提案・評価分析

 ①独自科目 ②PFI ③おおつ野ヒルズ企業誘致政策 ④リバーサイド505計画 ⑤デマンドタクシー
 ⑥ビオパークver2 ⑦市民協同アプリ ⑧CSA(市民支援型農業) ⑨住民間介護相談ネットワーク

①独自科目

目的

 ふるさとを離れた子ども達が「地元に戻りたい」と思う理由の1つとして「地元が好きだから」という思いが挙げられる。土浦の子ども達が地元を好きになるために、まずは土浦のことを知ってもらい、さらには自分自身で土浦の魅力や課題を考えさせることで、土浦に対する思いを深めるきっかけを創成する。

対象地区

土浦全域を対象とし、すべての小学校にて当プロジェクトを実施する。

概要

 4年生〜6年生を対象に3つのプログラムを実施する。
〈4年生プログラム〉
  土浦の歴史や特色を文献やインターネットから調査し、それをフィールドワークや地元の方へのイン
  タビューで確認する事で理解を深める。さらに、調理実習で郷土料理であるツェッペリンカレーを作
  り、学校にて地域のお年寄りに郷土料理をふるまう会を開き、テーブルを囲む中で地元の話を伺う。

〈5年生プログラム〉
  土浦の代表的な産業である農業についての理解を深めるために、1年を通して農業体験を行う。地域
  の農家の方に協力してもらいつつ、春植えのものと秋植えのもの2種類の農作物を栽培する。収穫後
  には農作物を実際に販売する。販売方法は2通りで、直売所にて販売コーナーを設けて販売するもの、
  小学校にて地域の人を招いた販売会を行うものである。直売所での販売では、休日に有志の小学生で
  商品の宣伝をし、販売会では地域の方に食券のような擬似的な通貨を購入してもらい、小学生に実際
  に販売をしてもらう。これらにより、職としての農業をくまなく理解することができる。
〈6年生プログラム〉
  自分のお気に入りの場所や好きな風景といった自分ならではの魅力を発掘し、魅力共有を行う。同じ
  ように、問題点を発掘してもらい、これに対して簡単な解決策を提案してもらう。最後には、魅力と
  提案を土浦市全体で発表するイベントを開催し、行政側にも出席してもらう。改善策は積極的に行政
  に実施してもらい、そうすることで自身がつくったまちという意識、まちへの愛着がうまれる。

費用

<4年生プログラム>
  材料費(1374人分)+調理講師への謝礼
   =497,376円/年
<5年生プログラム>
  農地購入代+農具代
   =2,535,550円(初期費用)
  種購入代+謝礼+固定資産税
   =1,220,507円/年
  農作物販売利益
   =-2,045,850円/年
<6年生プログラム>
  使い捨てカメラ代+市民会館利用料
   =179,976円/年

効果

効果は3つ挙げられる:
 ① 自分の住む街への理解が深まる
 ② コミュニケーション、問題解決、プレゼンの能力が高まる
 ③ 地域愛着の向上
 ⇒鈴木春菜、藤井聡らの研究によると地域愛着は“個人的な嗜好の観点から当該地域を肯定的に評価
  する”「選好」の地域愛着と、“慣れ親しんだものに深く惹かれ、離れがたく感じる”「感情」の地域
  愛着、“地域のあり方そのものに対して願いを抱く”「持続願望」の地域愛着の3つの尺度で表すことが
  できる。4年生、5年生プログラムでは感情の地域愛着を、6年生プログラムでは選好と持続願望の地
  域愛着を高めるものとなっているため、十分な地域愛着の向上が見込める。


②PFI

目的

 土浦市がホームページに掲載している「土浦市公共施設等総合管理計画」によると土浦市の公共施設の改修費は、年平均額で49.8億円と推計されている。土浦市の公共施設の改修・更新費の約50%を学校教育施設が占めている。学校教育施設の改築の目安として全国的平均から42年とされている。土浦市の改築する必要性のある学校教育施設は全体の約半数に上る。そのため、このプロジェクトでは、主に学校教育施設の改修・更新をPFI導入により、小学校・中学校校舎の老朽化に対するコストの削減と、民間事業のノウハウを用いることで、更なる機能を持ち合わせた学校教育施設の建設の可能性について探っていく。

