• あたし、身体活動ちゃん…いまあなたの後ろにいるの…〜日常生活に潜む身体活動の影〜
  • 生活環境班



あたし、身体活動ちゃん… いまあなたの 後ろにいるの…
〜日常生活に潜む身体活動の影〜

調査

第二次アンケート

調査の目的

 第一次アンケートで市民の運動不足の実感度・運動に対する欲求の実態を調査した.そこで運動不足を実感している市民は約8割,その主な理由はi)運動をする時間がないからii)運動がおっくうであるからiii)日常生活における身体活動を運動として意識していないから,の3つであるという結果を得た.

 またヒアリング結果より,日本人ひいてはつくば市民は運動意識が低く,運動効果に関する情報が提供される場も少ないということがわかった.そのため,運動の重要性の情報提供や,身近な身体活動を運動として認識してもらうことで,運動不足の実感を解消してもらうことができるのではないかという仮説をたてた.

 第一次アンケートで得た3つの運動不足の理由について,市民の欲求とライフスタイルについて,身体活動に対する意識と運動の動機について掘り下げて調査をし,仮説を検証することを目的として第二次アンケート (第二次アンケート用紙)を行った.主な質問項目は一般情報,スポーツ習慣,意識,ライフスタイル,運動欲求,運動の動機,運動環境・施設の7項目である.加えて,日常生活における身体活動を運動として意識してもらうための意識改善のポスターを掲示し,意識の改善の可否について調査した.調査対象は20代から60代のすべてのつくば市民,または周辺地域に住む人である(表2).

場所 日時 理由
松美公園 5/26 16時~18時 運動意識を持つ人が多いため
洞峰公園 5/27 13時~15時 同上
支援室 5/29~6/2 対象年齢の市民が多いため/font>
カスミ桜店 5/28 10時~12時

5/29 13時~15時
同上
表 2 第二次アンケート調査場所・日時と選定理由

調査の結果

回答者は全部で116人(男性34人,女性82人)であった(図7).20代,30代,40代からほぼ同数の回答を得て,その他の年代からは全体の内約25%の回答を得た(図8).

図 7.男女割合


図 8.年代割合


調査結果の概要は以下のようにまとめられる.

① 運動習慣

図 9.現在の運動習慣

日頃スポーツをしている市民は4割しかおらず,その4割の人が主に行っているスポーツはウォーキング、ランニング、サイクリングなどである(図9)また,球技をしている人以外は運動をしていても不十分だと感じている(図10).

図 10.日頃スポーツをしている人の運動に対する充足

運動頻度について調べたところ,以下のグラフで示す結果になった(図11,図12).図11は1回の運動にかける時間と週に何回行っているのかを表しており,図12は理想のスポーツの頻度について表したものである.以下の結果から,市民はスポーツの頻度は十分ではないと思っており,長時間の運動よりも高い頻度で行う運動を理想としていることが分かった.

図 11.日頃スポーツをしている人の運動の頻度              図 12.理想の運動頻度 

② 運動欲求

市の調査,第1次アンケートの結果と同様,運動不足を感じるつくば市民は7割〜8割で, 運動不足を感じる原因の第1位は時間がないこと,第2位は運動がおっくうであることであった(図13).

図 13.運動不足を感じる原因

市民が求める理想のスポーツはウォーキングやランニング等,あるいは水泳,ダンス,ヨガ,筋トレ等である(図14).

図 14.やりたいスポーツの種類

③ まとまった時間でするスポーツ,少しの時間で気づいたときにできる運動の両方を求める市民が72%であった(図15).

図 15.どのように運動をしたいか

運動がおっくうである人のうち約9割が少しの時間でできる運動をしたいと答えた(図16,図17).

図 16.運動がおっくうである人と運動がおっくうでない人の比較①

図 17.運動がおっくうである人と運動がおっくうでない人の比較②

④ ライフスタイル

自由な時間をつくるとしたら夜であると答えた人が55%であり,自由な時間を全く作れないと答えた人はほとんどいなかった(図18).

図 18.自由な時間を作れる時間帯

54%の人が毎週2〜4回スーパーで買い物をしており,1回の買い物時間は20分以上であった(図19).

図 19.スーパーでの買い物の頻度

⑤ 身体活動に関する意識調査項目結果によると,歩行や階段の利用が健康や体力増進に繋がると回答した人が半数を越えた(図20)

図 20.身体活動に関する認識

「10分程度の歩行を1日に数回行う程度でも健康効果が期待できる」と思う人が8割を超えている.この結果により「歩行は健康にいい影響がある」という意識が高いということがわかる.また「階段を利用することで筋力が鍛えられ、心肺機能もよくなる」と思う人は8割以上である.よって「階段の利用によって体力と健康が維持できる」という意識が高い一方で,「歩くだけで十分なカロリー消費が期待できる」と思う人は半分に過ぎなかった.

⑥ 周りの環境で身体活動が十分に推進されていると思っている人の割合はわずか20%ほどであった(図21).

図 21.周りの環境で身体活動が十分に推進されていると思うか

⑦ 80%以上の人が健康維持のために運動をする,またはしたいと回答した(図22).

図 22.運動の動機

⑧ 作成したポスターをみて身体活動を心がけたいと考えた人は6割であり,有効性を感じられたと答えた人は6割であり実施したいと答えた人は5割であった(図23).

図 23.ポスターに対する反応

買い物をする頻度が高い人ほど,ポスターによる意識改善志向があった(図24,図25).

                図 24.ポスターに対する反応(週1)          図 25.ポスターに対する反応(週2~4)

第二次アンケートの考察・まとめ

 第二次アンケートでも市民の内約7割の人が運動不足を感じているという結果が出た.さらに,市民は歩行や階段の利用などといった日常生活における身体活動の有効性や重要性を十分に認識しているということが読み取れたため, 第一次アンケートで得たiii)の結果は誤りであることが判明した.第一次アンケートの時点では,歩行や自転車・階段を利用しているが運動不足を実感しているという人が多かったことからiii)の結論に至った.しかし,そのような人々は身体活動を効果的な運動として認識しており(図20),それ以上の運動を求めているから運動不足と感じているのである.またi)とii)について詳細に分析した結果,時間がないから運動をするのがおっくうである,あるいは運動がおっくうである理由は時間がないから,という市民がいることがわかった(図26,図27).つまり,i)とii)の両者は表裏一体の関係にあるとも考えられる.更にヒアリング調査と結果⑥から,市民は周りの環境で身体活動は推進されていないと感じていることが分かった.つまり,現状でなされている身体活動の促進運動は不十分であり,それらを周知させていく必要がある.

   図26.運動がおっくうである理由                  図 27.運動が十分にできていない理由

 以上からすべての調査結果をまとめると,市民の約8割が運動不足を実感しており,身体活動に対する意識が低く,身体活動に関して無知であるという現状がある.その原因は,①時間がないから,②運動がおっくうだから,③身体活動が十分に推進されていないから,の3つである.また市民には隙間時間で運動したい,健康の維持のために運動したいという欲求と,歩くことによる健康の効果が期待できるという意識がある.

   

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