定住政策

 「土浦に住んでもらう」フェーズとして、土浦市内の住環境を整えることで、これまで挙げた施策によって土浦市の魅力に気付いた市街の人々が、さらに市内への移住促進へとつながりやすくなるようなアプローチの手法を提案します。

空き家対策 「空き家改装補助制度」

 土浦市は人口規模のかなり近しい他の同規模都市と比較しても、存在する空き家の件数が比較的多いことが知られています。こうした空き家が多く存在しているといった現状は治安や街の安全性といった観点から見て好ましいものではなく、住環境の整備にあたって特に優先的に解決すべき課題の一つです。

 そこで私たちが提案するのが、「空き家改装補助制度」による空き家問題の改善と市外住民の移住促進です。この制度は3つのステップに分けて進められます。


 1つ目のステップは、市が空き家の所在を把握するステップです。

 これは現在土浦市が実施している空き家バンク制度だけでは能動的に空き家対策を進めることができず、放棄され続ける空き家が後を絶たないのではないかという問題意識から、市民参画型の空き家の所在を報告する制度を設け、能動的な空き家対策への一助とするための案です。

 具体的な市民側の報告手段としては、町会施設やコミュニティセンターなどに土浦の詳細地図を設置して施設利用者に書き入れてもらう、SNSを活用した空き家の写真募集などを考えられます。

 また、本ステップの狙いとしてはもう一つ、住民による監視の目をより鋭敏にすることも挙げられます。住民が空き家の報告に取り組む中で、身の回りの建物の様子やその変化に対して敏感になることで空き家発見時に問題となりやすい元所有者の身元や所在が不明になってしまうというリスクを減らしたり、空き家の早期発見を助長したりする狙いがあります。

 一方で、本取り組みは広報や実際の参加者が十分集まるか怪しいといった課題があるため、土浦市内の街歩きイベントや学校教育の一環として町中見学などを実施する際に並行して空き家報告への取り組み・広報を実施するなどして自然な流れで市民参画を促す必要があるでしょう。


 2つ目のステップでは現在の空き家所有者と交渉を行い、市が空き家の管理や買い取りを行います。

 この時、耐震補強の必要やリノベーション工事が物理的・法律的に可能であるかを先に明らかにするためにも市は地元の建設会社や筑波大学と連携して、専門的な知見を踏まえたうえで交渉を進める必要があります。


 3つ目のステップでは、最後が移住希望者に対して改装した空き家を提供します。

 ここではまず、移住希望者の希望に沿った形で市がすべての改装費を代替わりして空き家の改装を実施します。その後、実際に相手が移住し、住み始めてから月々の家賃として改装費やこれまでの空き家の維持管理費、買い取り費用などを回収していくという制度です。

 元の物件の築年数にもよるが、一般的な空き家の改装費用は700万~2000万に及ぶため、月々8万円の家賃(手取り25万円弱の家庭のアパート選択時の目安)としても10年~20年ほどの期間で全額回収することができます。

 また、市が関連費用を全額回収でき次第、その物件の所有権をその移住者に移すことで都市ストックの有効活用と土浦市へのさらなる長期定住を促すことが見込めます。

 空き家の対策として、本制度を実施することのメリットとしては住環境の改善に対する対応の即効性や移住者の負担が少ないこと、市の財政状況に対する出資の妥当性の3点が挙げられます。

 市民の協力の上で空き家の所在を把握し、現在の所有者との交渉を経て、市が空き家を直接管理できるようになるため、既存の空き家バンク事業などと比較してその住環境改善への即効性も高いです。

 移住者側の負担についても事前費用が一切必要なく、多くの契約も専門的知見を有する大学や建設会社と連携した市を介して行われるため、負担もそこまで大きくなりません。


 最後に挙げた市における出資の妥当性に関してはここ10年弱でほとんど利用者が存在しなかった「まちなか住宅転用補助」という補助制度の事業費から、一部を企業連携に伴う人件費にあてられるほか、改装費や空き家管理費についても最終的には負担額が移住者から回収できるため、財政の面から見ても本制度の妥当性は十分であると考えられます。

自転車道整備

土浦市内の
魅力的なスポットを巡る
自転車道を

環境整備

霞ヶ浦や宍塚など
土浦の誇るべき自然環境を
より魅力的に

教育

都心から程よく近く
自然に溢れた土浦を
魅力的な教育の環境へ

定住政策

より住みやすく
より事業を展開しやすく

基本構想

地区別構想

提案

付録