対象地区

土浦全域を対象とし、すべての小学校にて当プロジェクトを実施する。

概要

 今回のプロジェクトで企業が行うPFI事業の具体的な内容は、学校教育施設の校舎や体育館を機能性の高いものに改修し、新規の施設を学校の敷地内に含めることで学校教育施設全体としても機能性の高いものにしていくというものである。
 PFI事業による学校教育施設の改修についての具体的な例を示すために、土浦市の神立小学校を対象としてシミュレーションを行うことにした。改修案として、校舎の教室数の削減による校舎の縮小や屋外プールを校舎や体育館の屋上に設けることで、校庭の大きさを変えることなく新しいスペースを生み出すことが可能となる。そのスペースに先ほど述べた独自科目のプロジェクトで活用する農園、庭園の配置と学童保育と高齢者へのデイサービスを組み合わせた施設を建設することにした。デイサービスを必要としている高齢者に施設を利用してもらい、小学校の放課後の時間などに学童保育を利用する小学生との交流を図る。世代間交流の効果は両世代それぞれに対して良い傾向であることが第一生命の研究によって示されている。また、高齢者には庭園を利用してもらうことで、自然環境とのふれあいによるリハビリテーションなどへの更なる効果の拡大を実現する。学童保育の機能としても民間に委託することで保育時間の拡張や休日保育などを可能とし、小学生や保護者に対するサービスの充実を促進する。費用は民間事業との契約金で決まるため、正確な金額を定めるのは難しいのだが、今回の対象地となっている神立小学校ととても似通った規模のPFI事業が存在した。その事業は埼玉県富士見市にある市立つるせ台小学校で行われた小学校の改修であり、その事業費は約27億円となっている。この具体例で提案した農園と庭園の管理については、小学校の生徒、教師、管理人などの方々に管理してもらうため、維持費はかからない。また、学童保育と高齢者へのデイサービスの複合施設は民間に運営を委託するため、こちらの維持費もかからない計算となる。


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効果

この提案で期待される効果として3つの効果が考えられる。
 ①大幅な事業費の削減
   費用のところで述べたように大幅な事業費の削減である。財政調整基金が枯渇している土浦市に
  とって、支出を抑えることは重要な事項といえる。
   具体例であげたような事業を老朽化が進んでいる各校舎に対して行う。実際に三重県の四日市市で
  校舎の老朽化により、4校という複数校にPFI手法を活用して一括で整備した事例が存在し、その事例
  が23年で約68億円の契約であった。これを土浦市で考えると、整備する必要のある学校が24校であ
  り、四日市市の事例の4校の6倍の校舎数となる。よって四日市市の事例の契約金に6倍すると、
  68*6=408億円となる。また、土浦市の学校教育施設の改修維持費に年平均で25億かかっていること
  から四日市市の事例の契約期間で23年を掛け合わせると25*23=575億円となる。このことから23年
  間で575-408=167億円の削減となる。この金を年平均にすると167/23≒7.3億円/年となり、土浦市
  の財政状況の大きな手助けになるであろう。

 ②複合的な機能を持った学校教育施設の実現
   民間事業のノウハウを用いることで、更なる機能を持ち合わせた学校教育施設の建設が可能となる
  ことである。具体例の部分で示したように、小学生を中心として様々な分野の効用を増加することが
  できる。

 ③地域社会への間接的効果
   機能性の充実した学校教育施設による地域社会への間接的な効果である。例として、具体例で取り
  上げた幼老複合施設では、施設を通じて培われた関係が利用者から家族や地域住民へ影響すること
  や、子供が成長して施設を離れた後にも続いている効果が第一生命による研究によってみられた。


③おおつ野ヒルズ企業誘致政策

目的

 おおつ野ヒルズは土浦協同病院や介護施設、看護専門学校、小クリニックなどの医療施設と住宅地が併設した新複合都市である。そのおおつ野ヒルズに医療系企業を誘致する施策を打つことで、業務・商業施設ゾーンの3つの空き区画の分譲を完了させるとともに、医療の質向上によるメディカルタウン化の進行と土浦市における医療及びリハビリの拠点の創出を目指す。

