地区別構想:北部地区

現状

 土浦市は県南地域一の製造品出荷額を誇っている。その中で北部地区は、農地・工場・飲食店を中心とした神立駅前商店街が立地する、1次産業・2次産業・3次産業が全て揃った地域といえる。また、神立商工振興会という団体が熱心に活動しており、神立周辺での情報を「食べる」「買う」「暮らす」「働く」という4つのジャンルに分類し冊子・web(冊子と同じ情報の他に商店の食品のレポートをした動画や神立のイメージソングを掲載している)で紹介している。神立商工振興会へのヒアリング調査の結果、最近の傾向として商店や工場だけでなく、農家が個人事業主として入会するようになったという事実が分かった。よって、1次産業・2次産業・3次産業のつながりが強くなっていく可能性が高い地区だと考えられる。
 産業という地域の特色に愛着を持ってもらうことで、「住民を離さない愛着の持てる魅力的なまち」を目指す。
 引地・青木・大渕(2009:107)によれば、「社会的環境は物理的環境に比べて、愛着形成により強い影響を与える」という。そのため、地域に対する愛着を与える効果がより大きい住民交流・イベントにかかわる提案を行う。


提案

つくろう!6次以上産業プラン

 つながる可能性を活かして、各産業間、各産業と住人(地域)との連携関係をつくることで住民が愛着を持てるまちを目指す。まず、住人と各産業のつながりを強化するための具体的な施策の内容と双方における効果を述べる。住民と各産業のつながりを図4に示す。
@農業体験キャンプ
 住人と農家とのつながりを強化することを目的とする。住人側は泊まり込みで農業を体験することで、地域についてより良く知り愛着を持ってもらう。農家側は、指導が容易な作業を手伝ってもらう。それにより、地域に住む人との人間関係の幅を広げることが出来る。
A工場見学ツアー
 住人と工場(企業)とのつながりを強化することを目的とする。各工場で連携し、定期的にツアー形式で工場を見学して回るイベントを実施する。住人側は、工場のラインなどを見学することで日常では知ることが出来ない刺激を得ることで、地域をより良く知り愛着を持ってもらう。工場側は、地域に受け入れられる工場として企業のイメージアップ効果を狙うことが出来る。また、この施策に関しては観光として用いることも可能だと思われる。
B魅力商品開発コンペ
 @Aを通して住人が地域の産業に関心を持ったところで実施することで、住人と商業とのつながりを強化することを目的とする。住人側は、地域のもの(農作物や工業製品)を使って新商品を提案し、商業店舗で商品を形にする。地域の魅力を知り、形にすることで新しい魅力の創出に関わり地域に愛着を持ってもらう。商業店舗では、それらの販売・発信などを行うことで商業の活性化を狙う。
 持続的・長期的なつながりを作るために、各産業間のつながりを強化する必要がある。各産業間で直接取引(農作物〈農業、商店間〉・製品〈工場、商店間〉・原材料、原材料生産依頼〈農家、工場間〉)を行える環境を作ることで、取引にかかるコストを抑え、地区内の産業のつながりを強化できる。市と神立商工振興会が取引のサポートをすることで、これらの提案・各産業にとってのメリットを実現させる。



図4 つくろう!6次以上産業プラン