2 基本構想

[1 計画指標] [2 土地利用構想]
[3 交通構想] [4 産業別構想]

1 計画指標

1−1 計画人口

土浦市の人口は着実に増加しつづけ、昭和40年代後半に10万人をこえ 、平成9年では住民基本台帳による人口は13万4107人である。今後 は自然増加の他に、中心市街地や周辺部での住宅開発、土地の有効利用、 周辺部の都市的土地利用の進行により今後も人口が増加していくことが見 込まれ、2010年における計画人口は15万人と想定する。

1−2 人口推計

今回の推計では、コーホート要因法を用いて土浦市の将来人口を推計し た。使用したデータは、基準人口は土浦市の1997年の住民基本台帳に よる人口を用い、出生率・生残率・移動率は厚生省人口問題研究所により 推計された茨城県のデータを用いた。この方法により、過去のトレンドか ら現在の状態を基に将来の人口が推計される。推計結果は以下の表のよう になり、2010年における人口は約14万7000人と推計された。土 浦市は住宅開発、土地の有効利用、周辺部の都市的土地利用が進行してい るため人口の増加が続き、厚生省人口問題研究所の中位推計によると全国 の人口は2011年頃がピークであると推計されているのに対して、土浦 市の人口は2020年頃がピークであると推計された。しかし、ピーク時 の人口は約15万1000人と推計され、2010年の推計人口の約14 万7000人から少しの増加にとどまっている。目標年次である2010 年頃までが人口が急増する期間である。したがって、長期的にも対応でき る都市基盤の整備を考えると、2010年の将来像を考える上で、人口フ レームは計画人口を15万人とすることが適当であるとした。なお推計方 法の詳細は資料編を参照。

表2−1 総人口の推移
1997年 2000年 2005年 2010年
総人口(人) 134,107 137,224 142,615 147,222
1997年は実測値


図2−2 土浦市総人口予測

1−3 年齢3階層別人口

 年齢3階層別人口の推計結果と構成比は以下の表のように推計された。新 規の住宅地開発による40歳代以下の人口流入が多いと思われるため、1 5〜64歳の構成比は2010年までを通して全国よりも高くなっている 。逆に、65歳以上の割合全国水準と比べて1〜2%ほど低くなっている 。この傾向は将来も続き、土浦市は全国水準に比べて高齢者の割合が低い 都市である。しかし、1997年に13.6%であった65歳以上の構成 比が2010年には19.6%になると推計され急激な高齢化が進むと予 想される。さらに2020年代、2030年代は24.0%程度になると 推計される。2010年には5人に1人、さらに将来には4人に1人が高 齢者という時代が来ると予想されるので、十分な高齢化対策が要求されて いる。15〜49歳の各歳の出生率を合計した合計特殊出生率は、199 7年で約1.505であり1.5以下まで低下した後、2010年には1 .612まで高まる。これは、女性が一生の間に何人の子供を産むかを示 す指標であり、人口を維持するには2.08以上が必要であるとされてい る。したがって、今後は少子化が進むことが予想され、総人口は推計によ ると2020年頃をピークに減少していくであろうと予想される。移動率 は10歳代でマイナスがあり10歳代は流出が多いが、その他はプラスで あり全体としては流入している。生残率は男女ともに65歳以上の高齢者 で2010年までにおよそ0.02〜0.06高くなっていて、今後長寿 化が進むものと予測される。

表2−3 年齢別3階層別人口と構成比
1997年 2000年 2005年 2010年
0〜14歳 人口(人)
構成比(%)
20,697
15.4
20,601
15.0
22,003
15.4
23,528
16.0
15〜64歳 人口(人)
構成比(%)
95,162
71.0
96,512
70.3
96,949
68.0
95,404
64.8
65歳以上 人口(人)
構成比(%)
18,248
13.6
20,111
14.7
23,662
16.6
28,290
19.2
総人口(人) 134,107 137,224 142,615 147,222
1997年は実測値


