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ヒアリング調査

新商業施設ヒアリング1(施設部)

 新商業施設建設の経緯や周辺環境整備の予定について施設部及び事業開発推進室の担当者へ聞き取り調査を行った。

 新商業施設設置の経緯について尋ねたところ、「学生と学長の懇談会で学生から提案があり、学生の利便性向上のため設置が決まった。 大学は土地をリースしているのみで、運営は民間業者が行うPFIで設置している」とのことだった。

 新商業施設の需要予測について尋ねたところ、「運営業者が行うが、施設部としては学生中心で一部教職員が利用すると考えている」とのことだった

 新商業施設周辺環境の整備について尋ねたところ、「施設設置に伴う道路等の改修予定はない。 店舗付近は歩行者道路と車道が交差するので事故が心配である」とのことだった。

 本ヒアリング調査により、新商業施設の経緯や予想客層についての情報を得ることができた一方、運営については民間業者に委託しており十分な情報を得ることができなかった。施設詳細は事業者にもヒアリングを検討する必要があると考える。 また、周辺環境については商業施設設置に伴う整備の予定は現時点でないことが判明した。

新商業施設ヒアリング2(事業者)

 新商業施設の営業形態や客層、施設整備の方針について事業者(鹿島リース株式会社様、株式会社カスミ様、株式会社サザコーヒー様)にヒアリング調査を行った。

 出店の経緯について鹿島リースに尋ねたところ、 「大学のPFI事例が今後増えると予想し、地元企業に声をかけて参加を決定した」とのことだった。

 客層・営業形態・品揃えについて尋ねたところ、「学生のための施設と考えている。学生の需要大きい商品を中心にする予定(カスミ)」 「学生、教職員中心と予想。勉強や会議での利用やイベント時出張販売も予定(サザ)」とのことだった。

 営業時間についてカスミ様に尋ねたところ 「平日は8時~21時で検討中。開店後の様子を見て柔軟に変更。長期休業中は短縮営業を考えている。」とのことだった。

 駐輪場について尋ねたところ、「自転車での来店を多く見込み、広めに整備している。マナーについては学生の意識に期待する」とのことだった。

本ヒアリング調査により、営業時間や品揃えなどについて、施設部へのヒアリングよりも詳細な情報を得ることができた。

超小型モビリティに関するヒアリング

 自転車から考えられる不便な点を解消する可能性がある交通手段としての超小型モビリティを考察するために、トヨタ自動車と共同で超小型モビリティについて研究されている仲村様に超小型モビリティに関するヒアリングを行った。

 超小型モビリティのメリット・デメリットについて尋ねたところ、「メリットとしては、1人のトリップに効率的・ 小型なので数kmの移動に適している・ネットワークができれば乗り捨てがしやすいという点が挙げられる。デメリットとしては、3人以上乗車できない ・車内の快適性は考慮されていない・人の流れの偏在性に対応しにくいという点が挙げられる」とのことだった。

 筑波大学での導入計画について尋ねたところ、導入予定はトヨタの「コムス」という車種であり、使いどころを手探りしている段階である。 3F棟と医学エリア間での運用を検討しているが、新商業施設・新アリーナ・つくばセンターで用いる話も出ている」とのことだった。

需要予測

概要

 カスミ筑波大学店の来客者数を予測するため、アンケート調査とともに、以下の修正ハフモデルを用いて需要予測を行った。

 ハフモデルを用いて計算するためには、居住地と店舗を絞り込む必要がある。本調査では、居住地は平成24年度学生生活実態調査[学群]から、学生居住者が25人以上の天久保・春日・桜・柴崎・吾妻の5地区の各町丁目と一の矢学生宿舎のある天王台2の全17町丁目を対象とした。 店舗については、カスミ筑波大学店建設予定地から半径2.5km圏内にあるスーパー(一部コンビニ含む)12店舗と「カスミ 筑波大学店」の計13店舗を対象とした

 この内ローソンストア100と一の矢ヤマザキショップはコンビニエンスストアの類型であるが、前者は生鮮食品を取り扱う点、後者は近辺に商業施設が無く宿舎生の利用率が高い点を鑑みて対象としている。一方、圏内にはコストコが存在するが、会員制のため今回は分析対象外とした。

