4 重点整備計画

[1 土浦駅東口再開発事業]
[2 親水環境保全事業]
[3 地域センター事業]

1 土浦駅東口再開発事業

1−1 事業目的

 土浦駅東口駅前地区は、目前に霞ヶ浦を望み潜在的価値が非常に高いに もかかわらず有効に利用されていない。そこでこの地域を土浦の新しい顔 となるよう、また土浦駅周辺を魅力のあるものにするため全面的に整備す る。さらには我々のめざす福祉核都市構想の中心地として、その機能を集 約し効率的な対応ができるような地域にし、県南の福祉行政の先駆者的役 割をも担えるようにする。
 ここでは、健常者用、障害者用や高齢者用といった形ではなく、すべて の人が同じように利用でき、すべての人が霞ヶ浦などを介して触れ合える 場を提供していく。

1−2 事業計画

 50haにも及ぶ計画地はすべて土地の境界線をなくし、誰でも自由に出入 りができる総合公園とする。その敷地の中にマリーナ、大学、生活センタ ー、総合病院などが配置され、人々はその中を自由に行き来することがで きる。また、土浦駅からは道を越えるよう2階の高さでペデストリアンデ ッキが設置され、西口商店街からも簡単に公園内、霞ヶ浦湖岸までくるこ とができるようになっている。そして、霞ヶ浦総合公園とつくば自転車道 を結ぶ湖岸ロードを公園内に通すことにより、リクリエーション基地とし ての機能も備える。
 地域内はこの地域の特性からもすべての場所においてバリアフリーを重 視する。

1−3 具体的計画

 この地区は大きく2つのゾーンに分けられる。
 1つは土浦駅の真東にあたる、現在港町と呼ばれている地域である。こ こには大学や生活センターなどが配置され、福祉センター地区として土浦 駅東口の核となる。
 もう1つは現在の川口運動公園の位置にあたる地域であり、レクリエー ション公園として機能する。
 これら2つの地区のそれぞれの特性と配置計画等を述べていく。

(1)福祉センターゾーン

 この地区には福祉大学や生活センター、総合病院等が配置されるが、こ れらの施設を集中させることにより施設間の連携を密にして効率的な対応 をすることが目的である。また、福祉施設を配置することで、霞ヶ浦やレ クリエーション公園を積極的に利用してもらうことができると考える。そ して、西口にある総合福祉会館や生涯学習センターとのかかわりも忘れて はならない。東口と西口にまたがって機能を集めることによって、より双 方のつながりが増し、一体となった発展をすることができる。
 この地区に来るには土浦駅からペデストリアンデッキを通って来るよう になるので、西口との往来のし易さが増すと思われる。またペデストリア ンデッキは湖岸ロードと合流し、霞ヶ浦総合公園へと続いているので気軽 に霞ヶ浦を楽しむことができる。
 現在この地区には約760世帯、1700人の人が住んでいるが、住民の方々に は新しくこの地区に建設する中高層住宅に移ってもらうことや、近くに建 設中のニュータウンに移ってもらうこと等を主とした対策をとりたい。

具体的施設
  • 生活センター
     介護人材派遣センター マ ホームヘルパーの派遣等
     シルバー人材センター マ 労働意欲のある高齢者を登録し派遣
     介護用品等レンタルセンター マ 特に計画地内高齢者用アパートと提携
     給食センター マ 1人暮し家庭に給食配送のサービス
  • 総合病院
     総合病院としての機能
     トレーニングセンターを配し一般市民に開放(料金;福祉財源へ)
  • 商業住居複合施設
     現在の地権者が入居できるような複合施設を建設。
     1〜2階を商業スペースとし西口との連携を図る。高齢者対応のバリア フリーマンションとし、福祉センターと提携。
  • 市役所
     東口に配することで利便性を高めると共に活処したい。もちろん、全面 改修というものの中には施設の改修というハード面の改善だけでなく、託児 所の開設、地区全体のバリアフリー化、障害者用設備の充実等のソフト面の 改善も含まれる。
  • 野球場、陸上競技場 マ 現在の物を改修する
  • トリムコース マ 湖岸ロードと平行整備も行う
  • 体育館や児童遊技施設
  • マリンスポーツ施設(マリーナ)
  • 土浦港
     整備することにより港としての機能だけでなく親水空間としての機能を もたせる。

