第三章 調査
調査の目的・内容
目的を達成するために、以下のように調査を実施した。(表3-1.) 表3-1. 調査の目的・内容
目的を達成するために、以下のように調査を実施した。(表3-1.) 表3-1. 調査の目的・内容
3-1.全学駐輪台数調査
駐輪場の現状を把握する為、以下のように駐輪台数調査を実施した。
・ 日時 2012年5月25日(金)
[朝]7:00~8:00
[昼]12:20~13:20
[夜]18:30~19:30
・ 場所 第一エリア、第二エリア、第三エリア、大学会館エリア
外国語センター周辺、体芸エリア
・ 調査方法 駐輪場を回り、駐輪されている自転車の台数を計測。
各エリアで2名ずつに分かれて行った。
○ 調査結果および考察
全てのエリアにおいて朝の時間帯に多くの自転車が止まっており、仮定した置きっぱなし自転車が全てのエリアにおいて問題ということが出来る。また、駐輪容量に対する朝の時間帯に止まっていた自転車の台数が一番多かったのが第三エリアであったので、以降の調査は第三エリアに絞って進めていくこととした。
表3-2. 時間・エリアごとの駐輪台数
表3-3. 表3-2.に基づき様々な値について比を計算
※駐輪容量について
計測した駐輪場の長さを計測。自転車1台分の駐輪に必要なスペースを60cmとして駐輪容量を算出した。
3-2.自転車利用実態調査
置きっぱなしの自転車にはどのような種類があるのか、その属性調査を行うために第三エリアの全ての自転車のハンドルに目印を取り付け、自転車の利用実態調査を行った。1週間後の調査で目印が残っていたものを利用されていない自転車であると判断し「放置自転車」、目印がとられていた自転車については利用されている自転車であると判断し「学内移動用自転車」に分類した。
・ 日時 [1日目] 2012年6月3日(日)、08:15~11:15
[2日目] 2012年6月10日(日)、07:45~08:45
・ 内容 [1日目] 目印の取り付け
[2日目] 目印の付いた台数の計測
・ 対象 第三エリア駐輪場
(全駐輪場を21ブロックに分割した、図3-5.参照)
・ 方法 1日目に第三エリアに駐輪されている全ての自転車に青い針金の目印を取り付け、2日目に目印がついたままの自転車の台数を計測した。
・ 結果と考察
目印が取り付け1週間後に残っていた自転車(利用されていない「放置自転車」)は計505台あり、これは第三エリアの駐輪容量の約26%を占めていた。これらの自転車は卒業生が自転車の処理に困り学内に放置していったものや、故障や盗難、紛失などにより放置されているものであると考えられる。
また、一週間後の調査で目印の取れていた自転車利用されている「学内移動用自転車」)は計366台で、第三エリアの駐輪容量の約19%を占める。「学内移動用自転車」と名付けた理由については、他の調査においても述べたように休日の朝という自転車通学者の自転車が少ないと考えられる時間に数多くの自転車が大学構内に駐輪されていたことから、これらの自転車の殆どは自転車以外で通学する学生が大学構内においておく「学内移動用自転車」であると判断した。(事前調査時に筑波大生の行動パターンを観察していると、朝5:30の段階では大学に来る学生より大学から帰っていく学生が圧倒的に多いことを確認し、朝5:30と朝7:30ではエリアによっては朝7:30の方が自転車台数の少ないことが分かり、学内自転車数が最低値を記録するのは朝であると判断した。)これらの自転車は公共交通機関や自家用車などで通学している学生が広い大学の構内を移動するだけでなく、また外食や友人宅に行く等の学外へ移動する際に利用するために置いておくものだと考えられる。
これらの2種類の学内にある「放置自転車」や「学内移動用自転車」といった「置きっぱなし自転車」の分布に注目すると「放置自転車」は主にペデストリアン沿いで停めやすく、屋根の無い規模の大きな駐輪場や、あるいは研究棟付近に多く見られるということが分析から分かった。一方で「学内移動用自転車」は講義棟や駐車場に近い駐輪場の中でも屋根つきの駐輪場に多く分布していた。
図3-2. 自転車利用実態調査結果 (N=871)
図3-3. 放置自転車の割合の高かった駐輪場
図3-4. 学内移動用自転車の割合の高かった駐輪場
図3-5. 第三エリアの駐輪場21分割図
※大半が屋根付き駐輪場1、2、4、6、(14の一部)、16、18、19、20、21
3-3.自転車利用に関するアンケート調査 (パーソントリップ調査)
置きっぱなし自転車の利用実態調査の為にアンケート調査とパーソントリップ調査を実施した。パーソントリップ調査では大学およびその周辺における移動行動について、自宅を出てから帰るまでの移動手段・目的地を1週間分記入してもらった。
・ 期間 2012年5月30日(水)~6月8日(金)
・ 対象 第三エリアを利用する学生(院生を含む)
・ 方法 第三エリア内でアンケートを配布。シス情支援室前に設置した回収BOXで回収した。
・ 回収枚数 91枚
・ 結果と考察(自転車利用に関するアンケート)
アンケートの自由回答の欄で、学内における自転車の問題を聞いたところ、「違法駐輪」といったことや「ペデの問題」「自転車を乗る際のマナー」など様々な問題が挙げられていた。自転車が必須なのではないかと考えられている筑波大学において多少の問題は当たり前のような気がするが、これらの問題は長年考えられてきたことでもあり、それは全く改善されていないという現実を見て取れた。
また、各質問事項に関して、交通手段ごとの計を算出した。
設問2-4. 自転車を利用する理由を教えてください。(当てはまるものすべてに○)
バイクはあまりにも母数が少ないためデータとして不十分であると考えられる。徒歩+自転車、バスを利用している人は「速く移動が出来る」「時間が自由・確実」「移動が容易である」といった項目や「費用がかからない」といった項目に表が集中した。そんな中、クルマを利用している人はそういった項目もそれほど高い値を示さなかった。この結果から私たちは別に自転車にこだわる必要はないのではないかといった考えを持った。(表3-4、図3-6)
表3-4. 自転車を利用する理由
図3-6. 交通手段別の自転車を利用する理由の割合
設問2-5. 大学構内の駐輪場を選ぶ際に注意していることはありますか?