結果

 修正ハフモデルを用いてカスミ開店後の学生の店舗選択を予測した結果が上である。

 居住者の多い天久保周辺に建設されるカスミ筑波大学店の需要が大きく、全体の2番目に位置する予想が得られた。

アンケート調査

アンケートによる調査は中間アンケート(プレアンケート)と最終アンケート(本アンケート)の2種類を行った。

プレアンケート

 プレアンケートは、都市計画実習受講者と担当教員である鈴木勉先生の研究室の方々合わせて38人が回答した。このアンケートでは、学生の買い物の場所や交通手段や新商業施設への利用希望について質問した。

 自転車利用で不便な点を質問したところ、「不便な点はない」は2件に留まり、「天気に左右される(20)」「路面が悪い(12)」「重い荷物を運ぶことができない(11)」など、自転車特性に起因する不満点がみられた。

 また、新カスミの利用意向についてについて質問したところ、回答者のうち73.7%の人が新カスミを利用予定と回答した。特に現住所が天久保・春日の学生は19人中18人が利用予定と回答しており、近隣から多くの集客が予想される。利用意向のある25名に新カスミまでの交通手段も聞いたところ、78.6%の人が自転車で利用したいと答えた。

 以上より、カスミ筑波大学店やその周辺では、自転車が多く集まることを想定し、対策を立てる必要があると考えられる。

本アンケート

 中間の結果を受け、引き続きさらに調査するためにアンケートをとった。

 目的は学生の新商業施設の利用意向、交通手段、自転車以外のモビリティの可能性、交通の現状を調べるためである。

 商業施設を利用しようと思うか質問したところ「そう思う」「ややそう思う」が全体の51%であり、新商業施設の需要が一定程度あると改めて示された。

 利用意向があると回答した人を対象に利用を予定している時間帯を1時間単位で質問した。結果を図3に示す。6限の終わる18時以降の回答が多く、夜時間帯の買い物客が多く予想される。また、閉店時間として検討されている21時以降の回答も2割ほどあり、遅い時間の買い物予定を持つ人も多いことが判明した。

購入品目についても同様に調査を行った。スーパーマーケット統計調査[3]で用いられる分類を参考に品目をカテゴリー化し、それぞれの購入意向を複数回答で聞いたところ、生鮮食品が最多、店舗側が想定している弁当類は中程度の需要であった

超小型モビリティ[6][7]については速度、積載量、定員、利用は有料であること(豊田市Ha:mo RIDE[8]を例示)など基本的な情報を伝えた上、利用意向とその理由を質問した。 利用意向を示した回答は19%に留まり、半数近くが否定的な回答であった。

 利用しないと答えた理由を聞いたところ、料金やステーションまでの手間から利用しないと考える回答が多く見られた。 この設問では「どちらともいえない」が全体の約3割と他の質問よりも高かった。超小型モビリティはまだ普及しておらず、今回の説明では利用意向を判断するための情報が不足していたためと考えられる。

 建設予定地周辺での事故・ヒヤリハット経験を尋ねたところ、地図に以下のように示された。

ヒヤリハットの発生地点

事故の発生地点

交通様態調査

概要

 カスミ筑波大学店の来客者数を予測するため、アンケート調査とともに、以下の修正ハフモデルを用いて需要予測を行った。

 建設地周辺の現在の交通状況を把握するため、交通量調査を行った。 アンケートで来店意向が最も高く、6限終了直後にあたる平日18~19時の1時間、 ペデストリアンデッキとループ・ペデストリアンデッキと市道のそれぞれ交差点の通行量・一時停止の有無について調べた。調査地点を下に示す。

結果

 いずれの交通量も多い上、ペデとループの交差点では一時停止せずそのまま通過する自転車が多く見られた。

超小型モビリティ試乗による検証

概要



 買い物時の超小型モビリティの利用可能性について検証するため、実際に試乗しての検証を行った。

 今回はつくば市所有のCOMS(トヨタ車体)という車両を研究目的で借用し、学内から新商業施設予定地や周辺店舗への移動に使用した。

結果

 結果は上のようになった

 また、乗車した班員から、「加速性能がよく、車の流れに乗りやすい」 「時間や労力の手間が断然かからない。雨でも濡れない」 「大きな荷物も載せられる」 「ドアがファスナーで乗り降りが不便」 「道路の凸凹による振動を大きく感じる」 といった声があった。