図2−4 土浦市年齢3階層別人口予測

1−4 世帯数

平成7年の世帯数は約4万5000世帯で、1世帯当たり人数は2.89 人である。今後、合計特殊出生率はわずかに上昇することが見込まれるが、 核家族化が進むものと予想され、2010年における世帯数は約5万200 0世帯と予想される。

表2−5 世帯数
1995年 2000年 2005年 2010年
総人口(人) 132,246 137,224 142,615 147,222
世帯数(世帯) 45,744 48,149 50,753 52,206
世帯人員数(人) 2.89 2.85 2.81 2.82
1995年は実測値、資料:国勢調査

2 土地利用構想

 21世紀にむけてのまちづくりの基盤となる土地利用については、まち づくりの理念に基づき長期的な視野に立ち、暮らしの質の向上を目指すま ちづくりを基本に、地域の特性を生かして総合的活計画的に行わなければ ならない。

2−1 土地利用の現況と課題

 土浦市においては、昭和45年で住宅地が市域の14.6%、農地が4 2.5%であったが、平成2年には住宅地が20.5%。農地が36.7 %になっており、住宅地が増加しその分農地が減少している。また、人口 集中地区であるDID地域面積も着実に増え、昭和45年には500ha(市域 の5.5%)であったDID地域面積は今では約3倍に増えている。これは市 街地が大きく拡大してきたことを顕著に示している。そこでこれからは、 住、商、工、農のバランスのとれた土地利用を目指すと共に、市街地の拡 大を抑えて生活空間としての質の向上を目指した土地利用を図ることが重 要になってくる。


図2−6 市域の土地利用の変化


図2−7 DID地区の拡大

2−2 土地利用の基本方針

 土地利用の現況と課題を踏まえた上で、土浦市の将来理念を実現してい くために以下の基本方針を定める。
  • 土浦のもつ自然を貴重な資源と捉えて、無用な開発を防ぎ自然と共存す る土地利用を推進する
  • 住、商、工、農のバランスのとれた土地利用をめざし、住宅地の環境整 備と共に土浦の各産業の振興を図る
  • 集落や都市の景観を大切にし、人と街が快適に調和する土地利用を目指 す
  • 地域と地域の繋がりを大切にする土地利用を図る

2−3 市域における土地利用の具体的構想

  • 中心市街地
     中心市街地は衰退しつつある都市機能、商業、業務の拠点機能を再生し つつ、新たな福祉核としての機能を充実させていく
  • 荒川沖周辺
     より東京に近い場所にある荒川沖周辺は交通の利便性を高めるとともに 、区画整理等により、快適な生活空間を創造する
  • 神立地区
     北の神立地区は工業の拠点とし、職住近接型の地域として整備する

3 交通構想

3−1 現況

 現在、主要な道路としては南北に常磐自動車道・国道6号線が走って いる。そして東西には国道125号線・国道354号線がある。これら の道路は茨城県南部の都市間を結ぶ重要な道路となっている。また主要 地方道土浦境線(土浦学園線)や主要地方道土浦竜ヶ崎線などにより近 隣市町村と結ばれている。現在の土浦市の道路網を図2−8に示す。
 また,首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の計画が具体化され,国道 6号線バイパス(土浦・牛久バイパス)や主要地方道土浦竜ヶ崎線・土 浦江戸崎線が,土浦と圏央道を結ぶ道路として位置付けられている。そ して,国道125号線・国道354号線バイパスの整備などにより,東 西を結ぶ道路整備が進められている。
 市内の幹線となる都市計画道路については,決定延長が約96km,未 整備延長が36kmとなっている。また,筑波鉄道廃線跡を利用した筑波 自転車道の整備を進めている。
 また,駐車場に関しては中心部における駐車スペースの数は比較的多 くあるのだが,それぞれの駐車場の位置がわかりにくい,収容台数が少 ないなどの理由から利用しにくくなっている。
 公共交通に関しては、鉄道ではJR常磐線が走っており荒川沖・土浦 ・神立の3駅を有している。住宅地開発などにより年々乗降客数は増加 している。バス交通に関しては,輸送量が減少しているとともに,本数 が少なくなってきている。