(当てはまるものすべてに○)
ここでもバイクは考察の対象外とする。どの通学手段に置いても「目的地に近い」「屋根がある」、また徒歩+自転車においては「空いている」も高い割合となった。
表3-5. 駐輪場を選ぶ際に注意していること
図3-7. 交通手段別駐輪場を選ぶ際に注意していることの割合
設問2-8. 大学構内に自転車を置いている方へ、その自転車を利用する目的
(当てはまるものすべてに○)
学内移動用自転車を持っている人への質問である。学内での利用だけでなく学外への利用も見て取ることが出来る。こういった利用にはレンタサイクルを推奨していけばいいのではといった考えが出た。
表3-6. 学内移動用自転車の移動目的
図3-8. 通学手段別学内移動用自転車の移動目的
設問2-9. 大学に自転車を置いて帰るときに利用する駐輪場を選ぶ際に注意していることはありますか?(当てはまるものすべてに○)
複数回答ではあるのだが、屋根があるといった項目が圧倒的に高い数値を占めた。自転車を大学に置いて帰るといった状況から、雨にあたるといったことを嫌っての結果ではないかと推測できる。
表3-7. 学内移動用自転車を駐輪して帰る際に選ぶ駐輪の理由
図3-9. 通学手段別学内移動用自転車を駐輪して帰る際に選ぶ駐輪の理由
・ 結果と考察(パーソントリップ調査)
通学手段と学内移動
自宅から大学への移動は除いているが、クルマ・バス等で通学している人は学内での移動に徒歩を自転車で大学に通学している人よりも割合が高くなっている。自転車を出すくらいなら歩いた方がといった心理が働いているのではないかと感じた。
表3-8. 通学手段別一週間の移動手段の総数(自宅が発着点になるのは除く)
図3-10. 自転車通学者の一週間の移動手段の割合(自宅が発着点になるのは除く)
図3-11. バス通学者の一週間の移動手段の割合(自宅が発着点になるのは除く)
図3-12. クルマ通学者の一週間の移動手段の割合(自宅が発着点になるのは除く)
学年と交通手段
全体と比較しても分かるが、院生が徒歩での移動が多くなり自転車の移動は少なくなる傾向にある。これは講義等が第三エリアで完結することなどが原因ではないかと思う。
表3-9. 学年別の一週間の移動手段のその総数
図3-13. 全体での一週間の移動手段のその割合
図3-14. 一年生の一週間の移動手段のその割合
図3-15. 二年生の一週間の移動手段のその割合
図3-16. 三年生の一週間の移動手段のその割合
図3-17. 四年生の一週間の移動手段のその割合
図3-18. 院生の一週間の移動手段のその割合
学内移動用自転車を持っている人の移動の経緯
これは学内移動用自転車を持っている人のみの結果である。第一エリアより南に第三エリアから移動する際に自転車を利用しているのが分かる。また学外へ自転車で移動しているといったことも観測することが出来た。(図3-18)
主に利用する駐輪場を尋ねたところ以下のような結果になった。
第三エリア利用者は19番や21番の駐輪場のように屋根つきの駐輪場に人気が集中している一方で、屋根付きでも6番や21番の駐輪場のように主要な通り道から微妙に外れたところにある駐輪場においては、講義棟いという好立地にもかかわらず利用されていない駐輪場があることが分かった。また、屋根が無くても南側でアパートからのアクセスが良く講義棟へのアクセスの良い11番、12番の駐輪場も人気が高い。 また大学に自転車を置いて帰る際に利用する駐輪場を尋ねたが、21番や14番の混雑の激しい駐輪場や駐車場近くの駐輪場が人気であることは分かったが、母数が少ないため断言は出来ない結果となった。
図3-20. 一週間で利用する主な駐輪場(N=91)(複数回答)
図3-21. 大学に自転車を置いて帰るときに利用する駐輪場(N=8)(複数回答)