地区別構想
北部地区
「水と暮らしを結び、にぎわいを織りなす」
<現状>
北部地区は、ニュータウンであるおおつ野ヒルズにおける土浦協同病院の移転や住宅地開発、企業誘致等によっておおつ野地域を中心に発展している。一方、おおつ野地域は神立駅や土浦駅とのアクセスが悪く、今後さらにおおつ野地域が発展するためにはおおつ野ヒルズから周辺地域へ、周辺地域から病院へのアクセスの向上を目指しおおつ野地域と周辺地域を結ぶ必要があると考えられる。
<提案>
○霞ヶ浦水上ネットワーク
霞ヶ浦沿いの既存の港や船着き場の再整備を行い、おおつ野地域と周辺地域を水上交通ネットワークによって結ぶことでアクセスの向上を目指す。以下に、水上ネットワークが担う機能について説明していく。

・日常的な利用
協同病院南の既存の港をおおつ野港として整備し、土浦駅近くの土浦港との間に既存の船を直行便として通す試験運行を行う。既存のバスでは土浦駅と協同病院間の移動に約30分の時間を要していたが、水上交通を導入することでこの時間を約20分に短縮することができると考えられる。

・観光での利用
水上ネットワークのもう一つの効果として、観光での利用がある。霞ヶ浦ではこれまでも遊覧船による帆引き船の見学などの取り組みがなされているが、現状では霞ヶ浦の上のみで完結してしまっているため、つくば霞ケ浦りんりんロードの休憩所としても用いることができるよう整備した港・広場や中央地区の桜川沿い等の各スポットへもネットワークをつなぎ、水辺からの地域活性化に貢献することを目指す。

・緊急時の利用
水上ネットワークの効果として、地震による建物の倒壊等で道路交通が麻痺した際の代替交通としての役割が挙げられる。実際に、水上交通は関東大震災や阪神淡路大震災の際に機能が麻痺した鉄道・道路交通に代わって救援物資の輸送や避難者の輸送等に用いられ、人命救助や災害からの復興に大きく貢献した。水上交通の運営を通したノウハウの蓄積と霞ヶ浦沿いの広場や病院までの道路の整備によって防災ネットワークとしての役割も果たすことができる。また、将来的には土浦市にとどまらず、筑波メディカルセンター病院やなめがた地域医療センターといった災害拠点病院、霞ヶ浦沿いの陸上自衛隊、笠間市の瓦礫の処分場等の周辺市町村の施設とも連携しながら災害時の広域防災拠点としての役割を担うことを目指す。
以上のような、霞ヶ浦の水上交通の「日常的な交通手段としての利用」、「観光交通としての利用」、「緊急時の代替交通としての利用」によって、北部地区と周辺地域を結び、住民が水に親しみながら安全・快適に暮らせる環境をつくる。