図4−1 土浦駅東口再開発計画図

2 親水環境保全事業

2−1 事業目的

 水と緑は私たちの生活環境の中でかけがえのない自然の財産である。近 年、宅地開発などにともない自然緑地の減少、事業所排水や一般家庭から の生活排水、ごみの不法投棄などでの河川・湖沼環境は悪化を続けている 。特にその影響を受けてしまう霞ヶ浦の水質汚濁、富栄養化は、土浦市に おいても深刻な問題となっている。このことから、水質汚濁の原因となる 汚濁負荷量を減少するため、公共下水道を整備するとともに、霞ヶ浦を含 む河川の清流復活にむけて市民の浄化運動など、意識の啓発をはかる。ま た、土浦市の公園・緑地は、都市公園35ケ所・71.2haが開設され、市民の 憩いの場やレクリエーションの場となっており、また、災害時の防災、避 難場所として欠くことのできない都市施設の役割を有しているが、土浦市 の公園・緑地は、都市公園法の基準の6.0F/人より低い5.1F/人の水準に なっている。
 それらをふまえていくと、地域の豊かな自然環境を生かし、緑の拠点と なる森林公園などを整備するとともに、豊かな水辺空間において、親水公 園や遊歩道の整備などを行い、身近に緑や水と親しめる環境づくりを進め る。その一環として、親しみやすい霞ヶ浦を目指し、湖岸整備事業を行う 。また、日常生活の中で安全かつ快適にスポーツ・レクリエーション活動 に親しむ空間を形成するため、土浦駅東口前を起点とし、湖岸を囲む親水 公園とも連接する、土浦−つくばつくば自転車道の整備を進めていく。

2−2 事業計画

 霞ヶ浦湖岸整備事業は8.8haに及ぶ計画地であり、霞ヶ浦湖岸の豊かな 水辺環境や水辺空間を創造していくだけでなく、緑と共に水にもふれあえ る親水公園とする。それは、霞ヶ浦湖岸約3kmの自転車・歩行者道を軸と した展開であり、霞ヶ浦湖岸の様々な風景を連続的に楽しめる空間にもな る。また、それと連結する自転車道として、土浦ーつくば自転車道(筑波 自転車道)の約4.5kmを計画し、約1kmごとに自転車道の利用者や周囲の住 民や地域の連結点にもなり、親しめる休憩や憩いの場であるポケットパー クを配置する。親水・環境保全事業を進めるにあたり、以上の公園・緑地 などの計画を補完するかたちで、公共下水道の整備も進めていく。

2−3 具体的計画

 親水・環境保全事業を大きくわけると、次の3つに分かれる。

 (1)霞ヶ浦湖岸整備事業(湖岸ロード)
   親水公園や歩行者・自転車道の整備、水と緑に親しめる空間
 (2)土浦−つくば自転車道(筑波自転車道)
   安全かつ快適にスポーツ・レクリエーションに親しめる空間
 (3)公共下水道整備事業
   水質汚濁の原因となる汚濁負荷量の減少を目ざす

 次からは、これら3つの事業計画について具体的に述べていく。

(1)霞ヶ浦湖岸整備事業(湖岸ロード)

 霞ヶ浦湖岸を囲むように整備される全長約3kmの歩行者および自転車専 用道路「湖岸ロード」は、親水公園としての機能も有し、道幅は約5mで、 道を含める公園幅は細いところで20m、最大のところでは30mあり図4−2 のようになっている。そして、計画面積は8.8haを計画している。


図4−2 湖岸整備事業の「湖岸ロード」と親水公園

 この「湖岸ロード」を計画している霞ヶ浦湖岸の現状は、土浦市の北 側である写真4−3のような所では、防岸壁のうえを砂利道が通ってお り、その内側をれんこん畑がうめている。


写真4−3 霞ヶ浦湖岸の現状

 「湖岸ロード」を整備すると、写真4−4のようになると予想される 。この「湖岸ロード」を歩行したり自転車で走ることで、霞ヶ浦湖岸の 美しい景観を楽しむことができることを考えれば、霞ヶ浦湖岸は、日常 生活の活動が親しめる空間となる。


写真4−4 「湖岸ロード」整備後の予想写真

 この「湖岸ロード」は、図4−5のように、南の起点は霞ヶ浦総合公 園であり、湖岸を北に進んでいき、土浦駅東口前を通り、川口運動公園 をへて、手野地区へと続いている。また、土浦駅東口前において、土浦 −つくば自転車道ども連結しており、駅前からの市民の歩行、自転車に よるアクセスの拠点ともなる。