図2−8 土浦市現状道路図

 JICA-STRADAを用いて,1988年現在の土浦市周辺の状況を分析して みると以下のようなことがわかる。とくに特徴のあるものを挙げると以下 の通りである。
  • 交通機関別発生交通量
     自動車:他の交通機関より圧倒的に絶対数が多くなっている
     鉄 道:路線沿線のみ発生量が多くなっている
     バ ス:発生量が他の交通機関にくらべ少ない

  • 交通機関別地域関連性
     自動車:土浦は水戸街道に沿った移動が多い
         つくばは市内の移動が多い
         牛久は放射状に移動が多い
     鉄 道:常磐線沿線と東京方面との移動が圧倒的に多い
     バ ス:土浦に集中している

  • 目的別地域関連性
     通   勤:石岡周辺と土浦および土浦・牛久と東京方面の移動が多い
     勤務=業務:土浦中心部相互が多い・牛久は少ない
     自宅=私事:牛久駅・荒川沖駅・土浦駅周辺とつくばセンター付近に集 まっている
 以上から,交通流動からみた土浦市の状況をまとめると以下のようになる。
  • 土浦市中心部は近隣市町村のなかで中心的な役割をもっている
  • つくば・牛久との関連はあまり強くない
  • つくばは独立しているという感じが見受けられる
  • 牛久は土浦に向かず,東京方面に向かっている
  • 土浦市中心部での業務活動が活発であるといえる。
 また,これ以外にわかったことは以下のようになる。
  • 自動車への依存が高い
  • バスの利用が少ない

3−2 課題

 現況をふまえて,現在土浦市で起こっている問題を挙げる。

 JICA-STRADAを用いて,1988年現在の土浦周辺の状況を分析して みると以下のような問題点がみつかる。とくに特徴のあるものを挙げる と以下の通りである。

道路混雑部分(図2−9)
・土浦市街中心部
・旧国道6号線
・旧国道6号と県道土浦つくば線の交差部(荒川陸橋付近)
・北部の旧国道6号と6号バイパスの交差部(中貫交差点付近)

以上のようにのきなみ土浦市内の主要幹線道路は混雑が起っていること がわかる。

 またこのほかにも現状観察の結果以下のような問題がみられる。
 駐車場に関しては中心部における駐車スペースの数は比較的多くある のだが,それぞれの駐車場の位置がわかりにくい,収容台数が少ないな どの理由から利用しにくくなっており,違法路上駐車などが起こってお り交通混雑等の問題を一層大きくしている。
 また,西口のバスターミナルではバス降車場の混雑が起こっていて, バスターミナルの容量の限界になっている可能性も考えられる。

・土浦駅西口バスターミナルの混雑
・土浦中心市街地のまとまった駐車場の不足


図2−9 JICA-STRADAによる混雑率推計

3−3 基本方針

 現状・課題をふまえて交通に関する基本方針は以下のように定める。

・現在起こっている道路混雑の緩和
・東西を結ぶ道路整備の促進
・首都圏中央連絡自動車道の開通にあわせた道路整備
・土浦駅西口バスターミナル混雑の解消
・鉄道・バスの利便性向上
・土浦中心市街地の駐車場の整備
・霞ヶ浦湖岸自転車道「湖岸ロード」と土浦−つくば自転車道の整備

4 産業別構想

4−1 農林水産業

▼現状

 土浦市の農業は、図2ー10に示すように、農家戸数が年々減少傾向 にある。これは、都市化の進行や農業従事者の減少や後継者不足などの 内部的要因に加えて、農産物の輸入増大、農畜産物の関税化などの外部 的要因によるものもあり、農業を取りまく環境は、さらに厳しさを増す ものと考えられる。


