第二章 現状の把握 2-1. 既存研究
現在までに、自転車問題に対して多くの対策が検討・実施されてきた。過去の都市計画実習においては、心理的な側面に基づいて検証を行った班もあれば、学生数の大幅な増加により筑波大学建学当初の需要と現在の需要には大きなずれがあることに注目した班もあった。大学へのヒアリングも行った。総務部で毎年秋に自転車の撤去や掲示やペイントによる自転車の誘導、駐輪場やループ道路の整備も進められている。
しかしこれまでの研究では、自転車を使うことは当たり前のこととして考えられていた。そこで「自転車が多い理由」、「自転車を使う理由」に注目して自転車混雑問題の原因を探ることにした。
2-1.1. 大学へのヒアリング
私たちは大学側の自転車問題に対する取り組みを調べるためにヒアリング調査を行った。
ヒアリング先と内容については以下のとおりである。
○ 日時
2012年5月29日(火)、13:30~14:30
施設部施設課
2012年6月1日(金)、13:30~14:15
総務部総務課
システム情報工学等支援室
○ 内容
施設部施設課
ペデストリアン・ループについて
・ ペデストリアンは当初自転車を通さない予定であった
・ 自転車をループに迂回させたらペデはどうなるかの分析を施設課が行い、ループ道路を整備してペデの自転車をループに流すことに
・ 現在ループ内側の歩道を拡幅する工事が進んでいる
・ 大学中央近くのように地形的な要因で歩道が拡幅できない場所はペデとループの間にう回路を建設
・ 今年度から指定者しか通ることのできないトランジットモールを中央図書館南の道に適用する
・ ペデの混雑をいかに分散させるか
・ ペデは開学当初から様々な改修を進めておりそろそろ限界が来ている
・ ペデは今の形が最も事故が少ない
・ トランジットモールは石張りにするかもしれない
・ 大学会館付近のペデに橋を架けるなどの高額な案もあったが、実現してない
・ 平塚線沿い(桜、天4)からループへアクセスする道を整備中
総務部総務課
放置自転車の撤去について(年ごとの台数)
・ 平成19年~20年ごろは1100台~1200台程度、昨年は増加して1700台。
・ 具体的な方法としては、札を2週間取り付けて利用がなかったものに関しては20日間管理した後に撤去する。
放置自転車の分類分けをしているか(所有者など)
・ 分類分けや所有者の把握等はしていない。持ち主が分かるものに関しては直接連絡して個人的に処分してもらうとのこと。
撤去の時期、費用など
・ 夏から作業を始めて、撤去が完了するのが1月~2月。
・ 費用は4年前までは産業廃棄物扱いで、年間百数十万円かかっていたが、無料で引き取ってくれる業者があったのでそれ以降は無料で行っている。
システム情報工学等支援室
放置自転車の撤去について
・ 毎年、総務課からの支持を受けて行っている。
・ 単独での撤去は行わない。
自転車混雑問題に対しての取り組み(貼り紙など)と効果、その他の取り組み
・ 4月の約1週間、新入生向けのマナーアップキャンペーンを実施している。またその時に空いている駐輪場に気づいたので、利用者を誘導する張り紙を設置した。また、同様のキャンペーンを11~12月にも行っている。このキャンペーンの指揮をしているのが学生生活課である。
その他
現在、大学では自転車利用者にループを利用してもらうために、歩道の拡幅工事などを行っている。また、ペデから自転車を排除する計画もあるが、それは難しいだろうとのこと。
総務課の方は、学生の自転車利用のモラルがあまりにもひどいので、自覚を持って利用してほしいとのこと。
ヒアリング調査から、大学側も自転車問題については頭を抱えており、放置自転車の撤去、張り紙などでの誘導、駐輪場の増設など様々な対策をしていることが明らかになった。しかし、残念ながら自転車問題の解決に至っていないのが現状である。
2-1.2. 過去の都市計画実習