図4−5 湖岸整備事業の計画図


(2)土浦ーつくば自転車道(筑波自転車道)

 土浦駅東口を起点として、筑波山を含む豊かな森林などがある水郷国 定公園を通る「土浦−つくば自転車道」は、岩瀬町まで続いており、全 長約40.1kmを計画している。これは、図4−6のようになっている。


図4−6 土浦−つくば自転車道の計画図

 その土浦市内の約4.6kmの区間においては、起点である土浦駅東口で は親水公園などの「湖岸ロード」に連接しているほか、約1kmごとに ポケットパークを配置し、都市化が進む土浦市の中でも貴重で安全な 快適で緑とふれあえる空間を形成していく。


写真4−7 土浦−つくば自転車道・市街地内の予想写真


写真4−8 土浦−つくば自転車道・市街地調整区域の予想写真


(3)公共下水道整備事業

 下水道は、都市環境を整備・改善し、公衆衛生の向上に寄与するだ けでなく、河川・海域などの公共用水域の水質の保全に資することを 目的としていて、流域下水道、公共下水道、都市下水道がある。
 流域下水道は2以上の市町村の区域における下水を排除するもので、 かつ終末処理場を持つものである。事業は原則として都道府県が行っ ている。土浦市の場合茨城県の施行による霞ケ浦湖北流域下水道事業 により、土浦市、石岡市、阿見町、美野里町、千代田町、出島村、新 治村の公共下水道から出る下水を霞ケ浦浄化センターに集め処理する ことになっている。この事業は、終末処理場及び幹線管渠の一部を除 き供用が開始されているが今後ともその整備促進が望まれている。
 公共下水道は、主として市街地における下水を排除し又は処理する ために地方公共団体が管理するもので、終末処理場を持つか、又は流域 下水道に接続するもので、下水を排除する管渠の大部分が暗渠である ものをいう。
 都市下水道は、主として市街地における下水を排除するために地方 公共団体が管理している下水道で、公共下水道及び流域下水道を除い たものをいう。
 これらの下水道計画の上位計画として流域別下水道整備計画がある 。この計画は、公共用水域の水質汚濁防止を図っていく上での、当該 流域全般にわたる最も合理的な下水道整備に関する基本計画である。

▼土浦市の下水道整備の現状

 土浦市は上で述べたように、県が実施している霞ケ浦湖北流域下水 道事業により公共下水道から出る下水を霞ケ浦浄化センターに集め処 理している。土浦市の平成7年における公共下水道の普及率は、約2 000haの整備済みの区域において63.2%であり水洗化率は8 3.0%である。これは、全国の10万人規模の都市の平均的なもの であり、霞ケ浦とその流入河川の水質を保全あるいは向上させるため には十分なものではない。霞ケ浦とその流入河川の水質を向上させる ためには、茨城県の施行による霞ケ浦湖北流域下水道事業の整備促進 を望むとともに、土浦市の公共下水道で独自の終末処理場を新設する などの対策が必要である。
また、浸水の防止は下水道の重要な役割の一つであり、雨水の防止 に加え貯留・浸透などの流出抑制や河川整備と連携した計画的な下水 道整備が必要である。しかし、都市化の進展によって、雨水の不浸透 区域が拡大し保水機能が低下する傾向にあって、降雨時には一時的に 市街地に流入する多量の雨水や生活廃水により、浸水被害が発生し生 活環境上の支障となっている。

表4−9 霞ヶ浦湖北流域下水道事業の概要(1995年)
土浦市 全体
計画面積(ha) 4,783.6 10,424.2
計画処理人口(人) 172,100 354,024
計画汚水量(G/日) 117,780 266,435

表4−10 公共下水道の整備状況(1995年)
行政区域 整備済区域
面積(ha) 9,155 2,004
人口(人) 132,201 83,489
水洗化人口(人) 69,296
普及率(%) 63.2
水洗化率(%) 83.0

