提案
調査の結果から私たちは学内に長期間滞留し続ける「放置自転車」と自転車以外で通学している人が移動に利用している「学内移動用自転車」の2つのタイプの置きっぱなし自転車に対して、その台数を減らす対策を考えた。
4-1. 放置自転車に対する対策
放置自転車に対して、私たちは撤去回数の増加と撤去期間の前倒しを提案として考えた。大学へのヒアリングから、現在放置自転車は業者に無料で回収してもらっているということが分かった。しかし、回収は毎年12月以降に年1回行うだけで、それまでの期間に放置された自転車は駐輪場に残されたままとなる。このため卒業生が残していった自転車はその時まで放置されてしまうといったことが生じてしまう。これを改善するために撤去時期の前倒しは有効になってくるだろう。調査の結果より計505台の自転車が「放置自転車」であったためこれが早期に撤去されれば駐輪場の容量も大幅に改善されると考える。またコストがかからないといったことから、撤去の回数を増加できないかと考えた。「割れ窓理論」から、自転車が放置してあるところは自転車を放置していきやすい環境にあると考えられる、定期的に撤去することによって一回の負担を小さくすることができることなども利点なのではないかと考える。 また、今回は触れることはなかったが、学内でのレンタサイクルの提案が進んでいることから、放置する予定の自転車を直接その企画に持って行くシステムが構築できるのではないかと考えた。
4-2. 学内移動用自転車に対する対策
調査結果より、学内移動用自転車を所有している人は学内の移動では第三エリア~第一エリア程度の移動では徒歩で移動し、また、1週間での学外への移動回数は非常に少ないことが分かった。そこで、学内移動用自転車への解決策として以下の内容を提案する。
提案②:【学内移動用自転車をキックボードに置き換える】
◆キックボードのメリット
キックボードは約2.8kgと軽量で、収納時のサイズは約600×100mmで持ち運びも楽に行える。キックボード単体での利用はもちろんのこと、公共機関や自家用車と組み合わせた利用も可能である。
表4-1. キックボードと自転車の比較


(左)図4-1. キックボードと折りたたみ自転車のサイズ比較(折りたたみ時)
(右)図4-2. キックボードと折りたたみ自転車のサイズ比較(通常時)
◆キックボードの移動時間の測定
キックボードでの学内移動が実際に可能かどうかを検証する為に、キックボードの移動時間の測定を行った。
・日時: 5月30日(水)10:00~13:00
・方法:徒歩、自転車、キックボード(一般型)、キックボード(大型)の4つのタイムを測定。同時刻に出発し目的地に着くまでの時間を計測。各区間で2往復・計4回実施。それぞれ毎回移動手段を変更することで、偏りの無い公平なデータ計測を行う。結果は4人の平均タイムをそれぞれ表に示す。自転車は正規の駐輪場に駐輪して支援室などの目的地に到着した時間をデータとする。
・区間:第三エリア支援室⇔第三エリア駐車場、第一エリア支援室、体芸エリア支援室 間

図4-3. タイム測定を行った区間
表4-2. キックボードの移動時間の測定

タイム測定の結果を見ると、第三エリア~第一エリア間では各キックボードと自転車のタイムはほぼ同じであった。大型のキックボードに関しては4人の平均タイムが自転車のタイムよりも早くなっている。また、各キックボードのタイムと徒歩のタイムと比べるとキックボードのほうが約1分30秒早い事がわかる。 第三エリア支援室~第三エリア駐車場においては自転車とキックボードのタイム差はわずか3秒で、大型キックボードは自転車よりも13秒所要時間が短い。もちろん徒歩に比べるとキックボードは1分30秒近く時間短縮できている。 また、第三エリアと体芸エリア間の結果を見ると大型のキックボードは自転車と殆ど時間差はなく、一般的なキックボードのタイムは自転車より約1分遅い7分1秒であり、徒歩と比べると4分以上早く到着した。この結果から、移動時間の観点からは大学内での移動にキックボードは十分に利用できることが分かる。 ただし、ここで注意して頂きたいことが2つある。1つは、キックボードのタイムは自転車とのタイムと大差が無いことが分かったが、決してキックボードは自転車ほどスピードは出なく、小走り程度のスピードしか出ない。では、なぜキックボードが好タイムを記録したかというと、自転車には駐輪場に停めたり、駐輪場に行くために時間もかかる。そのため当然のことながら、自転車では徒歩のような経路を辿ることは出来ない。しかし、キックボードは徒歩と同じ経路で小走り程度のスピードで走行することが出来るためこのような結果となった。 尚、キックボードには後輪に足で踏むタイプのブレーキが付いているため、軽度の下り斜面ではブレーキで速度調整を行い、急斜面では人によってはキックボードを降りて通行した。
◆キックボードに関するヒアリング
キックボードの試乗を実施。実際に乗ってもらい感想を聞いた。その際にキックボードに関する質問も行った。
・日時:6月5日(火)、12:30~17:30
・場所:石の広場~第一エリア周辺
・対象:筑波大学生17人(男性14人、女性3人)
・方法:口頭での質問およびキックボードの試乗をしてもらう。キックボード試乗の前後での回答者の意識の変化も問う。誘導尋問にならないように十分配慮して調査を行った。
・結果:「キックボードを保有しているか(実家を含む)」という質問に対しては3割の学生
がキックボードを現在、実家や自宅に保有しているという結果が出た。また、4人
に3人はキックボードを1度は利用したことがあるという回答をしている。