対象地区

おおつ野ヒルズがある東地区を対象とする。

概要

 おおつ野ヒルズの3つの空き区画に医療系企業の工場、研究所を下記施策により誘致を目指す。誘致する企業としては具体的に、リハビリテーション科の三次元動作解析装置という特殊なカメラを使った最先端技術によるデータを研究や製造に活かしやすいと思われる、リハビリ・介護用品(サポーターやコルセット、義手、義足など)の製造に関わる企業を考えている。
 以下、具体的な施策として金銭面での施策を2つと、本提案のメインとなってくるシステム面での施策について述べていく。
  ① 工場建設費の2割を交付
     企業が工業団地に進出する際に最初に当たる金銭的な壁の一つが工場建設費である。工場建設
    費の2割を交付することにより、企業にとっての工業団地進出への最初の壁を低くする。

  ② 固定資産税相当額を5年間控除
     工業団地で工場を運用していくにあたり、継続的に納めなければならない税金の額は大きい。
    税金のうちの固定資産税を5年間控除することにより、企業が継続的に工業団地に立地し続けやす
    い環境を整える。

  ③ おおつ野メディカルネットワークを構築
     おおつ野メディカルネットワークとは住民(患者)の患者データや、医者・患者の生の声での
    ニーズを協同病院が企業に提供する代わりに、企業は協同病院に研究成果の提供や製品の安価で
    の販売を行うことにより、企業と協同病院の両者にとって利益がある関係を作る契約をするとい
    うものである。企業と協同病院だけでなく市、介護施設、住民(患者)も段階を踏みながら深く
    関わってくることでこのネットワークは完成する。まず初めに土浦市が誘致される企業と契約関
    係を結ぶ合意を協同病院と結ぶ。次に土浦市が住民(患者)に対しおおつ野メディカルネット
    ワークの構築と企業誘致の説明会を行う。協同病院と住民の合意を得た後、土浦市は企業向けの
    説明会や企業・協同病院間のマッチングイベント、そして契約に至るまでの仲介役としてコー
    ディネートを行うことで契約に至るための基盤を作る。おおつ野メディカルネットワーク構築後
    住民(患者)は通院し、その際に患者データ提供の同意をする。企業は協同病院からデータと
    ニーズを受け取ったうえで研究成果や製品を協同病院ないし介護施設に提供する。

 本提案によりおおつ野ヒルズメディカルネットワークを構築した後、将来的には土浦市全域や在宅医療にも結びつけ、さらにはジムや散歩道、銭湯などを誘致・整備することにより土浦市をリハビリに強い地域へと発展させていく。

費用

① 工場建設費補助額
 先行事例の低地部における地区外インフラ整備を除いた場合の1㎡当たりの工事単価を参考に算出した3区画分の建設費は約4億4700万円であり、その内の2割補助額を算出すると約8,900万円と算出される。

② イベントの場所代、茶菓子代及び専門家のアドバイザー費
 説明会、マッチングイベント等のイベントを3回開催すると仮定すると、茨城県県南生涯学習センター小講義室の使用量9,150円と茶菓子代4,500円と算出される。また、1回のイベントを3時間、1時間あたりの謝礼を7,100円と仮定すると、計63,900円と算出される。したがってイベントにかかる費用は計77,550円と算出される。

③ 土浦市役所職員の給料
 土浦市役所職員が3人、年間業務時間のうちの1/6の時間稼働すると仮定し、土浦市役所職員の平均年間給与額を参考にすると計6,248,000円と算出される。

①〜③より合計費用は約9,500万円と算出された。

効果

 考えられる効果としては新たな雇用の創出、補助分を除いた税収と分譲価格による市の財源の確保、おおつ野メディカルネットワーク構築による医療の質の向上の3つが挙げられる。
① 新たな雇用の創出
  他事例の医薬品企業の1工場あたりの平均敷地面積と平均従業員数を参考におおつ野ヒルズの3つの空
 き区画に企業を誘致できた場合に創出される新たな雇用の数を算出した結果1,017人の新たな雇用が創出
 されることが分かった。

② 市の財源確保
  控除される固定資産税と工場ごとの算出が不可能である法人税を除き、都市計画税が5年間で
 約5,700万円、分譲価格が約26億2,800万円と合計約26億8,500万円の上乗せができると算出できた。

