2-1 ひとづくり

 主な提案
 ・NPOネットワーク
 ・廃食油リサイクルシステム




2-1 1 NPOネットワーク


■概要

 土浦市など霞ヶ浦周辺の市町村のNPO・市民団体が対象。ネットワークの主体は各市町村の自治体であり、これら自治体は各市町村内にあるNPO・市民団体を管理・調査し、業務内容や社会貢献を考えた上で、ネットワークの中に取り入れるか審査する。これらネットワークは各市町村で情報を共有し、相互に協力できる環境を整備していく。



図 霞ヶ浦周辺の、水に関わる活動を行っているNPO団体


■利点


@NPOの広報活動を各自治体を通して、広く行うことができる。
ANPO相互の連携による情報・技術共有などがスムーズに行うことができる。
Bネットワークという大きなコミュニティを生かして、企業・行政のサポートを受けやすくなる。
C各NPO、各市町村の連携が深まることにより、市民の要望に適切に応えることができる。


 @は、今まで1つのNPOとして活動していたものが、市を通して広く世に広報できるといった利点である。
 Aは、市内や市外のNPOと交流をもつことで、より良いNPOの活動につながり、それはさらに、地域へより良い社会貢献として地域に還元することができる。
 Bは、信頼の問題だ。小さな1つのNPOよりも、霞ヶ浦周辺市町村がNPOネットワークとして認可したNPOは、そうでないNPOに比べて、信頼が違う。信頼できる、社会貢献度の高いNPOには、それだけ企業・行政もサポートを厚くする。
 Cは、市が行えない部分をNPOが補っていくという意味でも重要である。例えば、小学校の授業で霞ヶ浦の環境の歴史について、授業がしたいという教員からの依頼が市にあったとする。そこで、行政はNPOネットワークを活かして、霞ヶ浦の歴史に詳しいNPO団体に協力を依頼する。NPOとして、小学生に霞ヶ浦の歴史や現状を伝え、理解してもらうことで、若者の霞ヶ浦への意識を高めるといったひとづくりにつながる。このように、地域の依頼を市が管理し、NPOが解決していくことで、行政として市民への貢献ができ、また、NPOとして活動の目的が達成できるといった利点が存在する。




■コミュニティセンターの活用

 土浦の住民一人ひとりが水を守る意識を持っていくために、市内8箇所の各地区にあるコミュニティセンターを有効的に活用していく方法を考えた。本来のコミュニティセンターの機能は地域の住民が地域活動を行っていくためのものであるが、コミュニティセンターを通じ、市民が、地域で行われている水を守るための活動を知り、主体的に行っていけるようにする。市民だけでなく、行政、NPOといった広い意味でのコミュニティーの場とする。行政やNPOが実際に行っている活動を、より市民に近い形で行い、活動を効率的に行って行くことを目的とした。そのための具体的な提案として、廃食油リサイクルシステムの提案をする。








2-1-2 廃油リサイクルシステム


■背景

 汚染の原因となる生活排水として、家庭で出される廃食油が主要な原因としてあげられている。家庭で出される排水が巡り巡って再び自分たちの飲み水として戻ってくる、ということから、市民は自分達の使う水についてもっと意識して対策をすべきである。
 廃食油による汚染をなくし、市民の霞ヶ浦浄化に対する意識を高める、ことを目的として「廃食油リサイクルシステム」を提案する。


■廃食油リサイクルシステムとは

家庭排水の汚染を防ぐことによる霞ヶ浦の浄化を目的とした、廃食油リサイクル事業団体(NPO団体)を設立する。使用済み廃食油を回収し、せっけん等として再生を行い、再び地域に返していく。
リサイクルシステムの流れは以下のようになっている。


(1)家庭で使う廃食油の回収
  回収には、市内の地区ごとに設置されている8つのコミュニティセンターを利用する。
  シルバー人材を採用し、回収にかかわる人件費削減とともに雇用拡大も期待する。
(2)回収した廃食油からリサイクル製品を再生
  工場を設立(もしくは既存の工場に依頼)し、廃食油からせっけん等を再生する。
  廃食油から再生する石鹸は、生分解性の高く環境に対する負荷が少ないものとする。
(3)リサイクル製品の普及事業
  リサイクル製品を普及していく。石鹸を各自治体へ納めたり、生協へ納品したり、小売を行うなど、広く普及していく。
(4)普及事業を通じた環境学習等による意識向上
  そうした普及システムをより機能的にしていくために、小中学校へ環境授業を行ったり、
  石鹸作りのイベントを開催したりといった、活動の認知、意識向上を目的とした事業を行う。



図 リサイクルシステムの流れ


 廃食油の回収に関する経費、リサイクル製品作り、普及事業などへかかる活動費は、団体の会費や、普及事業による収入から賄う。


■提案に向けて

 このシステムにおいて重要なことは、市民の環境保全に対する意識を高めることにある。
 実際に、各家庭が廃食油の回収に積極的に取り組み、リサイクル製品を使う、という一連の流れを通じて始めてこのシステムは機能するといえる。従って、市民の協力なしには、成果が得られないことになる(現在の霞ヶ浦浄化の改善がされていない理由としてそれが大きいと思われる)

 そこで、市民の協力を活発にし、コミュニティの活性化をはかるため、下図のように、各地区ごとに廃食油を公民館で回収し、地区別の回収率を競わせることを提案する。回収率の高かった地区には、活動への補助金を出すなどの優遇措置をとる。


図 地区別回収率を算出しての活動の誘発



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2008-2009 都市計画マスタープラン策定実習 1班