▼土浦市の下水道整備の具体的構想

 1996年において、政令指定都市の平均で97%が普及しており、 建設省都市局では、第8次下水道整備7箇年計画により、1996年に おける全国で約55%の普及率を、2002年には66%に引き上げる ことを目標に下水道の整備を推進している。土浦市では、下水道整備の 認可区域が2965haあり、そのうち2004haがすでに整備済み である。この認可区域内の人口は総人口の約92%であり、建設省都市 局の第8次下水道整備7箇年計画では2002年までに11%の増加を 目指していることから、霞ケ浦の浄化を重要課題とし県南地域の中心で ある土浦市では、2002年までに17%引き上げて普及率を80%に することを目標とし、さらに認可区域内の人口は総人口の約92%であ ることから、2010年には認可区域内のほぼ全域の整備を目指し普及 率を90%にすることを目標とする。
霞ケ浦湖北流域下水道事業のうち、土浦市は人口の49%、汚水量の 44%という大部分を占めている。土浦市の公共下水道の整備が上記の ように2010年に普及率90%を達成した場合処理人口は1.5倍にな り、霞ケ浦湖北流域下水道事業による霞ケ浦浄化センターの容量が不足 する場合も考えられる。そこで、流域下水道は原則的に都道府県が施行 することになっているので茨城県と調整するとともに、土浦市が独自の 公共下水道の終末処理場を新設する。

▼土浦市の下水道整備計画

1.公共下水道の整備促進とコスト縮減

 認可区域のうち未整備の961haの整備を進め、清流ルネッサンス 21の指定に基づく、備前川、新川流域の整備をする。整備を促進する 具体的な対策としてコストの縮減を図る。対策の内容は以下のようなも のである。

・マンホールの設置基準の見直し、塩化ビニル製マンホール採用
・工事の平準化
・掘削発生土・再生材の使用拡大
・管渠接続工法の見直し
・埋設深の見直し
・発注方法の見直し

2.浸水防止

 短期的対策としては、浸水被害の早期解消を図るため、公共下水道雨 水幹線を整備し、新川ポンプ場の能力増強を図る。雨水排水対策だけで なく農地保全等の観点から未整備の都市下水路を整備し、特に整備率が 20%以下である中、西根竹の入、木田余、殿里西、菅谷東の路線を重 点的に整備する。
 長期的対策としては高度雨水情報提供システムを導入する。これは、 浸水危険区域内の住民に対して、雨量・水位等に関するきめ細かいリア ルタイムな情報を提供することにより、住民自身による浸水時被害軽減 の取り組みを支援するシステムである。建設省によって創設された「高 度雨水情報提供システムモデル事業」により、施設の整備に補助が受け られるので、これを利用して高度雨水情報提供システムを導入すること を促進する。


図4−11 高度雨水情報提供システムのイメージ図

3.費用効果分析

 下水道の整備には多大な費用がかかるが、公共事業の執行には、透明 性・客観性の確保、効率性の一層の向上を図ることが求められている。 さらに、不況による財政事情の悪化もあり、多額の事業費を費やすこと に住民の理解を得ることが必要である。また、事業の推進には住民の協 力が必要であり事業の推進を図るためにも住民の理解を得ることが必要 である。そこで、住民の納得と協力を得られ、費用に対する効率性の向 上を図るために費用効果分析を行いこれを住民に公表する。
 分析手法は平成9年12月に日本下水道協会に設置された「費用効果 分析手法検討委員会」において策定された「下水道事業における費用効 果分析マニュアル」を利用する。このマニュアルでは、下水道施設の整 備及び維持管理費等にかかる費用と、下水道整備によって発現する効果 のうち貨幣価値換算が可能なものについて評価した便益を算出し、それ らの比である「費用分析比(B/C)」を用いて定量化している。

◆公共下水道事業における試行事例

定量化を行った効果項目
生活環境の改善:中小水路の覆蓋化費用
便所の水洗化 :浄化槽の設置・維持管理費用
公共用水域の水質保全:水質汚濁で失われる公共用水域の存在価値
          :水質汚濁による上水、工業用水の浄化費用
          :農業用水の汚濁による農業被害額
浸水の防除:浸水被害の軽減額
その他効果:処理場等の用地を公園等に活用できる価値