私たちは過去に行われてきた自転車問題に関する研究を知るために、既存文献として
過去の都市計画実習班の最終レポートを調べた。それぞれの研究について背景、目的、
調査方法、提案・展望についてまとめた表が以下のものである。
表2-1. 過去の都市計画実習のまとめ
しかしこれまでの研究では、自転車を使うことは当たり前のこととして考えられていた。そこで「自転車が多い理由」、「自転車を使う理由」に注目して自転車混雑問題の原因を探ることにした。
2-1.1. 大学へのヒアリング
私たちは大学側の自転車問題に対する取り組みを調べるためにヒアリング調査を行った。
ヒアリング先と内容については以下のとおりである。
○ 日時
2012年5月29日(火)、13:30~14:30
施設部施設課
2012年6月1日(金)、13:30~14:15
総務部総務課
システム情報工学等支援室
○ 内容
施設部施設課
ペデストリアン・ループについて
・ ペデストリアンは当初自転車を通さない予定であった
・ 自転車をループに迂回させたらペデはどうなるかの分析を施設課が行い、ループ道路を整備してペデの自転車をループに流すことに
・ 現在ループ内側の歩道を拡幅する工事が進んでいる
・ 大学中央近くのように地形的な要因で歩道が拡幅できない場所はペデとループの間にう回路を建設
・ 今年度から指定者しか通ることのできないトランジットモールを中央図書館南の道に適用する
・ ペデの混雑をいかに分散させるか
・ ペデは開学当初から様々な改修を進めておりそろそろ限界が来ている
・ ペデは今の形が最も事故が少ない
・ トランジットモールは石張りにするかもしれない
・ 大学会館付近のペデに橋を架けるなどの高額な案もあったが、実現してない
・ 平塚線沿い(桜、天4)からループへアクセスする道を整備中
総務部総務課
放置自転車の撤去について(年ごとの台数)
・ 平成19年~20年ごろは1100台~1200台程度、昨年は増加して1700台。
・ 具体的な方法としては、札を2週間取り付けて利用がなかったものに関しては20日間管理した後に撤去する。
放置自転車の分類分けをしているか(所有者など)
・ 分類分けや所有者の把握等はしていない。持ち主が分かるものに関しては直接連絡して個人的に処分してもらうとのこと。
撤去の時期、費用など
・ 夏から作業を始めて、撤去が完了するのが1月~2月。
・ 費用は4年前までは産業廃棄物扱いで、年間百数十万円かかっていたが、無料で引き取ってくれる業者があったのでそれ以降は無料で行っている。
システム情報工学等支援室
放置自転車の撤去について
・ 毎年、総務課からの支持を受けて行っている。
・ 単独での撤去は行わない。
自転車混雑問題に対しての取り組み(貼り紙など)と効果、その他の取り組み
・ 4月の約1週間、新入生向けのマナーアップキャンペーンを実施している。またその時に空いている駐輪場に気づいたので、利用者を誘導する張り紙を設置した。また、同様のキャンペーンを11~12月にも行っている。このキャンペーンの指揮をしているのが学生生活課である。
その他
現在、大学では自転車利用者にループを利用してもらうために、歩道の拡幅工事などを行っている。また、ペデから自転車を排除する計画もあるが、それは難しいだろうとのこと。
総務課の方は、学生の自転車利用のモラルがあまりにもひどいので、自覚を持って利用してほしいとのこと。
ヒアリング調査から、大学側も自転車問題については頭を抱えており、放置自転車の撤去、張り紙などでの誘導、駐輪場の増設など様々な対策をしていることが明らかになった。しかし、残念ながら自転車問題の解決に至っていないのが現状である。
2-1.2. 過去の都市計画実習
私たちは過去に行われてきた自転車問題に関する研究を知るために、既存文献として
過去の都市計画実習班の最終レポートを調べた。それぞれの研究について背景、目的、
