1.調査の背景と目的
買い物弱者は主に過疎化や高齢化により買い物に行くことが困難な人のことを言い、近年日本各地で問題となっている。 つくば市茎崎地区は新興住宅地が点在する一方で近くにスーパーなどがないうえ、地域住民の高齢化もあり買い物に行くことが困難となっている人が多かった。 そのため、つくば市は買い物弱者支援活動の一環として 2012 年の 3 月から 3 年間の期限付きで(株)カスミに移動スーパーの実施を委託し、茎崎地区を中心に移動スーパーが開始された。
しかし、カスミによる移動スーパー事業は 2014 年度時点で赤字であり、2014 年の都市計画実習サステイナビリティ班によるカスミへのヒアリング調査によると事業が赤字であってもこの移動スーパー事業を続けていくと回答している。 現在、(株)カスミによる移動スーパーは開始後 3 年が経過したが、スーパーの少ない茎崎、広岡、洞下などの地域で継続されている。また、つくば市内だけでなく、取手市や日立市においても実施されている。
そもそも移動スーパーは、客数が少なく、それぞれの客単価が安いため赤字経営に陥りやすい。一方で、利用している人にとっては好評であり、社会貢献の側面が大きい事業である。
その移動スーパーが2017 年 4 月 15 日より、筑波大学の学生、特に外国人学生の生活の利便性向上のために、一の矢学生宿舎及びグローバルヴィレッジで(株)カスミによる生鮮食品の移動スーパーが開始された。 毎週土曜日、一の矢学生宿舎で 11:00~12:00、グローバルヴィレッジで12:10~13:10 の各 1 時間ずつ実施されている。 本来、買い物弱者の為の移動スーパーが筑波大学内で実施されている事から、「筑波大学周辺は買い物が不便なのではないか」と考えた。
2.ネットスーパーか移動スーパーか
ネットスーパーは取扱商品数が豊富だが、利用できる客数が限られるため、客単価が高くなければ採算が取れない。
また、受け取り時間帯に在宅している必要がある。
対して移動スーパーは取扱商品が限られるが、単価が低くても客数が多ければ採算が取れる。
また、個人のニーズにも合わせやすい。
3.調査フロー