表4−12 費用効果分析結果
B/C
青森県川平市 1.86
静岡県菊川町 1.46
三重県名張市 2.19
岡山県真備町 1.81
佐賀県多久市 1.87


図4−13 望ましい水循環の構築

3 地域センター事業

3−1 目的と概念

(1)目的
 最近の福祉ニーズは、経済的なものから在宅福祉サービスに代表される ような人的サービスや生きがい対策等へ変化しており、その内容も地域社 会が一体となって相互扶助活動を推進すると共に、福祉対象者もその活動 に参加できるような環境づくりまでに拡大されている。こうした状況の中 で、人生80年時代に向けた総合的・計画的な福祉施策を展開するため、 平成6年度に「土浦市地域福祉推進計画」を策定した。この計画を基本と して推進体制の強化を図ると共に、地域福祉活動の拠点としての総合福祉 センターの整備が必要となっている。
 また社会教育施設は、地区公民館や図書館、社会教育センター等の施設 が整備され、市民の身近なコミュニティ活動の場として、年々利用者が増 加している。また、近年における情報化、国際化、高齢化等の動きに加え て、自由時間の増大、生活水準の向上等を背景として、市民は「よりよく 生きること」を願い、生涯を通して学びたい、働きたいと強く望んでいる 。このためには社会教育活動をよりいっそう充実していくことが重要で地 域の社会活動の拠点になっている公民館、図書館、博物館、学校等の関連 施設の有機的な連携を強化する必要がある。さらに、拠点施設としての機 能充実のため、新図書館の建設を推進すると共に、地域に密着したコミュ ニティづくりの場として、地区公民館とは別に新たな施設(コミュニティ 施設)の建設も望まれている。
 そこでこのようなニーズに答えるために地域のケアプラザとしての総合 福祉会館、コミュニティ施設を併設した地域センターを土浦市内に数カ所 建設しようというのが地域センター計画である。

(2)概念
 この計画を策定するにあたってノーマライゼーション、バリアフリー、 地域ケアシステム、この3点に重点をおいた。

●ノーマライゼーション
 高齢者、障害者を含む全ての人々が家庭や地域で共に暮らし、ふつうの 生活を送ることができる社会を作るという考え方。都市計画的には以下の ようになる。
  • 多世代が混住し、交流する社会を実現する多機能複合的土地利用
  • 高齢になっても極力地力で安全、快適に行動できる生活環境の形成
  • 年齢に応じた多様な居住形態に対応する住宅・宅地の供給
  • 高齢者をはじめとする弱者を支え生きがいを提供する場の確保・地域 ケアシステム
●地域ケアシステム
 「住み慣れた家庭や地域でいつまでも安心して暮らしたい」と願う高齢 者や障害者を地域全体で支えていくネットワークシステムである。地域ケ アシステムは福祉職員、ホームヘルパー、保健婦、医師、民生委員、ボラ ンティア、家族、親族の方々で構成される「在宅ケアチーム」によって行 なわれる。

●バリアフリー
 バリアフリーとは、高齢者や体に障害を持った人が、できる限り自立し 、安全に日常生活を送れるよう配慮した住まいづくりの考え方である。高 齢化社会が進行している日本では、今後の住まいづくりに不可欠な概念で ある。お年寄りの死亡数の内訳が、交通事故死よりも家庭内事故死の方が 多いのが現実である。またバリアフリーは住まいだけでなく地域の住環境 、たとえば歩道の段差の解消やスロープの設置などにも用いられる。高齢 者や障害者の心の壁を取り除く意味でもバリアフリーと言う言葉は使われ る。ユニーバーサルデザインの普及が望まれる。

3−2 現況と課題

(1)公民館(図を参照のこと)(図4−14)
 公民館設置の基準は中学校区を単位にするのだが土浦市も中学校区単位 に公民館を設置している。場所は一〜六中、都和中、荒川沖(2ケ所)に あり、図に位置を示してある。建物の規模は別表に示す。また年間の利用 者数は図に示した通りである。必ずしも人口が多いから利用が多いと言う わけでもなく、現地の活動が活発かどうかが利用者数に影響するようであ る。そこからも公民館活動の活発化が望まれる。市の計画でも神立に地域 コミュニティーを建設する予定であるが、より多くのコミュニティ施設が 必要である。また図書館も狭隘化していることから新設が望まれる。

土浦市の公民館
一中地区公民館        1750F
二中地区公民館        1223F
三中地区学習等併用施設    1213F
四中地区学習等併用施設    1216F
上大津公民館          725F
六中地区学習等併用施設    1219F
都羽公民館          1242F
荒川沖東部地区学習等併用施設  362F
荒川沖西部地区学習等併用施設  335F
図書館            1130F
社会教育センター       1450F


図4−14 公民館利用件数/利用者数(平成9年)
(水色は住居地域・橙色の★印は公民館)

(2)総合福祉センター(図4−15)

