まず、目標として集約された都市像を掲げ、その実現のために4つの重点政策を進めていく。集約後に発生する問題や集約しても残る不便については、ランド・バンク、人材バンクにより対応していき、さらにこの過程の中で、地区別構想で挙げたように現状の問題にも対処できると考えている。(図9)
図9
提案により、町はどう変わるのか。現状の問題はどう解決され、そのような街になり、市民生活にどのようなメリットがあるのか。拠点内と、拠点外に分けて、典型的な住宅地の例を挙げて見ていく。
現状低利用になっている空き地・空き家・駐車場などを、ランド・バンクにより高度利用・道路の拡幅・緑化をしていく。これにより、
・現状の公園の不足
・空き地の多さ
・狭い道路による危険
・犯罪率の高さ
などの問題が緩和される。現在狭い土地に低層の住宅が立ち並んでいる場所が、集合住宅や空地などメリハリのついた利用をされることになり、市街地中心部にふさわしい景観になると考えられる。
現状の市街地
将来の市街地(集合住宅の建設が進み、道路拡張、緑地の増加もみられる)
拠点へ誘導されることにより、人口減少が予測される地域である。空き家化した敷地は、ランド・バンクにより回収し、農地化もしくは適正管理しその場所のライフライン・インフラの整備コストを長期的に減らしていく。短期的には市街地と農地の混在が進むということでもあるので、低密化をポジティブにとらえ、「緑と共存した豊かな住環境」を目指す。
具体的には、市街地内の農地や緑地を適切に管理することで、
・犯罪の増加
・景観の悪化 などの低密化の悪影響を最小限にしていく。
隣地との接合により、より広い敷地がほしいというニーズにも対応できる。
サービスの撤退による不便には、地域で支える移動販売などで代替し、拠点移住へのインセンティブは残しつつ、拠点外に住み続けることを選ぶ人の利便性にも考慮する。
現状の郊外
将来の郊外(空き地を農地・緑地化し、また土地統合により住宅の敷地を広くしている)