NO MORE 24時間営業

企業目線

 企業目線では、目的1-1「政府介入の是非の検討」を行った。
 タクシーの国内事例から規制緩和によって収益基盤の悪化や事故率の増加を誘発してしまうことが分かった。
 また、海外事例として韓国とヨーロッパを取り上げた。韓国では、最低賃金の上昇やワークライフバランスの向上により、店舗側の支出が増えたことで、深夜に直前3か月赤字の店は契約期間中でも深夜営業停止が可能となった。また、ヨーロッパでは、宗教的理由・労働者保護・小規模小売店舗の保護の観点から日曜・24時間営業があまり行われていなかった。しかし、2000年代に規制緩和を求める声が生じたため規制緩和を行ったが、雇用促進効果や売上の増加は見込めず、結果的に規制緩和に否定的な声があがった。
 これらの事例から、そこに社会的ジレンマ構造があれば政府の介入は「是」であると考える。

店舗目線

 店舗目線では、目的1-3「夜間の営業停止が昼間の売り上げに営業するかどうか」を明らかにした。コンビニエンスストア9店舗の店長・オーナーへのヒアリングの結果、深夜営業を中止したい一方で、売上の減少や深夜時に行っていた作業への影響を懸念していることが明らかになった。これらの理由により、コンビニエンスストアは深夜営業停止まで踏み切れないのではないかと考える。
 また、目的1-4「地域特性別にコンビニの深夜利用の差を明らかにする」では、 店舗を学生街エリア・住宅街エリア・高齢化エリア・主要道路沿いの4つに分類しアンケート調査を行った。調査の結果、学生街エリア店舗は深夜の学生利用があるが、深夜時間帯の人手不足で店長にかかる負担が大きいことが明らかとなった。一方、住宅街エリア店舗においては住民の深夜利用がほぼない。
 高齢化エリアも同様に深夜の利用が極めて少なく、深夜営業停止は昼間の売り上げに影響しないと考えている傾向にあった。しかしながら、全体の売上を減らすことを危惧し、深夜帯は利益よりコストの方が大きいのにもかかわらず深夜営業中止には乗り気ではないことが明らかとなった。また同様に主要道沿いの店舗も深夜・ 早朝の利用者(トラック運転手等)を考慮して深夜営業の中止に意欲的でない傾向にある。 これかから、コンビニエンスストアの深夜営業に対する考え方は地域特性によって大きく異なることが明らかとなった。また、同エリア内で異なることもあった。

利用者目線

 利用者目線では、目的1-6「利用者の属性(学生と高齢者)によるコンビニ利用時間帯の差を調査」をアンケートを用いて行った。
 アンケートの分析結果から、24時間営業のコンビニが周辺住環境にもたらす影響について、「防犯面の利益」「移動距離短 縮の便益」を感じる人ほどコンビニは周辺環境に良い影響があると考え、「ごみ等による臭気」「コンビニによる 周辺住宅街のイメージ悪化」を感じる人ほどコンビニは周辺環境に悪い影響があると考えていることが明らかとなった。
 また、学生は 高齢者よりも、社会全体にとってコンビニは周辺環境に 悪い影響があると考えていることも分かった。そして、高齢者は学生に比べて深夜にコンビニを利用しないという結果も得られた。