2.土浦市の現状

2.1 人口

   土浦市の人口は, 2006年の新治村との合併以後, ほぼ横ばいに約14万3千人前後で推移している. しかし人口ピラミッドは典型的なつぼ型であり, つぼの凸部分が上部にシフトし, 高齢者割合が相対的に高くなってきている傾向がある.

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図2-1 人口推移(左)と年齢別人口割合(右)

  また, コーホート要因法を用いて2040年までの人口を5年毎推計したところ, 今後は人口減少の一途をたどり, 減少割合も逓増すると推計された. 特に約20年後の2030年には人口約128,000人の内, 高齢者割合が約29%にまで高まり, “超超高齢化社会”を迎えることとなる. 更に, その20年の間に生産年齢人口割合も約6%低下し, 生産活動の核が衰退してしまうことも懸念される.

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図2-2 将来人口予測(左)と2030年の年齢別人口割合予測(右)

2.2 交通

  土浦における道路交通の軸は南北に走る国道6号, 常磐自動車道, 東西に走る国道125号, 354号となっている. 国道6号においては市内に慢性的な渋滞箇所が存在している(図2-3). 現在牛久土浦バイパスが建設中であり, 開通により荒川沖駅周辺の渋滞は解消することが期待される. また, 圏央道が全線で開通すれば市内の交通はより円滑になり, 成田空港や埼玉方面への所要時間も大幅に短縮されると考えられる.

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図2-3 土浦市の道路混雑状況

  鉄道はJR常磐線が南北に走り, 市内には荒川沖駅, 土浦駅, 神立駅がある. 近年はつくばエクスプレスの開業に伴い, 土浦駅をはじめとする常磐線の利用者数は減少傾向にある(図2-4). また, 現在秋葉原駅―東京駅間で常磐線からの直通運転を行う東北縦貫線事業が進行中であり, 2013年に完成予定である. これによって, 今後は東京駅や東海道方面へのアクセス向上が期待される.
  路線バスについては利用者の減少やそれによる廃線などが問題となっている. NPO法人が運行するキララちゃんバスや乗り合いタクシーなど新たな取り組みも行われ, 市内交通の活性化を目指している.

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図2-4 土浦駅とつくば駅の利用者数推移

2.3 農林水産業

  市内の土地利用状況をみると, 農地は35%(2009)とその割合は高いが, 38%(2007)と比べると農地から宅地などへの転用が進んでいる. 経営耕地面積は年々減少しおり, 農業産出額は1995年より100億円前後を推移している. 年代別農業就業人口でみると, 65歳以上の割合が高く, 各年代とも減少している.

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図2-5 経営耕地面積と農業産出額の推移

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図2-6 年代別農業就業人口

  また, レンコンの生産量が国内第1位であり, 霞ヶ浦周辺での生産が盛んである. レンコンを使った加工品も多く生産され, 土浦の土産品として販売が促進されている. また, 新治地区においては柿やなしなどの果樹園も多く, 土浦北ICから小町の里までの県道199号はフルーツラインと名付けられるほどである.
  水産業では霞ヶ浦で水揚げされたワカサギなどの佃煮が名産の味として有名であるが, 近年は水質の変化などにより漁獲量は減少している.


2.4 工業

  市内には主要な4つの工業団地 (東筑波新治, テクノパーク土浦北, おおつ野ヒルズ, 神立)があり, 神立を除く3つの工業団地では, 奨励金交付制度を設けることにより新たに企業立地を推進している. 特に土浦おおつ野ヒルズは, 近年植物工場(土浦グリーンハウス)が立地したこともあり土浦市の新しい工業の拠点として注目されている.
  土浦市全体としては,2009年の製造品出荷額等はリーマンショックの影響もあり大幅に減少したものの, 翌年には製造品出荷額等,従業員数ともに増加しており, 土浦市の工業は徐々に回復しているように思われる(図○). 工業の特徴としては, 重化学が全体の約7割を占めており, 特に機械系に関しては工業全体の半数となっている(図2-9).