③ 医療の質向上
  最新設備による分析データの提供による新製品の開発や研究成果の共有により、医療の質の向上に
 つながり、従来の治療の費用・時間の削減や通院患者の拡大が見込まれる。

評価分析

 企業誘致政策における損益計算書(P/L)を算出すると、収益は上項より26億8,500万円、費用は9,500万円であるため、提案内での収支は25億9,000万円と算出される。また、おおつ野メディカルネットワークにおける費用便益分析を試みたが、主に便益において、金額への換算が困難であったために断念した。総括すると、算出したP/L及び上項で述べた効果を考慮すると、この施策は費用に見合った効果が見込めると考えられる。

④リバーサイド505計画

目的

 中央地区にある中心市街地は土浦市の顔でもある。その中心市街地も一時期は人であふれていて、とてもにぎわった空間であった。しかし、大型ショッピングモールの進出や、高齢化に伴い、その賑わいも喪失してしまった。現在では、駅前はアルカスや市役所があることにより、ある一定の賑わいは保っているものの、市役所が閉まっている休日では閑散とした光景が広がる。そこで、私たちは中心市街地に賑わいを取り戻すべく、比較的近くにあり、シャッター街化してしまっているモール505の土地を活用した計画を提案する。

対象地区

モール505がある中央地区を対象とする。

概要

 今回の計画では、モール505のうち東側に立地しているD棟とE棟を解体する。そして、そこに人が集まるような公園を新たに設置する。公園の計画図は図1の通りである。まず、スポーツ施設として、東側にはバスケットコート、西側にはパットゴルフ施設を設置する。また、西側から元々ある水路を利用して、新たに親水空間を創出する。そして、その池には誰もがくつろげるようなコテージと、アスレチック、デッキを設置する。その隣には芝生空間を置くことにより、家族層をはじめとした多くの人が遊べるような空間を創出する。ほかにも、505管理の事務所や更衣室、シャワー施設も配備することにより、気軽に遊べるようにする。また、今後プレイアトレが駅前にできることからりんりんロード利用者の増加も考えられる。そこで、りんりんロードに向かう際、通る道側のほうには駐輪場とモニュメントを設置することにより、観光客の集客も目指す。また、モニュメントを設置することは、新たな観光スポット(または目印)として観光客のSNSを通して、ほかの観光客の誘致にもつなげることができる。今回の計画では、スポーツ施設やコテージ、シャワー施設に対して利用料を徴収する。10分間で200円徴収する。グループ単位で施設を利用することが考えられるので、200円が妥当かと考えられる。それにより、維持費のいくらかを賄いたいと考えている。また、場合によっては、民間に維持を委託することにより、よりよい施設として、維持できることも考えられる。


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費用

 この計画にかかる費用としては、初期費用として合計1億5500万円、維持費用として4000万円必要となる。具体的な資産については以下の表のようである。

効果

 得られる効果として、いくつか考えられる。
 ① 施設利用料
   4施設(バスケ、パター、コテージ、シャワー)で平日には120分間の利用、休日には450分間の利用
  と仮定した場合、年間合計で6,672,000円の収益が生まれる。これは、維持費の削減に用いるとす
  る。

 ② 周辺商業施設への経済効果
   総務省が公開している経済波及効果計算ツールを利用して計算すると、年間2000万円の波及効果が
  得られると算出された。

 ③ 人の目による防犯効果
   防犯カメラを基準に考え、24時間人がいるわけではないので、防犯カメラの2/3の効果があると考
  えた場合、対象面積と防犯カメラ設置・維持費用から算出した結果、1060万円の効果があると考え
  られる。

 ④ 公園に対する市民の満足度上昇
   先行研究での公園に対する市民の支払意思額を参考にし、土浦市民の5%が利用すると考えた場合、
  合計で1410万円となる。

評価分析

 今回の計画のB/Cは1.07となった。また、ほかにも商店街の集積による地価上昇や観光客の満足度上昇など計算が困難な便益も存在することから、この計画は実施する十分な価値があると考えられる。

