つくば駅周辺の駐輪場利用者の行動、優先項目等を把握するため次のようなアンケートを実施した。
(1)調査概要・目的
つくば駅周辺の駐輪場利用者を対象とするために現地アンケートを行い、つくば駅周辺の住民を対象とするために住宅アンケート・学生アンケートを行った。各方角に対して平等に調査するために、つくば駅の東、西、南方面の住民に対しては住宅アンケートとして行い、つくば駅の北方面は学生の住民が多いため、学生アンケートとして行った。
アンケート内容・目的は以下のとおり
1.駐輪場利用者がどこから来てどこへ向かうのかを把握することで、駅周辺における導線図の導出
2.駐輪場に対して望まれることを把握し、具体案につなげる
3.駐輪場選択の基準を把握することで、需要およびそれにあわせた駐輪場の設定を考察する
4.なぜ違法駐輪をしてしまうか、という根本的問題を現地の人の声から理解する
5.駐輪場がどの程度知られているかを知ることで、駐輪場の増設や料金設定以外での駐輪場利用の促進および違法駐輪の減少の手段を考える。
6.利用者が望む料金と距離との関係から、需要およびそれにあわせた駐輪場の設定を考察する
これらから、実態・実情を把握する。
(2)調査期間
・ 現地アンケート(5/31, 6/2, 6/9)
・ 住宅アンケート(6/2 〜 6/12)
・ 学生アンケート(6/5 〜 6/12)
(3)調査方法・形式
・ 現地アンケート 街頭アンケートにより回答を得た
・ 住宅アンケート 対象の住宅にアンケートのポスト投函を行って回収箱を設置、後日回収をした
・ 学生アンケート 調査員の知人・友人らに対して手渡しによるアンケートを行い、回答を得た
(4)調査内容
・ 現地アンケート
駐輪場利用時の行動、駐輪場に対する不満、駐輪場選択時の優先事項
違法駐輪の経験と理由
・ 住宅アンケート・学生アンケート
駐輪場利用時の行動、駐輪場に対する不満、駐輪場選択時の優先事項
駐輪場の認知状況、駐輪場利用シミュレーション、違法駐輪抑止のための政策評価
(5)サンプル数
・ 現地アンケート 配布数283枚(回収率61%)
・ 住宅アンケート 配布数763枚(回収率9%)
・ 学生アンケート 配布数168枚(回収率77%)
(1)住所→駐輪場
実態調査1の結果から、交差点を越えての駐輪場利用が少ないという仮設を立てた。
そこで、アンケート結果からわかった出発地を8方面に分類し、各駐輪場にはどの方面からの利用があるのかを分析した。
また、定期駐輪場、施設駐輪場については市との契約など距離以外の要素が駐輪場の選択に大きく影響するので一時利用駐輪場のみを対象駐輪場とする。
・ 8方面を東西と南北に走る道路で4つに分ける。この4分割にした各エリアの駐輪場利用者がその方向から来る割合(例えば1、2のエリアにある駐輪場を使う利用者が1、2の方向からくる割合)は46%である。(図21)
・ 同じように東西に走る中央通りを境に南北にエリアを分ける。(図22)
・ そして同様に各エリアの駐輪場利用者がその方向から来る割合(例えば1、2、7、8のエリアにある駐輪場を使う利用者が1、2、7、8の方向からくる割合)は70%ほどである。
(2)駐輪場→目的地
・ 市営駐輪場からは駅に向かう人が多い。
・ 調査した全体では10%、市営駐輪場では18%の利用者が自分の目的地に対して非効率な利用をしている。(非効率な利用とは、もっと安く駐輪出来るのに料金の高い駐輪場を選んだり、もっと近くに駐輪出来るのに遠い駐輪場を選択していることを指す。)
・ 施設駐輪場利用の23%が違法駐輪(キュート→つくば駅、センタービル→つくば駅、西武→バスターミナルなど、施設の駐輪場を利用して駅やその他の場所に向かう目的外駐輪。大半がつくば駅利用者)である。
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アンケートの中で違法駐輪をした経験があると答えた人に、違法駐輪をした理由を質問した。また、違法駐輪の経験の有る人と無い人では、駐輪場に対して不満に感じている点にはどのような違いがあるのかを分析した。
違法駐輪をした理由としては「駐輪場が空いていない(27.8%)」、「駐輪場の料金が高い(20.0%)」「駐輪場が目的地から遠い(17.8%)」、「駐輪場は手間がかかる(15.6%)」というものが多かった(図4)。また違法駐輪をする人は、しない人に比べて特に距離と料金を不満に感じていることがわかった。
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つくば駅周辺で違法駐輪が発生する原因は「駅から近い駐輪場の許容台数が不足している」ということと「料金設定が高い。もしくは無料駐輪場が少ない」という、二つの理由が考えられる。このことから、今後駐輪場の増設は不可欠であるが、同時に現在の駐輪場の配置と料金との関係も見直す必要があると考えられる。 |
