私たちは本実習の約4ヶ月の間に、地区別懇談会への参加や霞ヶ浦清掃活動、現地調査における土浦市民をはじめとした様々な方々へのヒアリング調査を何度も行う中で、土浦の豊かな自然や独自の文化、人々の暖かさを感じた。そこで、そうした土浦の魅力1つ1つを活かした都市計画マスタープランの提案していく。
私たちは、都市計画マスタープランにおけるコンセプトとして『土浦管弦(オーケ)楽団(ストラ)』を掲げる。
ここで、役割の整理をしておく。
地域を楽器に、行政や住民、観光客など土浦に関わる人々を演奏者に見立てる。
これにより、土浦管弦(オーケ)楽団(ストラ)として、地域を活かし、みんなで1つの音楽をつくりあげる(図2.11)。
土浦市をおおつ野・新治・神立・荒川沖・中心市街地という5つの地区に分け、オーケストラにおける楽器をそれぞれの地区に例える。
① 木管楽器(フルート、クラリネット、サックスなど)
【パートの特徴】
楽器によって異質な音色を持つ。
【地区】おおつ野
【理由】
職・商・住をはじめとした様々な機能を展開していくことのできる、おおつ野ヒルズを中心としてつくられるまちであるため。
② 打楽器(太鼓、木琴、ティンパニーなど)
【パートの特徴】
曲中の重要な場面で出てきて力強さを与える。
【地区】新治
【理由】
常時必要とされているわけではないが土浦市再生のために重要な役割を果たす、観光に力を注いでいくまちであるため。
③ 金管楽器(トランペット、トロンボーン、ホルンなど)
【パートの特徴】
幅広い音域を持った芯のある音質でメリハリをつける。
【地区】荒川沖
【理由】
子どもから高齢者までの幅広い世代層を活かした世代間交流をはかることが可能なまちであるため。
④ 鍵盤楽器(ピアノ、オルガン、チェンバロなど)
【パートの特徴】
音色の強弱や音質により音楽に豊かな表情を与える。
【地区】神立
【理由】
工業と住環境との調和をはかることで、まちの表情を豊かにすることができるまちであるため。
⑤ 弦楽器(バイオリン、ビオラ、チェロなど)
【パートの特徴】
音楽の核となる旋律をつとめる。
【地区】中心市街地
【理由】
盛んに行われる駅前開発や面積第2位を誇る霞ヶ浦の存在などを通して、市の核として今後ますますの成熟が期待されるため。
このようにして構成される『土浦管弦(オーケ)楽団(ストラ)』が、「土浦音楽」をより美しく奏でていけるようにする(図2.12)。
※土浦音楽とは:土浦管弦(オーケ)楽団(ストラ)の楽器【地域】や演奏者【土浦に関わる人々】だからこそ奏でられる音楽
『土浦管弦(オーケ)楽団(ストラ)』が50年、100年にわたって聴き継がれていくような土浦音楽を奏でることで、土浦市が100年後も愛し続けられるまちへ、ということを将来像の目標とする。
将来人口フレームとして、2010年の時点で約144,000人である人口を20年後の2030年の時点で約145,000人に設定する(図2.13、表2.1)。土浦市の魅力を高めていくことにより、現在土浦市に住んでいる人々が土浦市を愛し続けていけることが期待されるため、現状維持を目標とすることが妥当であると考えた。
部門別構想として、住環境・医療・教育・交通・交流・工業・商業・農業について取り上げ、それぞれの目標像を掲げる(図2.14)。
これらの部門別構想における部門の中で、地区別構想では地区ごとに以下の部門に特に重点を置くこととする。
① おおつ野:住環境、医療、教育、交通、交流、農業
② 新治:住環境、交通、交流、農業
③ 荒川沖:住環境、医療、教育、交流
④ 神立:住環境、交流、工業
⑤ 中心市街地:教育、交通、交流、商業
上記で述べてきたことを軸として、地区別構想を進めていく。