あたし、身体活動ちゃん…いまあなたの後ろにいるの…
〜日常生活に潜む身体活動の影〜
調査
第一次アンケート
調査の目的
市民の運動不足の実感度,運動に対する欲求の実態を知り,市民の求める運動状況を考案するためアンケートを行った.調査対象,調査地点とその選定理由を以下に示す(表1).調査対象者は,調査地点を訪問していたつくば市民,及び周辺地域に住む全ての人々である.
主な質問は,一般情報・運動不足の実感度・運動習慣・移動習慣・運動環境の主に五つの項目について質問した.加えて,運動不足だと感じているか,日頃運動しているか,どのような運動がしたいか,など人々の運動状況と運動欲求に関して調査した.
(第一次アンケート用紙)
表 1 第一次アンケート調査地点とその選定理由
場所 |
日時 |
理由 |
松美公園 |
5/2・5/6 10:00~12:00 |
人が集まりやすいため |
洞峰公園 |
5/10 12:00~15:00 |
同上 |
つくば市役所 |
5/11 10:00~12:00 |
つくば市民が多いため |
カスミ桜店 |
5/5 10:00~12:00 |
同上 |
調査結果
回答者は全部で85人(男性39人,女性46人)であった.回答者の年齢層のうち,20代,30代,40代,50代からほぼ同数の回答を得られた(図3).
図 3.年齢別回答者割合
調査結果の概要は以下4つのようにまとめられる.
① 運動不足を実感している人の割合は,市の調査結果と同様に81%であった.
② 運動をしたいと思っているのにできない理由は以下の様であった(図4).
図 4.運動をしたいのにできない理由
③ 日常生活での運動を心がけている人の割合は61%で,そのうち75%の人が運動不足を実感していた.
④ 移動手段として自転車を採用している人は76%で,そのうち64%の人が運動不足を実感していた.徒歩を採用している人は15%で,そのうち85%の人が運動不足を実感していた(図5).
図 5.日常生活における主な交通手段
第一次アンケートの考察・まとめ
調査結果①から,やはりつくば市民の大多数の人が運動不足を実感している.調査結果②より,運動をしたいと思っているのにも関わらずできない人のほとんどは運動する時間がないせいで運動ができておらず,また運動をするのがおっくうであるから運動をしていない,という人も多い.更に調査結果③・④によると,積極的に階段を利用したり,移動手段として自転車や徒歩を採用したりするなどして,日常生活において体を動かすことを心がけている人もいるが,その中の半数以上の人が運動不足を実感していた.以上のことから,運動不足の原因として以下の3つが挙げられる.
i)運動をするための時間がない.
ii)運動がおっくうである.
iii)日常生活における身体活動(徒歩移動、階段の使用など)を運動として意識していない.
これまでの調査結果から運動不足の原因が上記のi~ iiiであることが分かった.よって,つくば市民の運動不足感の改善に向けて以下のような提案を考えることができる(図6).
まず,約80%のつくば市民が運動不足を実感しており,そして回答者の主観によるその主な原因は上のi~iiiでまとめた通りである.そこで,それぞれの対策として以下の3つを考えた.
1) 「i時間がない」の対策としては,市民にとって馴染みのある,より生活の場に近いところに運動のできる環境を作り上げるということが挙げられる.例えば,自宅やコンビニ・スーパー,あるいは家から徒歩圏内にある小さな公園などのことである.そういった場所で気軽に運動をできる環境が整っていれば,時間がない忙しいつくば市民にも運動を身近なものとして捉えてもらうことが可能であるはずだ.
2) 「ii運動がおっくうである」人には,運動を楽しんでもらう必要がある.そのため,例えば道路に工夫を施したり,景観をより美しいものにしたりして,楽しみながら歩ける道をつくるなどの対策が考えられる.
3) 「iii日常生活における身体活動(階段利用、徒歩移動など)を運動として意識していない」人には,そういった簡単な動きによる身体活動の重要性と有効性について情報を提供すること,更にその具体的な方法について説明することが必要である.
図 6.提案内容の構図
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