 一言で福祉と言っても高齢者福祉、児童福祉、障害者福祉その他多岐 に渡っており、仮に高齢者福祉と言っても在宅なのか、ホームでの介護 が必要なのか、通所するのか等多様なケースがあり福祉施設はその機能 の多様化を求められている。また高齢者福祉は在宅もしくはその人の住 む地域での介護が求められるようになってきておりその意味でも地域に 根ざした総合福祉センターの設置は望まれる。
 うららの2号館の4階〜8階までは土浦総合福祉会館というところで ある。
そこでは
 ・社会福祉センター
 ・障害者自立支援センター
 ・老人デイサービスセンター
 ・老人福祉センター
 ・女性センター
 ・青少年センター
と多岐にわたる施設がおかれている。

(3)高齢者福祉施設
  • 老人福祉センター
     老人福祉センターは地域の老人に対して各種の相談に応じると共に、 健康の増進、教養の向上及びレクリエーションのための便宜を総合的に 提供し、もって老人に明るい健康的な生活を営ませることを目的とする 。設置基準としては老人の利用上の便宜を図ることが可能であり、かつ 事業を円滑に行うことのできる場所に設置することである。土浦市では 土浦総合福祉会館を起点にながみね、湖畔荘、つわぶき、うららといっ た老人福祉センターがあり、各施設ともに年間20000人程の利用がある。 市内に住む60歳以上の方は無料で利用できる。お風呂等が借りられる のが魅力である。またそれらの施設で市の地域ケアシステムを地域毎に 区分して担当している。おおもとは土浦市高齢者福祉事業団である。こ こでは高齢者能力開発センター(無料職業紹介所)等も開設している。
  • 在宅介護支援センター
     在宅用援護老人(ねたきり、痴呆、虚弱等)及びその家族に対し、介 護に関する総合的な相談に24時間体制で応じる。さらに、各種の保険 ・福祉サービスが総合的に受けられるように、関係行政機関、サービス 実施機関との連絡調整等の便宜を図り家族を支援する。
     特別養護老人ホーム「静霞園、飛羽ノ園、滝の園」老人保健施設は「 さくら」「土浦共同病院」といった施設が在宅介護支援センターの役割 も果たしているが数が足らないのが現状である。特別養護老人ホームの 話になれば入所待ちが現実である。

図4−15 市内の高齢者・障害者福祉施設(平成9年)
(水色は住居地域)

  • 老人訪問看護ステーション
     在宅で生活しているねたきり老人等のいる世帯を看護婦が訪問し、医 師の指示に基づいて、清拭、食事、排泄の介助等介護を行う。
     土浦訪問看護ステーション、神立訪問看護ステーションさくら、厚生 連土浦訪問看護ステーションにて実施。
  • 老人デイサービスセンター(土浦総合福祉会館、飛羽ノ園、滝の園 、静霞園等)
     在宅の虚弱老人等の心身機能の向上維持や、孤立感の解消、更に家族 の身体的、精神的負担軽減を行うため、通所による各種サービスを行う。
●現在デイサービスセンターはデイケアを含めて全国で約1万ケ所。こ れは新ゴールドプラン目標達成時の約6割である。年次を追って整備さ れているものの、中学校区に一ケ所の目標には足りていない。
●今後は運営が社会福祉法人だけではなく民間事業者でも可能となる方 向にある。

 土浦市で行われている高齢者福祉サービス事業(在宅)
デイサービス、ショートステイ(一時入所)、ナイトケア事業
ホームヘルパー派遣事業、友愛サービス事業、巡回入浴サービス事業
介護機器給付・貸与、福祉電話貸与、ひとり暮らし老人「愛の宅急便」
通所・訪問機能訓練、訪問歯科検診、高齢者住宅整備資金貸付
住宅リフォーム助成、ひとり暮らし老人等緊急通報システム
はり・きゅう・マッサージ施術費補助、各種手当ての支給Br> 在宅介護支援センター
老人訪問看護ステーション、毎日型食事サービス事業
 と多岐に渡っている。