図4-4. 質問:キックボードを保有しているか(実家を含む)(N=17)

図4-5. 質問:キックボードをこれまでに使ったことがあるか(N=17)
学内移動手段としてのキックボードの有効性について聞いたところ、約半数の学生が「有効だと思う」と回答した。その後、2種類のキックボードに試乗してもらった後に同じ質問をしたところ、約70%学生が「有効だと思う」と回答した。実際に乗ってみるとキックボードの有用性を実感することが出来るという結果が出た。

図4-6. 質問:【事前調査】学内移動手段としてキックボードは有効だと思うか(N=17)

図4-7. 質問:【事後調査】学内移動手段としてキックボードは有効だと思うか(N=17)
実際に学内でキックボードを使ってみたいかという問いに対しては、キックボード試乗の前後で大きな変化は見られなかったが、それでも半数の学生がキックボードを使ってみたいと回答している。

図4-8. 質問:【事前調査】学内でキックボードを使ってみたいと思うか(N=17)

図4-9. 質問:【事後調査】学内でキックボードを使ってみたいと思うか(N=17)
次に、いくらならこのキックボードを買おうと思うかという質問に対して、
表4-3. キックボード(KB)の購入希望価格と実際の価格

また感想も聞いたところ、かっこいい・乗ってみたい・小さくて便利などの肯定的な意見がでた一方で、恥ずかしい・慣れが必要・段差が怖いなどといった否定的な意見もあった。実現する為には、学内環境の整備やレンタルキックボードの検討など、ソフト面とハード面の両方からの対策が必要となるだろう。
4-1. 放置自転車に対する対策
放置自転車に対して、私たちは撤去回数の増加と撤去期間の前倒しを提案として考えた。大学へのヒアリングから、現在放置自転車は業者に無料で回収してもらっているということが分かった。しかし、回収は毎年12月以降に年1回行うだけで、それまでの期間に放置された自転車は駐輪場に残されたままとなる。このため卒業生が残していった自転車はその時まで放置されてしまうといったことが生じてしまう。これを改善するために撤去時期の前倒しは有効になってくるだろう。調査の結果より計505台の自転車が「放置自転車」であったためこれが早期に撤去されれば駐輪場の容量も大幅に改善されると考える。またコストがかからないといったことから、撤去の回数を増加できないかと考えた。「割れ窓理論」から、自転車が放置してあるところは自転車を放置していきやすい環境にあると考えられる、定期的に撤去することによって一回の負担を小さくすることができることなども利点なのではないかと考える。 また、今回は触れることはなかったが、学内でのレンタサイクルの提案が進んでいることから、放置する予定の自転車を直接その企画に持って行くシステムが構築できるのではないかと考えた。
4-2. 学内移動用自転車に対する対策
調査結果より、学内移動用自転車を所有している人は学内の移動では第三エリア~第一エリア程度の移動では徒歩で移動し、また、1週間での学外への移動回数は非常に少ないことが分かった。そこで、学内移動用自転車への解決策として以下の内容を提案する。
提案②:【学内移動用自転車をキックボードに置き換える】
◆キックボードのメリット
キックボードは約2.8kgと軽量で、収納時のサイズは約600×100mmで持ち運びも楽に行える。キックボード単体での利用はもちろんのこと、公共機関や自家用車と組み合わせた利用も可能である。
表4-1. キックボードと自転車の比較