駐輪場利用者が求める適切な料金と距離の関係を知るために、目的地からの距離別に料金を3パターンに設定して、利用したいと思う駐輪場を選択してもらった。
・ 駐輪場の位置は、つくば駅より徒歩「30秒」、「1分」、「2分」、「4分」の4種類に設定した。これは現在のつくば駅周辺の駐輪場の代表的な位置を参考にして決定したものである。
・ 料金設定は、以下の表の通りの3パターンに設定した。こちらも同様に現在のつくば駅周辺の駐輪場の料金を基準にして、全体的な料金設定を高・中・低の3段階に分け、距離別に差をつけたものである。
| 30秒 | 1分 | 2分 | 4分 | |
| パターン1(高) | 300円 | 200円 | 100円 | 無料 |
| パターン2(中) | 200円 | 150円 | 100円 | 無料 |
| パターン3(低) | 150円 | 100円 | 50円 | 無料 |
これら各パターンの料金設定と駐輪場位置の組み合わせから、利用しようと思う駐輪場を選択してもらう形式でシミュレーションを行った。
この分析結果から、料金設定の引き下げにより徒歩1分以内の駐輪場利用者数が増加し、徒歩2分以上の駐輪場利用者数が減少した。そして有料駐輪場全体の利用者数が増加した。
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"徒歩1〜2分圏内"と"料金設定100円〜50円"の間に「距離と支払い意志額の均衡点がある」ということがわかる。つまり「距離と料金のどちらを優先させるか」はこの均衡点が境になると考えられる。 |
撤去リスク(撤去頻度・返還手数料)を変化させることで、違法駐輪台数がどれくらい変化するか、どの程度の影響を与えるかを知るために、撤去リスクの大きさ別にどの駐輪場を利用するか、シミュレーションを行った。
撤去リスク0(撤去を行わない)に対して、それぞれ条件の異なる撤去リスクを与えたときに、どの程度、違法駐輪台数が減少するかにより、各効果の重要性や、現行の撤去リスクを評価する。
【分析結果】
(1)現行の撤去リスク(撤去頻度月2回 返還手数料1000円)
このリスクにより、違法駐輪は57%減少する。しかし、1.1研究背景・目的 で記述したように、このリスク強度では、駐輪場を利用するよりも違法駐輪のメリットが大きいという歪んだ状態であり、駐輪場環境の整備が、違法駐輪の減少に効果を持つことを示しているに過ぎない。
(2)返還手数料の増加による撤去リスク(撤去頻度月2回 返還手数料3000円)
このリスクは、68%減少の効果を持つ。この条件では (月2回*手数料3000円)=6000円 から、違法駐輪のメリットは、駐輪場利用よりも低くなっている。
(3)撤去頻度の増加による撤去リスク(撤去頻度週1回 返還手数料1000円)
このリスクは、71%減少の効果を持つ。この条件はAと異なり(月4回*手数料1000円)=4000円 であり、毎日一時利用の駐輪場を使うよりもメリットが大きい計算になる。しかし、Aよりも違法駐輪に与える効果は高いことから、撤去頻度は数値的なリスク以上に大きい影響を与えると考えられる。
しかし、一方で撤去頻度の増加は、撤去費用およびその人件費の増加も併せて発生させる。
(4)撤去頻度・返還手数料の増加による撤去リスク(撤去頻度週1回 返還手数料3000円)
このリスクは、78%減少というシミュレーション中最大の効果を持つ。この条件はAも大きく上回る (月4回*手数料3000円)=12000円というリスクがあり、違法駐輪のメリットは完全にない。
ただし、3.と同様に撤去費用や人件費の増加は避けられない。
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撤去リスクをあげることは違法駐輪の抑制に有効である。これに加えて料金設定等の見直し等を行えば、さらに違法駐輪台数を減らせると予想できる。 |
全体的に見てみると、「料金」と「目的地からの近さ」を優先する人の割合が高かった。
また、学生のサンプルと住宅向けのサンプルとを分けて優先事項を検証してみると、学生は料金を、学生以外はより近さを重視する傾向にあることがわかった。
駅周辺の違法駐輪対策は「駐輪場の増設」「料金設定の見直し」「撤去活動の増強」が有効であるという意見が多かった。また、商業施設においては「駐輪場の増設」「撤去活動の増強」「駐輪場の有料化」という意見が多かった。
商業施設用駐輪場の増設が必要だと感じる人が多かった理由には、駅利用者が商業施設の駐輪場を利用することにより発生する駐輪場の混雑が考えられる。
商業施設における「駐輪場の有料化」に関しては過半数が賛成という意見は出していなかった。しかし今後つくば駅周辺の駐輪場が有料化されると、ますます商業施設の駐輪場利用者が多くなってしまうことが予測される。