(4)心身障害者福祉施設

 四中地区には養護学校,心身障害者福祉施設、精神薄弱者通所授産施 設「つくしの家」といった施設が集積おり、土浦総合福祉会館に障害者 自立支援センターがおかれている。これらの施設は相互に関係しており 心身障害者(児)に対して必要な指導訓練や機能回復訓練等を次のよう に行っている。
  • 精神薄弱児通園施設(つちうらつくし学園)
     知的障害の児童を保護者のもとから通わせて、社会に適応できるよう に必要な生活、運動等の指導を行っている。
  • 心身障害児通園事業(つくし療育ホーム)
     体の不自由な児童の機能回復訓練と生活指導を行い、将来独自の生活 ができるように解放している。
  • 心身障害者福祉ワークス運営事業(つくし作業所)
     心身障害者(児)が必要な知識、技能を習得し、将来自活できるよう な指導訓練を行う。
  • 精神薄弱者通所授産施設(つくしの家)
     精神薄弱者福祉法に基づく通所授産施設で、一般社会の職場に就職す ることが困難な精神薄弱者に職業を与えて、収入の道を開きながら、自 活に必要な訓練を行い、その自活を促進するものである。最終的には一 般社会で働くというのが目的なのだが、まだそういった方が出ていない のが現実である。また「つくしの家」でつくられた針刺しや小物が土浦 総合福祉会館で売られている。非常に可愛い。
  • 身体障害者授産機能(土浦総合福祉会館)
     家庭的な事情や障害の起因により就労が困難な身体障害者の方々に働 く場を提供し、生きがいと社会参加を図る。
  • 身体障害者デイサービス機能(土浦総合福祉会館)
     障害者の方々に入浴・食事サービスを始め機能訓練、介護方法の指導 等各種サービスを提供し、自立促進や生活の改善、身体機能の維持向上 を図る。
  • 養護学校
(5)住居地域の利用(図4−16、4−17)

 図に示しているのは土浦市の中学校区単位の区分と公民館と市民会館 、高齢者福祉施設、用途区分で住宅地として指定された土地である。次 の図で示しているには地域毎の人口数である。平成9年のデータに基づ いている。ただし一中地域等も人口が多く一概に用途区分が地域の人口 をあらわすわけではない。だが三、四中地域に住居が多く集まり、また 上大津地域はおおつのヒルズという8000人規模のニュータウンを開 発中であり将来の住居系の利用がある。それに対して中心市街地にはあ る程度施設が整っているが、各地域毎には必要な施設が少ないのが現状 である。


図4−16 市内の住居地域・公民館・福祉施設(平成9年)
(水色は住居地域・橙色の★印は公民館)


図4−17 市内の地域別世帯数/人口総数(平成9年)

3−3 施設設置計画(図4−18、4−19)

 前述したように地域のニーズに対して中心市街地以外は公民館、総合 福祉施設の供給が追い付いていない。そこで地域のセンター施設を作る ことを目的として施設配置計画をたてる。

(1)施設設置条件
 高齢者に対し各種相談や教養の向上、趣味・娯楽活動の機会の場とし て整備する老人福祉センター的要素、在宅で援護をを必要とする高齢者 等に、身近なデイサービスを提供すると共に、区域全体の福祉、保険活 動の拠点及び福祉機器の相談調整機能を一体とする地域ケアセンター的 機能、老若男女問わず交流の場として、また体育・会議室会議や発表の 場としての公民館的機能、それらを合わせ持つことを地域センターは目 的とする。

(2)一中地域:現状維持(東口との連携を図る)
 基本的にこの地域は市の核となる場所なので、公民館、亀城プラザ、 総合福祉会館等様々な施設が揃っている。ここではソフト的なネットワ ークが望まれると思われる。ところで駅前再開発においてひとにやさし いまちづくり事業をおこなっているがよりいっそうバリアフリー化を行 うことが望まれる。段階別のこの事業が順調に行くことが望まれる。

(3)二中地域:現状維持(ネットワークの充実)
 この地域も市民会館、社会福祉センター、在宅介護支援センター「協 同病院」在宅老人デイサービスセンター「静霞園」と非常に施設的には 揃っている。また福祉大学としてつくば国際大学が立地している。人口 も市平均からするとけして多くなくどちらかというとハード的なものよ りもソフト的な意味で地域のネットワーク望まれているものと思われる。

(4)三中地域:図書館機能も備えた地域センターの建設
 この地域は市内で2番目の人口を抱えている。その割に公民館の規模 が小さい。しかし公民館の利用状況は市内のトップクラスである。また 福祉施設も地域拠点の老人福祉センター「ながみね」があるが桜土浦イ ンター側にあり中心住宅地である、荒川沖駅周辺とは距離がある。そこ で荒川沖駅側に公民館、総合福祉会館、また市内に少ない図書館機能を 持たせた地域センターを作ることとする。

(5)四中地域:高齢者対策を特に重視した地域センターの建設
 この地域は市内で1番の人口を抱えている。また学習等併用施設の利 用者も多い。しかしその施設数は十分とは言えない。またこの地域は住 宅団地として一斉に販売されているので地域の世代が近くなり、高齢化 するときは一気に進展する等の問題を抱えている。