図2−10 農家数の推移

▼構想

 土浦市の農業については、土浦市の有する自然的条件や立地条件など の優位性をいかして、安定した都市近郊型農業への移行を進めていく。 そのために、優良農地の確保や生産基盤の整備を図るとともに、経営の 合理化、後継者の育成などを促進する。さらに、特産物であるれんこん の大型産地としての総合力をいかした広域的な銘柄産地の育成としての トータルブランド産地化や花きなどの銘柄産地化を促進するとともに、 新技術を応用して生産性の向上に努める。また、農村環境の向上と水環 境整備事業と絡めて、霞ヶ浦湖岸整備事業を促進する。
 林業については、山林などの水源を守り育てることや自然環境の保全 のため、造林事業を促進し、森林資源の確保に努める。
 水産業については、霞ヶ浦をはじめとする伝統ある地場産業として育 成するため、漁業施設の整備・合理化を図るとともに、水産資源の保護 増殖に努める。

4−2 商業

▼現状

 県南地域の中心的な商業都市として発展してきた土浦市ではあるが、 車利用による買い物客が増加する一方で、街路幅員や駐車場不足の問題 から、中心市街地では慢性的な交通渋滞が続くなど、多様化する消費者 ニーズにおける商業都市としての魅力はだんだんと低下している。さら に、近隣都市や郊外における商業機能の集積・点在は、都市間競争を激 化させるとともに、市域内や地区間においても競争が発生している。表 2−11をみてもわかるとおり、土浦市の商業圏がだんだんと縮小して きていることからも、土浦市の商業を取りまく環境は厳しくなってきて いるといえる。

表2−11 商業圏の推移(茨城県広域消費者動向調査)


▼構想

 土浦市の中心地区においては、県南地域の中核都市にふさわしい商業 空間を創造し業務機能を充実させるために、中心市街地では、土浦駅東 口前再開発事業を展開していく。それに併せて、土浦駅西口では、大規 模施設の跡地の有効利用を促進し、土浦駅西口前と中心商店街を絡めて 近代事業化を促進し、集客能力の高い中心商業地の確立を図る。
 土浦市の南北の拠点となる荒川沖駅周辺地区や神立駅周辺地区および その他の商業地区については、その地域の生活におけるショッピング拠 点となるようなショッピングタウンを形成する。特に、荒川沖駅前地区 は、西口再開発事業や土地区画整理事業などにより都市基盤の整備を図 り、住宅地内における商業機能の向上に努める。また、神立駅前地区に ついても、東西駅前広場の整備や駅の橋上化などの基盤整備を進め、商 業機能の向上に努める。
 また、表2−12をみてもわかるとおり、卸売業や小売業は、土浦市 の強い産業であり、その分野の発展・拡大を中心に進めていく。

表2−12 卸売業・小売業の推移


  • 中心市街地の整備
       魅力ある都心の形成、県南地域の中核都市にふさわしい商業空間の形成
  • 近隣商店街、周辺商業地の整備
       その地域の生活のためのショッピング拠点(空間)の形成
  • 卸売業・小売業の発展強化
       土浦市の長所である卸売業・小売業の体質強化

4−3 工業

▼現状

 土浦市の工業は、首都圏都市開発区域としての指定を受けてから、そ れまでの商業都市としての性格に加えて、工業都市的性格も併せ持つよ うになった。表2−13を見てもわかるとおり、県平均を上回るほどに 順調に成長している。

表2−13 茨城県と土浦市の工業比較


▼構想

 土浦北工業団地(テクノパーク土浦北)への優良企業の誘致に努める とともに、住工混在を解消するための移転・集団集積化を促進する。さ らに、工業団地および大企業の立地区域については、今後も生産環境の 維持・向上を促進するとともに、周辺住宅地との調和に考慮した環境の 整備・保全を図る。また、既存工場の育成と振興のために経営指導や融 資制度を充実するほか、時代に即応した生産環境の整備を促進する。
 土浦市と千代田町、新治村の3市町村にまたがる地域において、民間 による広域開発計画を誘導し、土浦北工業団地(テクノパーク土浦北) とともに産業ゾーンとしての機能の充実を図る。


[表紙]
[1 序論] [2 基本構想] [3 基本計画] [4 重点整備計画] [5 資料]