「芝生」、「広場」、「通路脇の空間」、「通路同士の間の空間」の 5種に分類できることが分かった。


アンケート調査1

 実際に利用者が現在のペデストリアンをどのように考えているのか明らかにするために街頭調査を行った。
 第一次アンケート調査では主に「どのような目的でペデストリアンを利用するのか」、「ペデストリアンが持つべき役割、現在果たしている役割はなにか」といった質問を中心に行った。その結果、日常的にペデストリアンを利用する人の53.7%は商業目的で利用しており、その他の通学通勤や施設利用、散歩、休息などはいずれも40%以下に留まった。特に、休息を目的に利用する人は7.4%であり、回答者の大半がペデストリアンを通路として利用していることが伺える。次に、「ペデストリアンが持つべき役割」については、やはり「歩行者・自転車の通路」の回答が最も多いが、それ以外の5つの役割も必要とされているという結果が得られた。それに対して「ペデストリアンが果たしている役割」では通路以外の役割はあまり果たされておらず、特に休息をとる場所としての役割を果たしていると答えたのは回答者の32.5%に留まり、「必要な役割」と「果たされている役割」との間に差が生じていることが分かった。


アンケート調査2

 新しいペデストリアンの具体的な姿を提案するために、「どこにどのような設備がほしいか」という質問を中心に、さらなるアンケート調査を行った。その結果、あったら嬉しいと思う設備はデッキチェアが59.3%、路上パフォーマンスは34.2%、水遊び場が40.7%、足湯が38.1%と高い値を示し、需要がある設備であることが分かった。また、「設備が必要ない」と回答した人の割合がそれぞれ26.8%、41.2%であった道路脇の空間、通路同士の間の空間は新たな設備の需要がないことが分かった。