 後述するが天川住宅は実際その傾向が出てきており地域センターの存 在は非常に求められていると思われる。そこで天川を中心に永国、桜ヶ 丘等の住宅団地をカバーできる割と大規模な地域センターを設置する。

(6)五中地域(上大津地域)おおつのヒルズ、神立の2地点に地域セ ンターを建設
 この地域はまだあまり人口が多くはないし公民館利用が活発というわ けではない。だが計画人口8000人のおおつのヒルズが完成すればそ の地域をカバーするだけの地域センターが求められる。また市の計画で も地域コミュニティー建設がのぼっている。あと神立駅周辺の整備も求 められそこにも地域センターが必要である。

(7)六中地域:レクリエーション機能を含む地域センター
 この地域も人口が多いわけではないが住居系の利用が拡大し、また霞 ヶ浦湖畔に近くレクリエーション機能も強く有している。そこで湖畔に 地域センターがあるのは交流の場をふやす意味でも望ましい。新設され る温水プールのある霞ヶ浦総合公園内に設置する。東口の福祉施設と連 携をとっていく。

(8)都和中地域:より地域の活動を活発にするための地域センター
 この地域は人口総数と公民館利用の関係を見ると非常に公民館活動の 活発な地域と思われる。また「つわぶき」を核として地域のケアシステ ムを補っている。また定住志向が強く、その意味でも地域センターが望 まれる地域と思われる。そこで公民館、つわぶきとはある程度距離をと って地域センターを設置する。

(9)地域センターにおける道路計画
@歩行者空間の分離
  • 歩車道の分離
  • 歩道の幅員の確保  ・植物帯は、幅員2.5m以上の歩道に設置し歩行空間の有効幅員を1.5m 以上確保する
     ・車椅子の同時すれ違いを考慮し、歩道幅員は2.0m以上確保する
A段差の解消
  • 歩車道の切り下げを考える、交差点、沿道敷地の車乗り入れ等の歩車 道の段差解消を考える
  • すり付け勾配は1/12(約8%)以下とする
  • 支線から本線の歩道を横切る手前にハンプを設置する
B平坦性の確保
  • 歩道の舗装は障害者や高齢者等の転倒を防ぐため、平坦性、滑りに くさ、水はけのよさの視点から材料を選択する。
  • スロープの勾配は原則として1/20(5%)以下とする、やむを得ない 場合でも1/15(約6.6%)以下を目標とする
C表示・誘導の設置
  • 駅やバス停等を結ぶ道路の歩道上すべてに視覚障害者誘導ブロックを 設置する。
(10)地域センターにおける公園計画
@移動
  • 出入り口の段差の解消、スロープの設置
  • スロープの最大勾配は1/20(5%)以下とする、やむを得ない場 合でも1/12(8%)以下とする。
  • 階段の有効幅員は1.2mとする
  • 手摺はできるだけ連続して設置する。
A施設整備
  • 杖利用者用ベンチを全体個数の1割以上設ける
  • 休息スペースに四阿、ベンチ、障害者対応の公衆トイレ、公衆電話等 を設ける
  • エントランスや段差のある所、池、水路等の注意を要する個所等に重 点的に誘導ブロック、表示板等を設置する。
  • 高齢者等に配慮して、分かりやすい大きさ、デザインの案内板を見易 い位置に設置する。

3−4 地域センターモデル地区

 天川住宅
  • 天川住宅は築30年くらいの住宅街で約700世帯2200人程が住 んでいる住宅街である。ここは四中地区に当たり永国、高津、桜ヶ丘、そ の他多くの住宅街を含む 地区である。
    天川の作りは大和上高津線を軸に中央にショッピングセンター,公園を置 きできている.がショッピングセンターそのものが大分老朽化がすすみ( 図参照)商業機能は大和上高津線上の店舗にまかしているようである。ま た天川住宅に住む人たちも高齢化している。天川住宅は道路幅が狭く、歩 道が無い。ショッピングセンターも古く、公園も公民館もバラバラにある 。また,高津,永国等の住宅街があるが,地区ごとに核となる地域のショ ッピングセンターや公民館,福祉施設等がばらばらにおかれているのが現 状である.そこで地域センターを設置することとする。

図4−18 地域センターの設置場所


図4−19 最終的な地域センター整備目標


[表紙]
[1 序論] [2 基本構想] [3 基本計画] [4 重点整備計画] [5 資料]