Toshi_2020_5

考察

アンケート考察

保護者アンケートの結果から、コロナウイルス感染拡大による学校休校により、休校前と比べて休校中の方が学習量・質・意欲の面で低下していることが分かった。
また、学生アンケートの結果からは、多くの学生の勤務先が営業自粛を行っており、それにより収入が減少していることが分かった。 これらの課題への解決策として着目したオンライン家庭教師について、「オンライン家庭教師を行いたい」と回答した大学生は4割弱、「オンライン家庭教師を利用したい」と回答した保護者は3割弱いることが分かった。 このような結果となった一つの要因として、オンライン家庭教師の知名度は低いことが予測され、知名度を上げることで需要は高まると考えられる。 オンライン家庭教師への不安要素では、二つのアンケートから教師と生徒間のコミュニケーションに不安を感じる人が多い。これについて、大学生や保護者の持つイメージの悪さが課題であると考えられる。
一方で、ネットワーク環境に関しては、保護者と学生の両者とも整備されていることが分かった。

ヒアリング考察

3つの企業を対象に行われたヒアリング調査より、受験対策や予習・復習などの利用目的や受講する生徒の学力により、有用性に違いがあることが分かった。
新たなツールを用いての学習指導に関して、コミュニケーションやノウハウ不足による指導効率に課題があり、大手企業ではシステム採用のメリットが低いと考えられる。
また、オンライン方式単体での利用は、生徒のモチベーションなどにおいても課題が残り、通塾と併用しての利用が企業としての実現可能性が高いようだ。
オンライン家庭教師の利用時間帯については、利用者と大学生のマッチング度合いの高い時間帯に可能性を見出せることが分かった。

提言

オンライン家庭教師には、対面での授業とは異なるコミュニケーションの課題や、インターネット端末の利用技術の不足などの課題が存在する。
講師オンライン上でのコミュニケーション能力を向上させる取り組みを行うことが重要である。具体的には、オンライン家庭教師のための講習会の開催、 家庭教師同士のロールプレイングによる生徒・講師両者の考え方の理解といった方法が考えられる。
機器の利用に対する解決策として、使用方法などを記したマニュアルの作成、Axisオンラインの利用などが考えられる。
また、実現する際のもう一つの課題は、料金と教育サービスの質との釣り合いを決定することである。
このバランス決定には、学生に対して提供できるサービスと時給設定との調査、保護者に対して、利用したいサービス水準と利用料金との調査を行うなどより細やかな調査が必要である。
このように釣り合いを決定したのちに、オンライン家庭教師の体験受講などを行い、評価してもらうことで、今後の実現が可能になると考えられる。