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図2-7 土浦市の工業団地の分布

表2-1 土浦市の工業団地の概要
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図2-8 製造品出荷額等, 従業者数の推移

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図2-9 土浦市工業内訳(2009)

2.5 商業

  土浦市の商業は全国的な潮流であるモータリゼーションの影響を大きく受けている. 車社会の発達により, 駅前商業施設が衰退し, 郊外の大型ショッピングセンターに多くの客が集まっている. 図2-10を見て分かるように, 大型ショッピングセンターは全商店数のうち3%にもかかわらず, 全売り場面積の42%を占めている. また, 現在事業進行中であるイオンモールつくばが完成すると, さらなる商業の郊外化が進展すると懸念される.

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図2-10 全小売業と大型店の商店数(左)と売り場面積の割合(右)

 また, 土浦市全体の商業も衰退傾向にある. 図2-11のように事業所数も従業員数も毎年減少している. つくば市が成長段階にある中で, 大型商業施設の建設もあり, 商業の中心もつくば市に流れ始めているからだと考えられる.

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図2-11 全小売業と大型店の商店数と売り場面積の割合

2.6 観光

  土浦市の3大イベント(3月~4月の桜まつり, 8月のキララまつり,10月の全国花火大会)に観光客が集中しており, イベント依存型の観光であると言える(図2-12). また, 土浦商工会議所ではカレーのまちとして土浦を盛り上げていこうという動きもあり, 毎年秋にはカレーフェスティバルを実施するなど新たな試みも展開している. 一方, 霞ヶ浦や筑波山といった豊かな自然環境, 中城通りに見られる歴史的な街並みなど, 土浦らしい既存資源を上手く活かしきれていないことや, PR不足が観光面での課題となっている.

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図2-12 月別入込観光客数

2.7 医療・福祉

  医療では, 病院の施設は人口が多く分布している常磐線沿線に偏りがあり, 沿線から遠い新治地区の市民にとっては利便性が高くない. また, 真鍋新町の協同病院がおおつ野地区への移転することで跡地周辺の集約拠点としての機能が低下する.
  福祉では, 高齢者向け福祉施設が68箇所あり, 市内に偏りなく配置されている. 高齢者が多い新治地区においては高齢者同士の交流をもたせる土浦コミュニティカレッジなどの取り組みが行われている.

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図2-13 病院,診療所の分布

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図2-14 福祉施設の分布

2.8 教育

  市内には公私合わせて8つの高校があり, 県内の高校生数では水戸市に次いで県内第2位である. 特徴として, 市外の学生も多く市内の高校に通っているということが挙げられる.

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図2-15 高校生数県内上位3市の高校生数

2.9 防犯・防災

  土浦市の犯罪件数は年々減少しているが, 県内では水戸市, つくば市に次いで県内第3位の多さである. 刑法別件数では空き巣などの窃盗が圧倒的に多くなっている. 犯罪を防ぐために, 情報を提供するメールの配信, 自主組織の設立などの活動を行っている(図?).
  交通事故発生件数は水戸市, つくば市, 日立市に次いで4位であり, 一人当たりの発生件数は県内3位である(図?).
  市内中心部には桜川が流れており, 桜川で洪水が発生すると市の機能が大きく停滞すると考えられ, 浸水想定区域内に立地する企業などは事業継続計画などの対策が必要である(図?).また, 東日本大震災時では各地で液状化の被害が見られたものの, 建物倒壊の被害は目立って見られなかった・

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図2-16 一人当たりの交通事故発生件数

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図2-17 市内の自主防犯活動の様子

2.10 まちの声

  2010年の土浦市民満足度調査より, 施策の満足度・重要度についてまとめる. この調査では現在の施策に対する,満足度・重要度を1から5の5段階評価で示している. 重要度が高く, 満足度が低い項目をみると, 中心市街地のにぎわい対策や公共バス路線などの交通網, バリアフリーの整備が上位に挙げられ, 中心市街地への改善を望む声が高いことが伺える.(図2-18, 表2-2)

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図2-18 施策の満足度・重要

表2-2 市民満足度調査(2010)
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