⑤デマンドタクシー

目的

 土浦市における交通の現状は、交通分担率において自動車が全体の64 %を占めており、全国平均を上回っている。また、公共交通利用者数も減少傾向にある。このように自動車がないと生活がしにくい環境になってきていると言えるため、交通弱者(学生や高齢者などを含む、車を持たない人)の移動手段の確保が課題となってきている。少子高齢化や人口減少が予測される中でこれらの諸問題の解決が必要とされる。なお、現在土浦市では路線バスでサポートすることが困難な地域に住む高齢者の住民の足を確保すべく、「のりあいタクシー土浦」というデマンドタクシーを運行している。これにより交通空白地域を埋めている。この「のりあいタクシー土浦」の課題としてあげられるのは年会費2,000円に加えて、短い距離の移動にも毎回600円がかかるということが挙げられる。これらの問題を解決するために本提案を行う。

対象地区

本提案は土浦市全体を対象とする。

概要

 今回提案するのはのりあいタクシー土浦に定期制度を導入することである。それに伴って、現在は主に高齢者に利用者を限定しているが、交通の不便な地域(新治地区等)の一般の人も利用できるようにする。また使用者のニーズに合わせて定期のグレードを変える(周辺のスーパー等の買い物施設にいく時にしか利用しない場合は梅券、下図の地区内の移動だけしか使わない場合は竹券、市内すべてを移動できるのが松券)ことによってのりあいタクシー土浦を利用する距離によって金額が変わるため、金銭面での負担の公平性を確保することができる。また定期制度の導入によって毎回運賃を払う手間が省けるため、より利用がしやすくなるのではないかと考えられる。また市内全域を移動できるようになれば通勤や通学に利用することもできるようになると考えられる。なお定期の購入・発券は市役所等の公共施設で行えるものとする。

費用

 定期券発券のためのIDカード印刷機の費用は一つあたり132,800円とする。市役所、土浦市内の各駅(土浦駅、神立駅、荒川沖駅の3駅)の4カ所に設置するとすると、132,800円*4=531,200円

効果

① 収入の増加による補助金の削減
  現在、乗合タクシーの乗客一人当たりの経費は3,575円となっている。週に二回同じ人がこの乗合タク
 シーを利用するとすると、現在の年会費2000円と料金制では2000+600*2(回)*2(往復)=4400円。
 そこで年会費2,000円に加えて梅券4,000円、竹券5,000円、松券6,000円とすると、少なくとも乗客一
 人当たりの負担が6,000円以上となり、採算性が向上する。乗合タクシーの運営者は土浦タクシー協会で
 あるため、市の財政に直接影響を与えることはないが、現在市は多額の補助金をこの乗合タクシーに投
 じているため(年会費はもともと13,000円だが市の助成金で11,000円は補助される)、乗合タクシーの採
 算性の向上に伴い、この補助金を削減できる可能性がある。
② 同乗者(乗客)の時間当たり機会費用
  今回提案する定期の導入によって、通勤時間である1〜3便は満席、タイムセールが行われやすいため
 買い物目的の利用が多くなると考えられる14〜16便は満席(5人)、その他は3人が乗車すると仮定す
 る。(すると利用者は一日あたり66人になる。これは現在の平均的な利用人数44人と比べると1.5倍)
  また乗合タクシーの利用により、目的地までの到達時間が10分間短縮できると仮定する。また乗合タ
 クシーの年間運行日数は土日祝日と年末年始をのぞいた242日とする。
  非業務目的の乗客(通勤、レジャー、あるいは帰省目的のトリップ等): 24.94(円/人・分)
   →24.94*66(人)=1646.04(円/分)
   →1646.04*10(分)*242(日)= 3983416.8(円)

⑥ビオパークver2

目的

 現在環境保護が重要視されている中、霞ヶ浦の水質に対して行われた市民活動の一つが土浦ビオパークであった。かつての霞ヶ浦は漁業が盛んに行われ、湖水浴場なども存在したことから、かつての霞ヶ浦をとりもどす第一歩として土浦ビオパークの再起を提案した。他に新しくできたビオパークを通して、市民が参加しやすいようなシステムの構築を行うことで、水質改善だけを目的としただけでなく、ビオパークの価値創出の増加及び発展の促進を目指していきたい。