調査方法、提案・展望についてまとめた表が以下のものである。
表2-1. 過去の都市計画実習のまとめ
第二章 現状の把握 2-2. 事前調査
私たちは学内の駐輪場混雑問題の現状を確認する為に、事前調査として以下のように大学内の駐輪場の利用実態調査を実施した。
・ 日時 1回目…2012年4月28日(土)、5:30~
2回目… 2012年5月11日(金)、7:30~、12:15~、18:30~
・ 場所 第一エリア、第三エリア駐輪場
・ 調査方法 駐輪場を回り、駐輪されている自転車の台数を計測。
各エリアで2名ずつに分かれて行った。
1回目の調査はゴールデンウィーク中の土曜早朝に実施。この日時が大学内の自転車台数がもっとも少なくなるだろうと予想し、そのときの様子を見るために行った。
2回目の調査は平日の1日の中で混雑の推移を調査するために実施。大学から帰る人や大学に来る人が少ないと予想される朝7:30、既存文献から3限の混雑が激しいという調査があったことから昼12:15、6限が終了少し人の流れがひと段落してくる夕方18:30に調査を実施。また、調査中に自転車の台数の出来るだけ変動しないよう休み時間も避けて調査を行った。
○ 調査結果
時間・エリアごとに、調査時の駐輪台数の合計を算出した。(図2-1.)
第一エリアではピーク時における駐輪台数が1150台であり、駐輪容量の1147台を超えていたが深刻なキャパ不足ではないことが分かる。しかし、駐輪場においては自分勝手な自転車利用者による無理な駐輪が多数見受けられた。また、枠外に停められた自転車が人々の動線の通路を塞ぎ、ペデストリアン上の渋滞を誘発していた。
第三エリアではピーク時でも駐輪容量は越えておらず、第三エリア全体で見たときには駐輪場のキャパシティは足りていると思われる。しかし、第一エリアと同様の自分勝手な駐輪状況が見受けられた。
一方で朝と夕方の駐輪台数はピーク時と比べて大幅に減少することが分かった。しかしゴールデンウィークの早朝や平日朝でも第一エリアでは約200台、第三エリアでは約600台の自転車が駐輪されている。これは第一エリアの駐輪容量の約18%、第三エリアの駐輪容量の約27%を占めている。
※駐輪容量について
過去文献 [5]、[7] を参照
表2-2. 日時別の駐輪台数の変化
図2-1. 日時別の駐輪台数の変化
○ 事前調査からの考察
私たちは駐輪場混雑問題を解決する糸口として、早朝に駐輪場に残されていた自転車に注目することにした。早朝に駐輪場に残されていたということは、通学手段として使われずに大学内に置きっぱなしになっていると考えられる。
そこで私たちは、それら大学内に置きっぱなしになっている自転車により実質的な駐輪可能台数が減少し、駐輪場混雑問題の原因になっているのではないかと仮定した。また、置きっぱなし自転車の定義を以下のように定めた。(表2-3.)
表2-3. 置きっぱなし自転車の分類わけ
第二章 現状の把握 2-3. 仮定・目的
筑波大学の駐輪問題は、今まで様々な改善策が議論されてきた。過去の都市計画でも何度も取り上げられてきた。しかし、今の大学内の駐輪場を見る限り、決して解決に至っているとは言い難いのが現状である。筑波大学における自転車問題の基本となる「なぜ自転車が多いのか」「なぜ自転車を使うのか」ということの原因を明らかにする。移動が楽だから、大学が広いからなど、当たり前のように思われることについてもう一度整理することによって今まで触れられていなかった問題点を探る。
また話し合いから問題に挙げられた、卒業生などが学内に放置した自転車や宅通生などのものと思われる学内の置きっぱなし自転車を減らす為の提案を行い、駐輪場混雑問題の解決を目指す。
以上のことを踏まえ、調査目的を以下のように定めた。
置きっぱなし自転車の属性を明らかにする
置きっぱなし自転車を減らす為の改善策を提案する
駐輪場混雑問題の解決を目指す