アンケート調査の結果より、ルールを知る前の粗大ゴミ(アンケートでは例として本棚)の処理方法と、ルールを説明した後の粗大ゴミの処理方法を比較した。 ルールを知る前の行動では「不法投棄する」と回答した人のうち、73%の人がルールを知った後は「ルールに従う」や「売る・譲る」の行動に変化した。このことより、不法投棄をする人の多くは正しい捨て方を知ると、「ルールに従う」「売る・譲る」の行動に変化することが分かった。
また、「不法投棄する」と答えた理由として、「捨て方を知らないから」、「面倒だから」を選択する人が多かった。
まずアンケートにてゴミの捨てやすさについて写真を用いて質問をした。場所は平砂4号棟前を想定した。まずAのように、ゴミがなく、綺麗な空間の写真を提示した。次に、Bのようにゴミがたくさん投棄されている空間の写真を提示した。その結果84%の人が、ゴミが投棄されているBの方がゴミを捨てやすいと回答した。このことより、ゴミの空間はゴミを捨てにくい環境であると考えることができた。
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A | B |
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次に宿舎ゴミの観測実験にて、放置されているゴミの減少と、不法投棄の減少の関連を検証した。
最初の実験では、ゴミ移動の効果を検証するために、ロープガードをしていないという条件のもと、ゴミ移動を行った一の矢38号棟前と、行わなかった一の矢駐車場横を比較した。
均 不 法 投 棄 件 数 個 / 日 |
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移動なし 移動あり |
ゴミ移動を行った一の矢38号棟前では、ゴミの量が440%増加し、一の矢駐車場ではゴミの量が83%減少した。これより、ゴミのない環境をつくることで不法投棄が減るとは一概には言えないという結果になった。
次にロープガードをしているという条件のもと、ゴミ移動を行った平砂4号棟と、行わなかった追越保育所前の一日あたりの平均不法投棄件数を比較した。
均 不 法 投 棄 件 数 個 / 日 |
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移動なし 移動あり |
ゴミ移動の有無で比べると、t検定で有意な結果は得られなかったものの、ゴミ移動を行った平砂4号棟ではゴミの増加に抑制の傾向を見ることができた。
この二つの結果から、放置されているゴミが少なくても、場所ごとの特性によりゴミの増加を引き起こす可能性があるということが分かった。
アンケート調査において、ゴミを捨てやすい空間について、人がいるかいないかの違いで2枚の写真を用いてどちらが捨てやすい空間であるか質問した。
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A | B |
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その結果、97%が、Aの人がいない空間が捨てやすい空間であると回答した。よって、人が集まる空間はゴミの捨てにくい環境であるといえる。
実験結果を用いて、ゴミがないという条件のもと、芝生を敷設した一の矢12号棟前と、芝生を敷設していない一の矢18号棟前で平均不法投棄件数を比較した。
均 不 法 投 棄 件 数 個 / 日 |
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芝生なし 芝生あり |
均 不 法 投 棄 件 数 個 / 日 |
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看板なし 看板あり |
均 不 法 投 棄 件 数 個 / 日 |
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均 不 法 投 棄 件 数 個 / 日 |
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ロープガードなし ロープガードあり |
均 不 法 投 棄 件 数 個 / 日 |
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芝生あり ロープガードあり |
仮説1はアンケートから、ルールを知らない人が、正しい処理方法を知ることで、正しくゴミを捨てたり、売る・譲るといった再利用行動をとったりと行動を変えることが分かった。よって、ルールを知らせることは不法投棄の減少につながるといえる。
また、仮説2はアンケートから、人はゴミのない空間にはゴミを捨てにくいと感じることが分かった。一方で、実験からは「ゴミを移動」し、常にゴミのない空間をつくることが不法投棄の減少につながるという明確な効果は見られなかった。しかし、「ゴミ移動」に加え、ロープガードを設置するなどほかの対策を講じることで効果が出る場合もあることが検証された。
仮説3は、アンケートから、人は人が集まる空間にはゴミを捨てにくいということが分かった。また、実験から、芝生の敷設や、ロープガードの設置には不法投棄を減らす効果があり、看板の設置には不法投棄を減らすほどの効果は見られないものの増加を抑制する効果はあるといえることが分かった。芝生の敷設とロープガードの設置ではロープガードのほうがより効果が大きいことも検証された。
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