対象地区

概要

 土浦ビオパークは1995年に開設されたものの、維持管理費用が不透明であり、さらに高額であったことから2009年に閉設してしまった。しかし、本来のビオパークとは「単純な構造の施設と誰でも容易に管理できることにより、安いコストで永続的に維持運用することができる」ものである。そこで私たちは土浦ビオパークの費用及び便益を算定しなおすことで、霞ヶ浦の水質改善を中心に土浦ビオパークの必要性を導き出す。(一般社団法人 霞ヶ浦市民協会HP「泳げる霞ヶ浦2020市民計画」より)
  ・暮らしのプロジェクト:霞ヶ浦市民の自覚をもち湖水を大切にする気持ちを日常生活で育む
  ・身近な川プロジェクト:身近な川を地域住民にとって親しみのある存在にしていく
  ・水辺交流プロジェクト:子どもから高齢者まで楽しめる霞ヶ浦のエコ・ミュージアム・フィールド
  ・地域経済プロジェクト:環境への負荷を考えた産業・消費,循環的な資源の利用

費用

①初期費用
  1.1万円/㎡×約3700=4070万円
  しかし国庫支出金より全体の半額が支給される

②維持管理費
  びわ湖地球市民の森の例より、約244万円

③各種メンテナンス費用
  びわ湖地球市民の森の例より、約17万円

効果

 便益に関しては2つ考えられる。
 一つ目は、ビオトープ設置による水質汚染物質の除去、つまりは、霞ケ浦の水質浄化である。CODを13%、浮遊物を20%、リンを31%削減することが可能である。先行研究より霞ヶ浦の水質浄化に対する一人当たりのWTP(支払意思額)は400円/月である。そして、霞ケ浦周辺には3000世帯存在する。これらから計算すると水質浄化による便益は、400×12×3000=14,400,000円/年となる。
 二つ目は、環境教育の場の形成である。ビオトープ内にはクレソンのような野菜栽培ができるようになる。よって、それらを通した環境教育及び、野菜の摘み取りなどが可能となる。貨幣価値としてあらわすことはできないが、環境教育がほかの環境問題への改善につながることもできる。

評価分析

 今回のビオトープ設置による費用便益分析20年基準を行うと、2.76となった。つまりは、この施策により、費用以上の便益を得られるといった結果となった。今回の費用便益分析では、貨幣価値化できるものしか入れていない。そのため本来ならば、これ以上の効果が見込めるということである。

⑦市民協同アプリ

目的

 土浦市は茨城県内でも高い犯罪数を示しており、防犯という点から安心できるまちであるとは言い難い。また土浦市は霞ヶ浦をはじめとする水資源が数多く存在するが、それは逆に洪水などの水害に見舞われやすいというデメリットもある。そこで市民恊働によりアプリを用いて防犯対策および防災対策を行ってくことで、行政側だけでは行き届かないきめ細かい部分まで手の届く施策を行う。

対象地区

本提案は土浦市全体を対象とする。

概要

 防犯上問題となる場所(落書き、放置自転車の多い場所 など)を市民が行政側に通報し、それに対して行政側が随時対応していく。報告の仕方としては、カメラで問題箇所を撮影し投稿するという形式を想定している。また報告されたデータをオープンデータとして共有し、問題箇所への対処を市民やNPOに委託し、それに応じて行政側が報酬を支払う形で市民や民間も直接的にまちの問題の解決に取り組めるようにする。  アプリ内で広告を行いアプリ制作および維持の費用に充てる。  本提案に関わる基金として、土浦市協働のまちづくり基金が存在する。これはミント機構から土浦市に対して積み立てられている基金であり、市民協働の事業にしか運用することができないが、現在はあまり使われていないという現状がある。このまま基金が積み立てられたままになると、いずれミント機構に変換しなくてはならなくなるため、本提案もしくは本提案により行われる事業の費用の一部をこの土浦市協働のまちづくり基金から算出する。

費用

「せとまちナビ」を参考にアプリの導入費は1260万円とする。
ランニングコスト170万円/年

効果

・市の業務軽減
  ex)市民自身がゴミ拾いを積極的に行うことで、市の業務が軽減される
・市の調査費用の削減
  ex)街灯が切れていて防犯上問題があるという報告により、市の街灯調査の費用が削減される。
・市民のまちづくりに対する意識の向上

⑧CSA(市民支援型農業)

