本実習の背景と目的

研究の背景

 私たちは常に、その日の自分の予定や行動に合わせて服装を選択する。服装を選択する際、私たちは社会的着装規範1)(以下、「『服装の規範』」とする)を考慮する。人前に出るときは整った服装をしなければならないし、目上の人と会合するときには、運動着等といったラフな格好をして行ったら失礼な人と思われるだろう。これらのような規範は公的に定められているものではないが、大多数の人が従っている着装規範である。このように、私たちの被服行動は自分の予定だけではなく、「服装の規範」によっても決定されるのである。本研究においては、被服行動と社会との関係に着目し、調査することとした。
既存研究として、大学生の服装と景観・授業態度との関連分析―筑波大学の事例―(谷口、2013)※1、着装規範に関する研究 第7報(牛田、高木、神山、阿部、辻、2001)※2が挙げられる。

注1)服装の規範:公的に定められてはいないが、大多数の人が従う着装規範

目的

大学に行く場合を考えると、理想としてはある程度しっかりした服装で行かなければならないが、現実としては面倒くさい、今日くらいはまあいっか、といってだらしない服で行ってしまうことは少なからず誰しもが経験したことがあるのではないだろうか。このような考えをみんなが持ってしまうと、谷口らの研究より、学内の景観が悪くなるという社会的ジレンマが生じてしまう。また、私たちは外出するときに必ず服装を選び、外出する時には必ず何らかの交通手段を使用する。しかし、服装と交通手段の関係性はわかっていない。私たちが大学にいくときのことを考えると、大学は、人が集まる場所であるため、しっかりした服装を着なければならないという理想があるが、現実には、ジャージ・スウェットで登校する学生もおり、理想と現実のズレが見られる。
そのため、本研究においては、理想と現実の間のズレを調査することに加え、そのズレに交通手段が関わっているのかを調査することを目的とする。