(左)図4-1. キックボードと折りたたみ自転車のサイズ比較(折りたたみ時)
(右)図4-2. キックボードと折りたたみ自転車のサイズ比較(通常時)
◆キックボードの移動時間の測定
キックボードでの学内移動が実際に可能かどうかを検証する為に、キックボードの移動時間の測定を行った。
・日時: 5月30日(水)10:00~13:00
・方法:徒歩、自転車、キックボード(一般型)、キックボード(大型)の4つのタイムを測定。同時刻に出発し目的地に着くまでの時間を計測。各区間で2往復・計4回実施。それぞれ毎回移動手段を変更することで、偏りの無い公平なデータ計測を行う。結果は4人の平均タイムをそれぞれ表に示す。自転車は正規の駐輪場に駐輪して支援室などの目的地に到着した時間をデータとする。
・区間:第三エリア支援室⇔第三エリア駐車場、第一エリア支援室、体芸エリア支援室 間

図4-3. タイム測定を行った区間
表4-2. キックボードの移動時間の測定

タイム測定の結果を見ると、第三エリア~第一エリア間では各キックボードと自転車のタイムはほぼ同じであった。大型のキックボードに関しては4人の平均タイムが自転車のタイムよりも早くなっている。また、各キックボードのタイムと徒歩のタイムと比べるとキックボードのほうが約1分30秒早い事がわかる。 第三エリア支援室~第三エリア駐車場においては自転車とキックボードのタイム差はわずか3秒で、大型キックボードは自転車よりも13秒所要時間が短い。もちろん徒歩に比べるとキックボードは1分30秒近く時間短縮できている。 また、第三エリアと体芸エリア間の結果を見ると大型のキックボードは自転車と殆ど時間差はなく、一般的なキックボードのタイムは自転車より約1分遅い7分1秒であり、徒歩と比べると4分以上早く到着した。この結果から、移動時間の観点からは大学内での移動にキックボードは十分に利用できることが分かる。 ただし、ここで注意して頂きたいことが2つある。1つは、キックボードのタイムは自転車とのタイムと大差が無いことが分かったが、決してキックボードは自転車ほどスピードは出なく、小走り程度のスピードしか出ない。では、なぜキックボードが好タイムを記録したかというと、自転車には駐輪場に停めたり、駐輪場に行くために時間もかかる。そのため当然のことながら、自転車では徒歩のような経路を辿ることは出来ない。しかし、キックボードは徒歩と同じ経路で小走り程度のスピードで走行することが出来るためこのような結果となった。 尚、キックボードには後輪に足で踏むタイプのブレーキが付いているため、軽度の下り斜面ではブレーキで速度調整を行い、急斜面では人によってはキックボードを降りて通行した。
◆キックボードに関するヒアリング
キックボードの試乗を実施。実際に乗ってもらい感想を聞いた。その際にキックボードに関する質問も行った。
・日時:6月5日(火)、12:30~17:30
・場所:石の広場~第一エリア周辺
・対象:筑波大学生17人(男性14人、女性3人)
・方法:口頭での質問およびキックボードの試乗をしてもらう。キックボード試乗の前後での回答者の意識の変化も問う。誘導尋問にならないように十分配慮して調査を行った。
・結果:「キックボードを保有しているか(実家を含む)」という質問に対しては3割の学生
がキックボードを現在、実家や自宅に保有しているという結果が出た。また、4人
に3人はキックボードを1度は利用したことがあるという回答をしている。

図4-4. 質問:キックボードを保有しているか(実家を含む)(N=17)

図4-5. 質問:キックボードをこれまでに使ったことがあるか(N=17)
学内移動手段としてのキックボードの有効性について聞いたところ、約半数の学生が「有効だと思う」と回答した。その後、2種類のキックボードに試乗してもらった後に同じ質問をしたところ、約70%学生が「有効だと思う」と回答した。実際に乗ってみるとキックボードの有用性を実感することが出来るという結果が出た。

図4-6. 質問:【事前調査】学内移動手段としてキックボードは有効だと思うか(N=17)

図4-7. 質問:【事後調査】学内移動手段としてキックボードは有効だと思うか(N=17)
実際に学内でキックボードを使ってみたいかという問いに対しては、キックボード試乗の前後で大きな変化は見られなかったが、それでも半数の学生がキックボードを使ってみたいと回答している。

図4-8. 質問:【事前調査】学内でキックボードを使ってみたいと思うか(N=17)

図4-9. 質問:【事後調査】学内でキックボードを使ってみたいと思うか(N=17)
次に、いくらならこのキックボードを買おうと思うかという質問に対して、
表4-3. キックボード(KB)の購入希望価格と実際の価格

また感想も聞いたところ、かっこいい・乗ってみたい・小さくて便利などの肯定的な意見がでた一方で、恥ずかしい・慣れが必要・段差が怖いなどといった否定的な意見もあった。実現する為には、学内環境の整備やレンタルキックボードの検討など、ソフト面とハード面の両方からの対策が必要となるだろう。