目的

 土浦市の最大の特徴の一つでもある農業であるが、課題でもあるように衰退傾向にある。土浦市の農地という“しさん”を守るためにも、何かしらの対策を打つ必要がある。全国的に見た場合、新たに農業を始める人、つまりは、新規就農者が増加傾向にある。そこで、そのような新規就農者が土浦で農業を始めたくなるような施策が必要となる。

対象地区

農地が多く存在する北地区を対象とする。

概要

 CSAでは、農家と消費者が直接農作物を売買する。つまりは、一般的にJAや小売業が農家と消費者の間に立って行っているところを、何も介さずに野菜の売買を行うというものである。市は、はじめの一歩としての農家と消費者を結ぶ役割を果たす。そして、その他の交渉や取引などは農家と消費者同士で行ってもらう。
 これによるメリットとして、一つは仲介費用が発生しないということである。つまりは、消費者としてはより安く野菜を手に入れられ、農家としては手取り金の増加につながる。二つ目は、消費者が直接農家に要望や意見を言うことができるということである。それにより、より需要とあった生産を行うことができ、それぞれが満足するような農業を行うことができる。
 実現可能性としては、高木秀影による「日本における地域支援型農業(CSA)普及の可能性」(2013)にあるCSA利用意向に関するアンケートで約70%の人が利用したいと答えていることから実施可能であると考えられる。

費用

 費用としては制度を全国の就農希望者に伝えるPR費(85万円)、CSA希望農家の研修費(100万円)、仲介役としての市役所職員の人件費(315万円(一人当たりの年収の半分))、合計500万円がかかると考えられる。

効果

 効果としては、多面的機能の保全が考えられる。多面的機能というのは、利用されている農地が元々持つ付属効果のことを表している。項目としては、

の8つが存在する。今回は、正しく計算できる土砂災害防止機能、洪水防止機能、土砂浸食防止機能、河川流況安定機能の5つを計算対象とする。また、この施策により毎年5人の新規就農者(内2人は市外から)が増え、5haの耕作放棄地(または耕作放棄地になる農地)が再利用されると仮定する。計算の結果、20年後である2035年における対策の有無による保全額の合計は206,542,637円となる。

⑨住民間介護相談ネットワーク

目的

 土浦市の地域包括ケアシステム「ふれあいネットワーク」は高齢者ができるだけ住み慣れた地域に長い間暮らすことのできるように様々なサービスを充実させるシステムである。このシステムの理念である住民の相互的な助け合いや支えあいに焦点を当てた。既存の高齢者施策の実績を見ると、総合相談支援事業の相談件数1870件・介護相談員派遣事業は3432件・心配事の相談事業は210件と相談窓口へのニーズが高いということが分かった。市民アンケートより相談体制の充実への期待が高いという結果や専門性の高い職員の確保が難しいという現状を踏まえ、住民同士で高齢者福祉に関する身近な問題を解決する方法が有効だと考えた。

対象地区

本提案は土浦市全体を対象とする。

概要

 福祉施設を介して相談者が介護経験者である聞き手を見つけ、介護などに関する相談をできる環境を整えるシステムである。流れとしては、まず相談する人・される人がこのネットワークに加入し、相談者が福祉施設を介して聞き手を見つける。そして二者が連絡を取り合い、交流サロンやカフェ、自宅など任意の場所で直接相談を行うという仕組みである。ゆくゆくは福祉施設の負担を減らし、地域の住民だけで身近な問題を解決しようとするものである。

費用

 費用に関しては、まず相談者一人当たりの料金制度を”介護保険料+1200円”とし、相談者一人当たりの報酬制度を基本給850円毎時間に評価に応じて50~250円加えることとした。その他の支出としては仲介手数料や広告宣伝費が挙げられる。この提案が厚生労働省の推進する地域支援事業に該当すると仮定すると、その中でも包括的支援事業あるいは任意事業にあたる。この場合、事業費に対して19.5%を土浦市が負担することになる。
 最終的に市が負担するのは102万円とする。

効果

①気軽に介護相談をできる環境が整うことで、住民同士で問題解決をするネットワークの形成が見込まれる。

②長い目で見ると福祉施設の負担軽減に結びつき、高度化するニーズへの対応の質を高めることができると考える。

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